プリンセスカフェへようこそ

えりー

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マスターの一目惚れ

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僕はカフェを営む26歳のオーナーだ。
今日もお店の電話は鳴らない。
アルバイト急募の張り紙も風で吹き飛ばされる始末。
店にいても客は来ない。
掛け看板をcloseにして店を出た。
店を出ると街中は人で溢れかえっていた。
こんなに人がいるのに何故うちの店は閑古鳥が鳴くのか。
若き店主は苦悩していた。
そんな時目の前を好みの少女が通り過ぎて行こうとしていた。
僕は勇気をもって「うちでバイトしませんか!?」と声をかけようとした。
しかし、実際口から出た言葉は衝撃的なものだった。
「君!僕のメイドになってください!!」
「え・・・?」
声をかけられたところまではよかったしかしこの結果だった。
そう、僕はコミュ障でもある。
少女から冷たい視線が飛んでくると思ったが、少女は笑っていた。
「私でよければいいですよ」
「え?」
(僕の発言に引いてない・・・)
それはおかしい。
あんなことを言われれば即危険人物扱いだろう。
意外な事にこの少女は承諾している。
周囲の視線に気が付き、少女を店へ案内した。
「ああ、やっぱりこの店だ!」
少女は目を輝かせて店を見て周っていた。
「来たことあるのかい?」
「はい、ここの店の制服可愛くて憧れていたんです」
「カフェ自体は普通だけどうちの制服は特別だからね」
少女はきょとんとして僕を見た。
「僕の名前は中島祐樹。26歳だ」
「私の名前は真由子です」
真由子は嬉しそうにそう名乗った。
「制服、何が特別なんですか?」
「あの制服は僕が作ったものなんだ」
真由子の瞳がぱぁっと輝いたのが分かった。
「あの服を作ったんですか!?凄いです」
「あ、ありがとう」
(そうだ、さっきの事謝らなければ・・・)
「さっきはおかしなことを言ってすみません」
祐樹は頭を下げた。
「大丈夫です。私、よくあるんです。ああいうこと」
「そうなんですか?」
「何故か人目を引いてしまうんです。それが女性なら良いんですが・・・」
真由子は言い淀んだ。
言いたいことは想像がついた。
「男性なら変な風に声をかけられるんです」
(ああ、やっぱり)
真由子は可愛らしい少女だ。
「年齢聞いてもいいかな?」
「18歳です」
「高校生?」
「大学生です」
(若いなぁ~!)
自分が18歳の時の事なんてもう覚えてないな・・・。
そんな事を考えていると真由子が切り出してきた。
「さっきのセリフ、ここで働きませんかって事ですよね?」
「ああ、恥ずかしながら今スタッフ一人もいないんだ」
「そうなんですか!?」
「もともと小さなカフェだし、僕一人でもなんとかなると思ったんだけど」
「・・・けど?」
「やっぱり華が無いと人が集まらないみたいで真由子ちゃんさえよければ働いてくれないかな?」
真由子は暫く考えた。
「週4日なら働けると思います」
「え!?本当に良いのかい!?」
「はい!!もちろんあの制服着させていただけるんですよね?」
「ああ!!」
「それなら宜しくお願いいたします。履歴書は明日持ってきますね」
そう言って真由子は帰って行った。
「明日から来てくれるのか?」
信じられないことが起こった。
祐樹は真由子が帰った後も呆然と椅子に座り続けた。

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