八代とお嬢

えりー

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家からの脱出

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みくるは結界の弱い場所を知っていた。
今夜そこから少しだけ外へ出てみようと思った。
すぐに戻れば問題ないと安心しきっていたのだ。
家の中が平和だから。
その平和を創り出しているのは誰でもない八代だった。
世間知らずの自分が嫌でたまらなかったみくるは外の世界へ出たくてうずうずしていた。
いよいよ決行の時が訪れた。
八代は風呂の準備に取り掛かっている頃だろう。
いつも同じ時間に入浴の用意をしてくれる。
少し罪悪感を感じつつも結界の弱い部分を破り外へ出た。
初めて吸う外の空気は濁っているように感じられた。
行きかう人々もどこか疲れ切っているように見える。
「これが外の世界?」
外の世界はみくるが思っているようなところではなかった。
とぼとぼ歩いていると視線とわずかな妖力を感じた。
周りの人を巻き込んではいけないと思い人気のない場所へ移動しようとした。
みくるは走った。
こんなに走ることも生まれて初めてかもしれない。
土地勘はないが木々が多い方を目指した。
木々が多い所は神聖な場所が多い。
神社や寺に逃げ込むのがいいと以前八代に言われたことがある。
四肢が反対に曲がって目をぎょろつかせながらみくるの方へ向かって来ている。
(妖魔が追って来ていた!)
「私の霊力ってそんなに価値のあるものなの!?」
みくるは思わず叫んでいた。
「だから言っただろう。屋敷から出るなと」
「八代!!」
「お嬢の霊力を手に入れた者は不死にもなれると言われているんだぞ」
みくるはその言葉を聞いて驚いた。
自分には何も取り柄が無く霊力だけ高いと思っていた。
しかし、まさかそこまでの霊力を持っているとは思わなかった。
「お嬢!そのまま走れ!神社に隠れていろ」
「わ、わかった」
そう言い2人は二手に分かれた。
みくるは神社の階段を一生懸命登って行った。
「グルルルル・・・オマエ、アノ、レイリョクヒトリジメにスルキカ?」
妖魔は低級だったようで神社には入ることが出来なかったようだ。
「違うな。俺が欲しいのは霊力なんかじゃない」
「ジャア、ナゼ、アノムスメヲマモル!?」
そう言いながら四肢の曲がった妖魔は八代に攻撃を仕掛けてきた。
八代は宙を舞い攻撃を華麗にかわした。
そして体内から刀を取り出し切っ先をむけ妖魔へと振り下ろした。
「グアァァァァ!!ナンダソノカタナハ・・・カラダガヤケルゥ!!」
「これは俺自身だ、どんな攻撃もできる・・・俺の意思でな」
「アァァァ!アツイ・・・アツ・・・イ」
妖魔は炎に包まれ絶命した。
「俺の欲しいものはそう簡単には手に入らないものだ」
「まぁ、もうお前には関係ないがな」
そう言いながら八代は少し寂しそうな瞳をした。
(力づくなら手に入れる事は容易いがそれは本望ではない)
そう思いながらみくるの待つ本殿へ向かった。
みくるは初めて妖魔に襲われて体を震わせていた。
「みくる」
「やつしろ・・・」
八代は怒ることもせずみくるを抱きしめた。
そして横抱きにし結界を張り、空を飛んで家路についた。
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