自殺志願少女と獣の王

えりー

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ティと柚葉

出発

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隣国へ行くために3人は歩き始めた。
リハとティは狼の姿になっている。
「唯奈、疲れたらいつでも乗せてやるからな」
リハは唯奈にそう言い手を引き、歩いた。
「兄貴どうするつもりだ?」
「単刀直入に話す」
「うちの国で買いとってもいいしな」
「・・・」
唯奈は複雑な心境だ。
これから行くところは人間を家畜扱いする国だ。
それでも王の横に立ち堂々としていなくてはならないのが今回の唯奈の仕事だ。
数時間歩いた頃足に限界が来た。
よろけながら歩くとリハがやって来て軽々抱えてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「ほら、あと少しだ。もう見えてくるぜ」
3人は森を抜けた。
森を抜けると使者が待っていた。
「ようこそおいでくださいました」
そう言い愛想のよい笑顔を浮かべ獣人は案内してくれた。
しかし、リハに抱かれているのが人間だとわかると一瞬険しい顔をした。
3人は広間に通された。
人間嫌いの獣人が多いのか遠巻きに唯奈をみて顔をしかめている。
しかし、唯奈は背筋を伸ばし毅然とした態度でその場に立った。
広間には玉座があり、1人の獣人が座っていた。
「お初にお目にかかりますオーブ国の王リハと申します」
「これはこれはようこそ我がフィール国へ。私はこの国の王センテと申します。それでそちらの方々は?」
「これは私の妃でございます」
「唯奈と申します」
そう言い軽く会釈した。
「あちらは弟のティと申す者です」
「悪い冗談を!人間を妃にするなんて正気とは思えませんな」
「悪い冗談ではありません。わが国では人間も獣人も同じ扱いをしております」
リハは冷静な声でそう言った。
「今回フィール国へ来たのは弟が見たものが本当か確かめる為です」
「・・・といいますと?」
「何でも人間を養殖しているとか」
「ああ、その事ですか。本当の事ですよ」
何でもないようにあっさりセンテ王は認めた。
「もしよろしければ何人か差し上げましょうか?」
「・・・何故養殖しているのですか?」
「人間は稀にしか迷い込んでこない。しかし、その味は美味」
「それで・・・?」
リハは少し怒りを堪えているように見えた。
「高値で売れるのです。商売ですよ」
「その商売をおやめになるつもりはない・・・という事ですね?」
「ええ」
「では、その人間たちは我がオーブ国が全て買い取りましょう」
「・・・え?」
「その養殖場ごと買い取らせてもらいます」
「人間は希少でなかなか手に入りません。全ては困ります」
必死になりセンテ王は言った。
「わが国で大切にしていきます」
一歩も引かないリハの気迫は凄かった。
「・・・」
センテ王は言葉を失った。
「今度こんな真似してみろ。この国を滅ぼしたっていいんだぜ?」
「そんな・・・!!」
「センテ王、人間にも獣人と同じように感情があります。こんな酷い事なさらないでください」
3人に責め立てられセンテ王はオーブ国が養殖場を買い取るといった内容の書類にサインをした。
「今回は買い取りますが・・・次回は何をするかわかりませんよ?」
そう言いリハは満足そうに書類を握った。
センテ王に養殖場に案内させた。
そして皆から足枷を外し、檻から出した。
センテ王は心底悔しそうな表情を浮かべていた。
そうしてリハはオーブ国へ皆を連れ帰った。
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