13 / 30
一緒の部屋
しおりを挟む
都は目が覚め固まった。
目の前に銀が眠っていたからだ。
銀はまだ起きる気配がない。
都は銀の白髪に手を伸ばした。
(わぁ、さらさらだ・・・)
そのさらさらした感触が癖になりそうだった。
何度も髪を梳いて遊んだ。
そして間近でみる銀の顔はとても綺麗だ。
「何を遊んでいる」
「!」
都は手の動きを止めた。
「銀、起きていたの?」
「ああ」
都はてっきり銀は眠っているものだと思っていたので急に恥ずかしくなった。
「昨夜はよく眠れたか?」
「うん。大丈夫だよ」
都は嘘をついた。
何かされるのではと少し怖くてあまり眠れなかったのだ。
結局抱きしめられるくらいで何もされなかった。
銀の兄の日吉は獰猛な獣のようだった。
それに比べて銀は大人しい獣に見える。
でもいくら普段温厚だからといって油断してはいけないことを都は知っている。
血を分けた兄弟。
2人の本質的な部分はきっと一緒なのだろう。
都は日吉が恐ろしくてたまらない。
しかし、銀といると安心できる。
だいぶ銀の事を知った。
銀は朽ちた社の神で山を守る仕事をしている。
そして、他の蛇たちからも好かれているのは見ていて分かる。
都は銀の傍が一番落ち着くことに気がついた。
銀は優しい。
よく気が利く。
都はいつの間にか銀に惹かれていっている自分がいることに気がついた。
だが、それはまだ銀に言えない。
もし、銀に知れたらまた関係を迫られそうな気がするからだ。
もう少し友人としての彼を知りたいと都は思った。
しかし、都は滞在が終われば家へ帰らなければならない。
その前に想いを伝えるべきだろう。
いつ伝えようかと考えていると銀が席を外した。
「銀?どこへ行くの?」
「都、着替えたいだろう?俺は席を外す」
そう言い部屋から出て行った。
そういう配慮が出来る銀が都は好きだ。
同室になったので着替えはいつしようとも考えていた。
都は自分の中の感情に気がついてしまった。
この気持ちはもう止められない。
でも白蛇の嫁になる覚悟はまだない。
(銀は今も私の事を好きでいてくれているのだろうか・・・)
「今日はどこへ行こうか?」
「今日も川に行きたいな」
都はここの川があまりにも美しいので気に入ってしまった。
だからよく川に行く。
川の流れを見ていると何だか落ち着くのだ。
「また川か。危ないぞ?」
「銀が一緒だから平気」
そう言うと銀は嬉しそうに微笑んだ。
その微笑はとても美しいものだった。
その瞬間胸が高鳴った。
都は自分の胸を押さえた。
それでも鼓動は早くなっていくばかりだった。
「都?顔が赤いが熱でもあるのか?」
綺麗な顔が近づいてきた。
額と額をくっつけられた。
ルビーのような瞳がこちらを見ている。
都は銀から急いで離れた。
「大丈夫よ。熱はないから・・・」
「そうか。それなら行こうか」
そう言いながら都をひょいっと抱え窓から飛び出していった。
都は河原に降ろされた。
「あまり危ない事するなよ」
「うん」
都は少し朽ちたつり橋を見つけた。
(まだ使えるのかな?)
そう思い橋を渡ろうとした瞬間橋が崩れた。
都はそのまま川に落ちてしまった。
「都!!」
その事に気がついた銀は急いで川の中へ入った。
すると都の服に気が引っ掛かっていて都は浮かび上がれなくなっていた。
都の意識はあまりない。
銀は都の服を破くと都を川から助け出した。
川から出て、人工呼吸をした。
都はすぐに意識を取り戻した。
キスされていたこと知り、急に恥ずかしくなった。
「勝手にキスをして悪かった。だがあの場合は・・・」
銀も少し赤くなっているような気がした。
「・・・キスしてもいいよ・・・」
都は小さな声でそう言った。
「え!?」
銀はその言葉に驚き固まった。
「助けてくれてありがとう」
都はそう言い微笑んだ。
その日は2人ともびしょ濡れで帰った。
その晩、銀は言った。
「今日キスをしてもいいって言ったのは本当か?」
「・・・うん」
「何故?今まではそんな感じじゃなかったじゃないか」
何故と聞かれても困る。
そう思ったからそう言っただけなのだから。
「人の気持ちは変わるものよ」
「だが・・・無理していないか?」
都が無理をしていないか心配している様子だった。
「無理してないよ」
「本当に良いんだな?」
「うん」
そう言うと都の唇にそっと銀の唇が押し当てられた。
「んっ」
「んぅ」
軽い触れ合いのキスから急に深いキスへと変わった。
都はそのキスの激しさについていけず上手く息継ぎも出来ない。
足に力が入らなくなり崩れ落ちた。
銀は都を床に横たえ覆いかぶさり、キスを続ける。
「あ、うぅん、はぁ」
顔を銀の両手で固定されていて顔を背けることもできない。
「ぎ・・・ん・・・。くるし・・・い。」
都のその言葉を聞き銀が我に返った。
銀は都を椅子に座らせた。
都は荒い呼吸を繰り返している。
「嫌じゃないのか?」
「嫌じゃない」
「俺の事を好きになってくれたのか・・・?」
「・・・多分」
その返事に銀は困惑した。
「まだ銀の求婚を受け入れられるかは分からないけど銀の事少しずつ好きになっているよ」
「そうか・・・」
銀は肩を落とした。
都はそんな銀の頬に軽くキスをした。
銀は驚いていた。
都からキスされるとは思っていなかったようだ。
こうしてまた1日が過ぎていった。
都が家へ帰る日が近づいてきていた。
目の前に銀が眠っていたからだ。
