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ティの別邸
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リハは決めた。
暫くの間唯奈をティの別邸で預かってもらうことを。
理由は色々あるが、一番の理由は自分自身だ。
リハは唯奈に溺れすぎている。
公務にも支障をきたすほど。
そして愛しすぎる故、唯奈を殺しかねない。
その事を昨夜実感したからだ。
(唯奈が愛おしい、いっそ食ってしまいたいほどに)
それは殆ど狂気に近い感情だった。
それを見かねた同じ狂気を持つ弟、ティからの提案で彼の別邸に預けることにした。
ティも同じ狂気を持っているがその狂気を見事にコントロールしている。
そしてティも唯奈の事を愛している。
このまま傍にいて唯奈の無事を保証できない以上こうするほかに方法が見つからなかった。
唯奈の意識はまだ戻らない。
目を覚ますと騒ぎだすだろう。
絶対にいかないと言われるに違いない。
だから眠っているうちにティを呼び唯奈を託した。
ティは言った。
「本当に良いのか?」
リハはその質問には答えなかった。
「・・・」
「唯奈に手を出すなよ?」
「分かってるよ。少ししか出さない」
そう言うとティはすごい剣幕でリハに睨まれた。
「半分冗談だ」
そうしてリハは暫くの間仕事に専念することにした。
城ではすでに色々な噂話が飛び交っていた。
しかし、そのことは聞き流すことにした。
いちいち気に留めていられるほど心に余裕はない。
リハは離れていても唯奈の身を案じていた。
リハの気持ちに変わりはない。
見慣れない天井が視界に入ってきた。
自分の目が覚めた事に気がつき起き上がろうとした。
しかし、体に力が入らずベッドから起き上がれなかった。
「ここは・・・?」
「目が覚めたのか?」
聞きなれた声が聞こえた。
横になっている唯奈を覗き込んだのはティだった。
昨夜は確か、王の部屋で思い切り抱かれたはずだ。
それなのに今は見知らぬ場所にいる。
ギシっと音を立てベッドが軋んだ。
人型のティが腰かけたのだ。
「ティ様、これはどういうことですか?」
「提案したのは俺だけど決断したのは兄貴だ」
唯奈には全く話が見えない。
「あのまま城に置いておくと嫌がらせを受けたり、兄貴の嫉妬心で殺しかねないから暫く兄貴が落ち着くまで俺の別邸で唯奈を預かることになったんだ」
「そんな、勝手な事・・・!」
「これは王である兄貴の決定だ。逆らうことは許されない」
「私はリハ様に会えないの?」
「今は妃は療養中という事になっている。だから会いに行くことは出来ない」
そうはっきり言われリハに拒絶されたような気持ちになった。
リハはもう自分の事はいらないのだろうかそう思うと悲しくなってきた。
俯き泣くのを堪えているとティに手を握られた。
「ティ様・・・」
「俺を兄貴の代わりにしてもいいんだぜ?」
「・・・」
「どうした?」
「それは出来ません。私はティ様も好きですが愛しているのはリハ様だけなので」
「はははは。そういうと思った。何か食えそうか?」
「・・・お肉以外のものがいいです」
昨夜は激しい運動をしたようなものだ。
今の唯奈は空腹だった。
「分かった。何か持ってきてやるよ。大人しくしていろよ」
「はい。ありがとうございます」
「果物で良いな」
そう言いながら部屋から出て行った。
何故、こうなったのかよくわからないが一応王の決定なのだから従うしかない。
唯奈はリハが落ち着くのを大人しく待つことにした。
暫くの間唯奈をティの別邸で預かってもらうことを。
理由は色々あるが、一番の理由は自分自身だ。
リハは唯奈に溺れすぎている。
公務にも支障をきたすほど。
そして愛しすぎる故、唯奈を殺しかねない。
その事を昨夜実感したからだ。
(唯奈が愛おしい、いっそ食ってしまいたいほどに)
それは殆ど狂気に近い感情だった。
それを見かねた同じ狂気を持つ弟、ティからの提案で彼の別邸に預けることにした。
ティも同じ狂気を持っているがその狂気を見事にコントロールしている。
そしてティも唯奈の事を愛している。
このまま傍にいて唯奈の無事を保証できない以上こうするほかに方法が見つからなかった。
唯奈の意識はまだ戻らない。
目を覚ますと騒ぎだすだろう。
絶対にいかないと言われるに違いない。
だから眠っているうちにティを呼び唯奈を託した。
ティは言った。
「本当に良いのか?」
リハはその質問には答えなかった。
「・・・」
「唯奈に手を出すなよ?」
「分かってるよ。少ししか出さない」
そう言うとティはすごい剣幕でリハに睨まれた。
「半分冗談だ」
そうしてリハは暫くの間仕事に専念することにした。
城ではすでに色々な噂話が飛び交っていた。
しかし、そのことは聞き流すことにした。
いちいち気に留めていられるほど心に余裕はない。
リハは離れていても唯奈の身を案じていた。
リハの気持ちに変わりはない。
見慣れない天井が視界に入ってきた。
自分の目が覚めた事に気がつき起き上がろうとした。
しかし、体に力が入らずベッドから起き上がれなかった。
「ここは・・・?」
「目が覚めたのか?」
聞きなれた声が聞こえた。
横になっている唯奈を覗き込んだのはティだった。
昨夜は確か、王の部屋で思い切り抱かれたはずだ。
それなのに今は見知らぬ場所にいる。
ギシっと音を立てベッドが軋んだ。
人型のティが腰かけたのだ。
「ティ様、これはどういうことですか?」
「提案したのは俺だけど決断したのは兄貴だ」
唯奈には全く話が見えない。
「あのまま城に置いておくと嫌がらせを受けたり、兄貴の嫉妬心で殺しかねないから暫く兄貴が落ち着くまで俺の別邸で唯奈を預かることになったんだ」
「そんな、勝手な事・・・!」
「これは王である兄貴の決定だ。逆らうことは許されない」
「私はリハ様に会えないの?」
「今は妃は療養中という事になっている。だから会いに行くことは出来ない」
そうはっきり言われリハに拒絶されたような気持ちになった。
リハはもう自分の事はいらないのだろうかそう思うと悲しくなってきた。
俯き泣くのを堪えているとティに手を握られた。
「ティ様・・・」
「俺を兄貴の代わりにしてもいいんだぜ?」
「・・・」
「どうした?」
「それは出来ません。私はティ様も好きですが愛しているのはリハ様だけなので」
「はははは。そういうと思った。何か食えそうか?」
「・・・お肉以外のものがいいです」
昨夜は激しい運動をしたようなものだ。
今の唯奈は空腹だった。
「分かった。何か持ってきてやるよ。大人しくしていろよ」
「はい。ありがとうございます」
「果物で良いな」
そう言いながら部屋から出て行った。
何故、こうなったのかよくわからないが一応王の決定なのだから従うしかない。
唯奈はリハが落ち着くのを大人しく待つことにした。
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