プリンセスカフェへようこそ

えりー

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喫茶中島の変化

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翌日の朝、真由子が履歴書をもってやって来てくれた。
「本当に来てくれたんだな」
「約束したじゃないですか?」
「いや、まだ夢を見ているようだ」
(こんな可愛い子と働けるのか)
幸せを噛みしめながら真由子を見つめた。
「どうかしましたか?」
真由子は不思議そうにしている。
「あ、いや何でもないんだ!」
「今日は1日に学校無いんで働けますよ!」
「本当か!それはありがたい。2階が従業員の更衣室兼休憩所になっているんだ。着替えはロッカーに入れておいたからそれを着て降りてきてくれないか?」
やや興奮気味になってしまい気持ち悪がられるかもしれないと思ったが真由子はにっこり微笑み頷いた。
「初めに言っておこうと思うんだが・・・僕はコミュ障なんだ」
「そうなんですか?そうには見えませんが・・・」
「だから、接客には向いていなくて・・・」
そう項垂れると頭を真由子に撫でられた。
「わかりました。そういう事なら私がフォローします!」
頼もしい一言だった。
「よ、宜しくお願いします・・・」
「はい!じゃあ、さっそく着替えてきますね」
そう言うと真由子は2階に行ってしまった。
1人残された祐樹はまだ夢なのではないかと疑った。
あんなに明るくて良い子がこの辛気臭い店に来てくれただけでも奇跡だ。
「真由子ちゃんあの服気に入ってくれると良いな」
祐樹は真由子の為に新しく制服を作り直していた。
清楚な真由子に似合うようなピンクを基調とした白いドレス。
真由子は制服を見るとすごく喜んでいた。
「可愛い!!こんなに可愛い服似あうかな?」
いそいそと着替えて祐樹の待つ1階の喫茶店へ降りた。
「どうですか?似合いますか?」
祐樹の前でくるくると回って見せた。
「とても良く似合ってる!!イメージ通りだ!」
「ありがとうございます。あ、これ履歴書です」
そう言い祐樹に履歴書を手渡した。
手と手が触れあった瞬間祐樹は思わず履歴書を取り落としてしまった。
「すまない・・・」
「気にしないでください」
そう言い微笑む真由子はまるでお姫様のようだった。
「そうだ!この店をプリンセスカフェとして売り出したらどうだろう」
「プリンセスカフェですか?いいですね!丁度この制服もお姫様みたいだし」
2人は早速チラシを作った。
喫茶店の新しい名前は”プリンセスカフェ中村”
「プリンセスと呼ばれるのは少し恥ずかしいですが店を立て直しましょう」
「どうして・・・そんなに協力的なんだい?」
「祐樹さん、私の事覚えていませんか?」
「え?」
(以前どこかで会ったことがあっただろうか)
「忘れているのなら自力で思い出してください」
「えぇ!?」
そんな事急に言われても思い出せるはずもなく・・・。
考えれば考えるほど記憶に埋もれていく。
「ふふふ、私はチラシを配ってきます」
「その恰好で行くのかい!?」
「その為の”プリンセス”でしょう?」
確かにその通りだが・・・変なのに引っかからなければいいな。
心配しつつ店の外へ行く真由子の背を見送った。
真由子の履歴書を改めてみてみるが何も思い出せない。
あの口ぶりだと以前どこかで会っているはずだ。
真由子ほどの美少女を忘れるはずはないと思う。
でも実際は忘れている。
「一体・・・どこで会ったんだ?」
疑問を抱きつつ真由子の帰りと客を待つことにした。
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