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銀の兄のお気に入り
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都は今日会った銀の兄の事が頭から離れなかった。
何故愛しい人を食すのか理解きなかった。
”本能的”と日吉は言っていた。
同じ兄弟なら銀にもその欲求はあるはずだ。
夕食の時思い切って聞いてみた。
「銀は本能的に人を食べようと思ったりしないの?」
「・・・」
銀は暫く考えて答えた。
「俺は兄とは違う。確かにそういう欲求がないと言えば嘘になるが、それ以上に一緒にいたいと思う気持ちの方が大きいからな」
「そうなんだ」
都はその答えを聞いて安心した。
日吉は本能に負けて食べてきたという事か・・・。
都は想像するだけで身震いした。
きっと一飲みで食べてゆっくり時間をかけて消化するのだろう。
よくペットショップに生餌や冷凍ネズミが売ってある。
きっとあれを食べるのと同じ感覚なのだろう。
「食事中に話す内容じゃないな」
都の食事の手が止まっていることに気がつき銀はそう声をかけた。
「そう・・・ね」
都はそれ以上食が進まず結局少し残してしまった。
準備してくれた銀に申し訳ないと思った。
「残してごめんなさい」
「いや、構わない。こっちこそ兄の事で申し訳ない。不快な思いをさせただろう?」
「・・・不快ではないけど・・・怖かった・・・かな」
都は正直に話した。
「手に触れらた時すごくぞくっとしたわ」
そう言うと銀はその手を取りまるで上書きするように都の手の甲にキスをした。
「俺に触れらてもぞくっとするのか?怖いか?」
都は考えた。
そして口を開いた。
「大丈夫、銀は大丈夫みたい」
そう言うと銀は安心したように顔を綻ばせた。
「だが、兄にはなるべくかかわらないでくれ」
「うん」
そう言いながら銀は都を抱きしめた。
まるで今いない兄から都を守るかのように。
都にもその気持ちが伝わった。
だから大人しく抱きしめられたままにした。
「抱きしめられて嫌じゃないのか?」
「今のところは嫌じゃないし、気持ち悪いとも思わない」
「そうか」
都のその言葉を聞き、するりと腕が離れた。
都は居心地が良かったのか腕が離れるとき少し寂しい気持ちになった。
そんな自分が恥ずかしくて真っ赤になった。
自分はもしかしたら銀を意識し始めているのかもしれないと思った。
「多分兄はまた都に会いに来る」
「な、何で!?」
「兄のあの反応は都の事を気に入った反応だった」
都は地の底に突き落とされたような気分になった。
関わりたくない人に気に入られてしまったらしい。
また日吉が来る・・・。
そう考えただけで恐ろしくなる。
気に入られる要素はなかったはずだ。
それなのに銀はそんな事を言う。
日吉が来たときは銀から離れないようにしようと心に決めた都だった。
何故愛しい人を食すのか理解きなかった。
”本能的”と日吉は言っていた。
同じ兄弟なら銀にもその欲求はあるはずだ。
夕食の時思い切って聞いてみた。
「銀は本能的に人を食べようと思ったりしないの?」
「・・・」
銀は暫く考えて答えた。
「俺は兄とは違う。確かにそういう欲求がないと言えば嘘になるが、それ以上に一緒にいたいと思う気持ちの方が大きいからな」
「そうなんだ」
都はその答えを聞いて安心した。
日吉は本能に負けて食べてきたという事か・・・。
都は想像するだけで身震いした。
きっと一飲みで食べてゆっくり時間をかけて消化するのだろう。
よくペットショップに生餌や冷凍ネズミが売ってある。
きっとあれを食べるのと同じ感覚なのだろう。
「食事中に話す内容じゃないな」
都の食事の手が止まっていることに気がつき銀はそう声をかけた。
「そう・・・ね」
都はそれ以上食が進まず結局少し残してしまった。
準備してくれた銀に申し訳ないと思った。
「残してごめんなさい」
「いや、構わない。こっちこそ兄の事で申し訳ない。不快な思いをさせただろう?」
「・・・不快ではないけど・・・怖かった・・・かな」
都は正直に話した。
「手に触れらた時すごくぞくっとしたわ」
そう言うと銀はその手を取りまるで上書きするように都の手の甲にキスをした。
「俺に触れらてもぞくっとするのか?怖いか?」
都は考えた。
そして口を開いた。
「大丈夫、銀は大丈夫みたい」
そう言うと銀は安心したように顔を綻ばせた。
「だが、兄にはなるべくかかわらないでくれ」
「うん」
そう言いながら銀は都を抱きしめた。
まるで今いない兄から都を守るかのように。
都にもその気持ちが伝わった。
だから大人しく抱きしめられたままにした。
「抱きしめられて嫌じゃないのか?」
「今のところは嫌じゃないし、気持ち悪いとも思わない」
「そうか」
都のその言葉を聞き、するりと腕が離れた。
都は居心地が良かったのか腕が離れるとき少し寂しい気持ちになった。
そんな自分が恥ずかしくて真っ赤になった。
自分はもしかしたら銀を意識し始めているのかもしれないと思った。
「多分兄はまた都に会いに来る」
「な、何で!?」
「兄のあの反応は都の事を気に入った反応だった」
都は地の底に突き落とされたような気分になった。
関わりたくない人に気に入られてしまったらしい。
また日吉が来る・・・。
そう考えただけで恐ろしくなる。
気に入られる要素はなかったはずだ。
それなのに銀はそんな事を言う。
日吉が来たときは銀から離れないようにしようと心に決めた都だった。
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