銀はまだ起きる気配がない。
都は銀の白髪に手を伸ばした。
(わぁ、さらさらだ・・・)
そのさらさらした感触が癖になりそうだった。
何度も髪を梳いて遊んだ。
そして間近でみる銀の顔はとても綺麗だ。
「何を遊んでいる」
「!」
都は手の動きを止めた。
「銀、起きていたの?」
「ああ」
都はてっきり銀は眠っているものだと思っていたので急に恥ずかしくなった。
「昨夜はよく眠れたか?」
「うん。大丈夫だよ」
都は嘘をついた。
何かされるのではと少し怖くてあまり眠れなかったのだ。
結局抱きしめられるくらいで何もされなかった。
銀の兄の日吉は獰猛な獣のようだった。
それに比べて銀は大人しい獣に見える。
でもいくら普段温厚だからといって油断してはいけないことを都は知っている。
血を分けた兄弟。
2人の本質的な部分はきっと一緒なのだろう。
都は日吉が恐ろしくてたまらない。
しかし、銀といると安心できる。
だいぶ銀の事を知った。
銀は朽ちた社の神で山を守る仕事をしている。
そして、他の蛇たちからも好かれているのは見ていて分かる。
都は銀の傍が一番落ち着くことに気がついた。
銀は優しい。
よく気が利く。
都はいつの間にか銀に惹かれていっている自分がいることに気がついた。
だが、それはまだ銀に言えない。
もし、銀に知れたらまた関係を迫られそうな気がするからだ。
もう少し友人としての彼を知りたいと都は思った。
しかし、都は滞在が終われば家へ帰らなければならない。
その前に想いを伝えるべきだろう。
いつ伝えようかと考えていると銀が席を外した。
「銀?どこへ行くの?」
「都、着替えたいだろう?俺は席を外す」
そう言い部屋から出て行った。
そういう配慮が出来る銀が都は好きだ。
同室になったので着替えはいつしようとも考えていた。
都は自分の中の感情に気がついてしまった。
この気持ちはもう止められない。
でも白蛇の嫁になる覚悟はまだない。
(銀は今も私の事を好きでいてくれているのだろうか・・・)
「今日はどこへ行こうか?」
「今日も川に行きたいな」
都はここの川があまりにも美しいので気に入ってしまった。
だからよく川に行く。
川の流れを見ていると何だか落ち着くのだ。
「また川か。危ないぞ?」
「銀が一緒だから平気」
そう言うと銀は嬉しそうに微笑んだ。
その微笑はとても美しいものだった。
その瞬間胸が高鳴った。
都は自分の胸を押さえた。
それでも鼓動は早くなっていくばかりだった。
「都?顔が赤いが熱でもあるのか?」
綺麗な顔が近づいてきた。
額と額をくっつけられた。
ルビーのような瞳がこちらを見ている。
都は銀から急いで離れた。
「大丈夫よ。熱はないから・・・」
「そうか。それなら行こうか」
そう言いながら都をひょいっと抱え窓から飛び出していった。
都は河原に降ろされた。
「あまり危ない事するなよ」
「うん」
都は少し朽ちたつり橋を見つけた。
(まだ使えるのかな?)
そう思い橋を渡ろうとした瞬間橋が崩れた。
都はそのまま川に落ちてしまった。
「都!!」
その事に気がついた銀は急いで川の中へ入った。
すると都の服に気が引っ掛かっていて都は浮かび上がれなくなっていた。
都の意識はあまりない。
銀は都の服を破くと都を川から助け出した。
川から出て、人工呼吸をした。
都はすぐに意識を取り戻した。
キスされていたこと知り、急に恥ずかしくなった。
「勝手にキスをして悪かった。だがあの場合は・・・」
銀も少し赤くなっているような気がした。
「・・・キスしてもいいよ・・・」
都は小さな声でそう言った。
「え!?」
銀はその言葉に驚き固まった。
「助けてくれてありがとう」
都はそう言い微笑んだ。
その日は2人ともびしょ濡れで帰った。
その晩、銀は言った。
「今日キスをしてもいいって言ったのは本当か?」
「・・・うん」
「何故?今まではそんな感じじゃなかったじゃないか」
何故と聞かれても困る。
そう思ったからそう言っただけなのだから。
「人の気持ちは変わるものよ」
「だが・・・無理していないか?」
都が無理をしていないか心配している様子だった。
「無理してないよ」
「本当に良いんだな?」
「うん」
そう言うと都の唇にそっと銀の唇が押し当てられた。
「んっ」
「んぅ」
軽い触れ合いのキスから急に深いキスへと変わった。
都はそのキスの激しさについていけず上手く息継ぎも出来ない。
足に力が入らなくなり崩れ落ちた。
銀は都を床に横たえ覆いかぶさり、キスを続ける。
「あ、うぅん、はぁ」
顔を銀の両手で固定されていて顔を背けることもできない。
「ぎ・・・ん・・・。くるし・・・い。」
都のその言葉を聞き銀が我に返った。
銀は都を椅子に座らせた。
都は荒い呼吸を繰り返している。
「嫌じゃないのか?」
「嫌じゃない」
「俺の事を好きになってくれたのか・・・?」
「・・・多分」
その返事に銀は困惑した。
「まだ銀の求婚を受け入れられるかは分からないけど銀の事少しずつ好きになっているよ」
「そうか・・・」
銀は肩を落とした。
都はそんな銀の頬に軽くキスをした。
銀は驚いていた。
都からキスされるとは思っていなかったようだ。
こうしてまた1日が過ぎていった。
都が家へ帰る日が近づいてきていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる