白蛇の花嫁

えりー

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銀の兄の花嫁

デート

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約束通り、日吉は日奈子を社の外へ連れ出した。
日奈子は嬉しそうに走り回っている。
その姿を見て日奈子はやはりまだ子供なのだと実感した。
それなのに自分はあの行為ばかり強いていた。
少し申し訳なくなった。
「日奈子、あまりそっちに行くな」
「どうして?」
「そこは地盤が緩んでいて危ない」
そう言った時ちょうど地面が崩れた。
「日奈子!」
日吉は飛んで手を伸ばしたが間に合わなかった。
日奈子は崖から落ちてしまった。
「日奈子、おい!大丈夫か!?」
「・・・んっ、痛い・・・」
日奈子を守れなかった不甲斐なさで日吉は苦しんだ。
「日吉、これくらい大丈夫よ。木がクッションになってくれたから」
確かに高さはそんなになかったが、骨折していてもおかしくない高さだ。
「本当に大丈夫か?俺がついていながら・・・」
「大丈夫だよ、ほら」
そう言い日奈子は立ち上がり飛び跳ねて見せた。
「あれ・・・?足が少し痛いかも・・・」
「見せてみろ」
そう言われ日吉に足を見せた。
「少し腫れているな・・・」
日吉は日奈子の足をじっくり観察した。
「今日はもう社へ戻ろう」
「・・・」
「何だその顔は」
日奈子は疑いの眼差しを日吉に向けた。
「またいやらしいことするんでしょう?」
「・・・して欲しいのか?さすがに怪我人相手にそんな気にならない」
「本当?」
「ああ」
そう返事をすると日奈子はほっとしたように社へ帰ることを承諾した。
(日奈子はそんなに俺に抱かれたくないのか?)

社につき、ベッドの上へ日奈子は降ろされた。
「湿布になる薬草を取ってくる。大人しくしていろよ」
「うん」
1人社に残された日奈子は退屈を持て余していた。
すると小さな蛇がやって来て日奈子の膝の上に座った。
その蛇も白蛇でとても綺麗な赤い瞳をしていた。
日奈子はその蛇を撫でながら、日吉の帰りを待った。
暫くすると日吉が帰ってきた。
日吉は日奈子の膝の上でくつろいでいた白蛇を放り投げた。
「日吉!?何てことするの!?」
「よく見ろ、あれは俺の弟だ」
「いたたた・・・酷いや兄ちゃん。投げなくてもいいだろう?」
「人の嫁の膝でくつろぐとは良い度胸だな」
「兄ちゃんが嫁さんもらったって聞いたから見に来たんだよ」
「そうか、じゃあもう帰れ」
「嫌だよ、まだ来たばかりだもん」
日奈子は銀の他にも弟がいたことに驚いた。
「日奈子、何もされなかったか?」
「うん、暇だったから一緒に遊んでただけだよ」
「へぇ・・・」
日吉は小さな弟を睨み付けた。
「えっと、日吉の弟だよね?私は日奈子。貴方は?」
「俺はたもつ
「歳は?」
「もう覚えてないな」
「そんなに長く生きているの?」
「うん」
その事にもびっくりだ。
見かけは自分とほとんど変わらないのに・・・。
「まぁ、いい。日奈子足を出せ」
そう言われ足を日吉に出した。
すると薬草をすりつぶしたものを塗られた。
「ぴゃっ、冷たい」
「我慢しろ。はしゃいで崖から落ちる日奈子が悪い」
日奈子はむっとして言い返した。
「だって、久しぶりの外でのデートだったんだもん」
「暫くデートは中止だ」
日奈子は頬を膨らました。
「あの・・・お2人さん俺の事忘れてない?」
「あ、忘れてた・・・ごめんなさい」
日奈子は正直に言った。
「でも、兄さん達2人とも人間を娶らなくてもよかったのに・・・」
「人間だと何か都合が悪いの?」
「保!余計な事を言うな」
「お前も早く嫁を探してこい」
「俺にはまだ早いよ」
保は拗ねたように言った。
小さい頃の日吉ってこんな感じだったのかな・・・。
そう思いながら日奈子は保をじっと見つめた。
その視線に気がつき保は日奈子に言った。
「な、なんだよ。じっと見て」
「なんでもない」
そう言い日奈子はくすくすと笑った。
保はその笑顔を見て顔を赤くした。
「俺の用事はもう済んだからそろそろ帰るな」
「ああ、早く帰れ。二度と日奈子に触れるな」
日奈子の膝の上にいたことを根に持っている様子だった。
日吉は保が帰った後、ベッドに腰かけ、膝に日奈子を乗せた。
「足はまだ痛むか?」
「だいぶ良くなったかな」
「今日は家まで送るからゆっくりしておけ」
「ねぇ、日吉。結婚相手が人間だと何かまずいの?」
「・・・お前の気にすることじゃない。今は休んでろ」
「わかった」
「・・・」
「せっかくのデートだったのになぁ」
「足が治ってからまた行けばいい」
「うん」
そう言い日奈子は日吉に抱きついた。
そして2人はこの日はベッドで一日を過ごした。
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