自殺志願少女と獣の王

えりー

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リハとダル

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翌日ダルはリハに言われた通り恋人を連れて城へやって来た。
2人は跪いて、俯いている。
ダルは王に挨拶をした。
「今回の事本当に感謝しております」
「そう硬くならずとも良い」
「娘、お前の名は?」
「朋美です」
「珍しい名前だな。お前も異世界から来たのか?」
「はい」
そう言い顔を上げた。
雰囲気が唯奈と似ていた。
(唯奈・・・)
「王?いかがなされました?」
「いや、何でもない」
「ダルは今日から側近見習いとして私の傍にいてもらう」
朋美ともみは専用の部屋を与えよう。決してその部屋から出てはいけない」
「はい、ありがとうございます」
そう言うと朋美とダルは嬉しそうに微笑みあっていた。
その姿を見て羨ましく思った。
朋美を部屋に案内し、ダルとリハは市中の見回りに行くことになった。
ダルは正直な少年だった。
物おじせず、王のリハに対しても堂々としていた。
決してリハに媚びへつらうこともせず感じの良い少年だった。
そんなダルだから異例の出世を与えた。
立場が上へ行けば行くほど彼女を守る力もつけられるだろうと思った。
ダルと一緒にいると今まで荒ぶっていたのが嘘のように落ち着いてくる。
「ダルはあの娘を本当に大事にしているんだな」
「はい。もう朋美無くしては生きていられません」
「そんなに惚れているのか・・・」
「はい」
ダルには迷いはない。
ダルを見ていると本当に気持ちが落ち着く。
身分は違えど同士を手に入れたような感じになる。
「ダル、側近の仕事は大変だがやっていけそうか?」
「はい!!彼女を守る為なら何だってやります」
「そうか」
「私も見習わなくてな」
そう呟いて、歩き始めた。
もう少し、冷静に何でも対処できるようにならなければならない。
そうでないといずれ皆自分から離れていってしまう。
そうなると国が荒れる。
リハは唯奈と離れ、ダルと会いようやく周りが見えるようになってきた。
(唯奈・・・あと少しだけ待っていてくれ。あと少しで自分の中で何かが変わりそうなんだ)

その頃唯奈はダンスのレッスンをしていた。
先生に人型になってもらいダンスをした。
しかし、上手くいかない。
もう何度も先生の足を踏んずけてしまっていた。
「すみません!先生、大丈夫ですか!?」
「大丈夫ですよ。しかしここまでリズムに乗れないとは困りましたね・・・」
ダンスの教師は何か考えだした。
ティは仕事に行っていて今は留守中だ。
教師は人間嫌いではないらしい。
親切、丁寧に教えてくれる。
早く覚えたい一心でダンスのレッスンを続けさせてもらう。
「唯奈さま、1日で上手くなる人はいません。今日はここまでにしましょう」
「・・・はい」
「では今日の授業はここまでという事で」
「はい、ありがとうございました」
そう言い頭を下げ、教師を見送った。
ふーっと息を吐き、唯奈はベッドに横になった。
「悔しい・・・上手く出来なかった・・・」
そう呟くと戸の方から笑い声が聞こえた。
振り向くとティが笑っていた。
一体いつから見ていたのだろう。
「のぞき見なんて悪趣味ですよ!」
照れ隠しでつい大きな声を上げてしまった。
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