自殺志願少女と獣の王

えりー

文字の大きさ
1 / 38

トリップ先は王の膝

しおりを挟む
佐藤唯奈さとうゆいなは学校でいじめにあっていた。
唯奈の心はそのいじめに限界だった。
思い切って屋上から飛び降りた。
(もう、これで楽になれる)
そう思い唯奈は落下していく。
しかし落ちた先に痛みは無かった。
もふもふとした感触の上に落ちた。
恐る恐る目を開けてみるとそこには威厳に満ちた大きな狼が玉座に腰かけていた。
「お前は何者だ?」
(おかしい、私は屋上から飛び降りたはずだったのに・・・)
「答えぬか」
不機嫌そうなその声を聞き唯奈は口を開いた。
「私は、唯奈といいます。屋上から飛び降りたらここへ落下してしまいました」
「屋上から?」
「はい、死のうと思いまして・・・」
「命を粗末にしようとしたのか!?」
そう怒鳴られ身が竦んた。
「理由は言えませんが生きていたくなかったので」
「そうか・・・、ならこの世界で新しい生き方を見つけると良い」
「この世界?」
唯奈は首を傾げた。
「外を見てみろ」
そう言われ唯奈は外を見た。
するとたくさんの動物たちがお城で働いているのが見えた。
「ここは・・・どこ?私は夢を見ているの?」
「夢ではないこの世界は我々動物が支配する国だ。お前は人間というやつだな?」
「はい、貴方は誰?」
「私はこの世界の獣王、名はリハという」
「リハ様は、この世界の王なんですか?」
リハは無言で頷いた。
「お前に部屋をやろう。ついて来い」
そう言いリハは膝の上から唯奈を降ろし、歩き始めた。
リハは王だけあって立派なマントと服を身に纏っている。
身長は180cmくらいだろうか。
小柄な唯奈から見るとかなり大きく見える。
唯奈は何故さっき王に不敬を働いたのに殺されなかったか不思議だった。
「リハ様は私をどうするつもりですか?」
(いっそ殺して食べてくれたらいいのに・・・)
「私は命を粗末にすることは嫌いだ。だからお前を食べたりしないし殺したりもしない。この世界でどうやって生きていくか考えを出せ。元の世界への帰し方なんてないしな」
そう言いながら歩いていると一つの部屋の前でリハは足を止めた。
「ここが今日からお前の部屋だ。好きに使うがいい」
「え?」
凄く豪華で広々とした部屋だった。
天蓋付きのベッドまである。
部屋の中にはいくつかドアがあり、ドアを開けると浴室や洗面所までついていた。
「部屋が気に入らないのか?」
「いいえ!!そんな事ありません」
「何かわからないことがあれば侍女たちにでも聞いてみろ。困った事があったら私に言え」
リハはそう言うと踵をかえし、去って行った。
唯奈は1人取り残され、その場に立ちつくした。
そうしてじっと長い時間たっていたが疲れてベッドに腰かけそのまま横になった。
ベッドはふかふかしていた。
しかし、唯奈はまさか自殺しようとして異世界へトリップすることになるなんて思ってなかった。
でも、元いた世界に唯奈の居場所はない。
こうしてリハに居場所を作ってもらった事が嬉しかった。
リハはどうして命を粗末にしようとした唯奈を助けてくれたのだろうか。
しかも命を粗末にしようとしていたことを怒っていた。
それはこれから聞いていこう。
とにかく今はこの世界でどうやって生きていくか考えなくてはならない。
いつまでもぼんやり部屋で過ごしているわけにはいかない。
せっかくやり直すチャンスを与えられたのだから。
唯奈はそう思うことにした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

二十年以上無視してきた夫が、今さら文通を申し込んできました

小豆缶
恋愛
「お願いです。文通から始めてもらえませんか?」 二十年以上会話もなかった夫――この国の王が、ある日突然そう言ってきた。 第一王妃マリアは、公爵家出身の正妃。だが夫はかつて、寵愛する第三王妃の話のみを信じ、彼女を殴ったことがある。その事件が原因で、マリアは男性恐怖症が悪化して、夫と二人きりでは会話すらできなくなっていた。 それから二十年。 第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。 なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。 不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。 これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。 ※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...