八代とお嬢

えりー

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抱かない理由

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鵺が帰った後部屋の中に沈黙が残った。
最初に沈黙を破ったのは八代だった。
「・・・鵺の事を選ぶと思った」
「え!?」
「鵺は俺より強いし、妖魔たちにも顔が利くからな」
八代は少し拗ねているようにも見えた。
それがあまりにも可愛らしく見えた。
「八代だって強いじゃない」
「俺はただの妖刀で向こうは大妖怪だぞ?」
「もうこの話はやめましょう、それよりどうして霊力を取り除く術を教えてくれなかったの?」
はーっと八代は溜息をつき話し始めた。
「俺はみくると想いを通わせるつもりはなかったし、まだ抱くつもりはない」
はっきり拒絶されみくるは悲しい気持ちになった。
「私が幼いから抱けないの!?」
「違う、そうじゃない」
「じゃあ、何で・・・」
「順番が違うから。当主を勝手に抱くわけにはいかない」
(そうだった。八代はこういう男だった)
「まずは両親へ挨拶して、婚約して、結婚式だろう」
「八代、気持ちは嬉しいけどそんな事考えてる場合じゃないでしょう!!」
「俺だって色々考える」
八代は本気らしい。

翌日、八代はみくるの両親に頭を下げた。
「みくるを俺に下さい」
両親は初めは驚いていたが2人を祝福してくれた。
そしてその翌日には婚約指輪を買って来てお互いの指にはめ合った。
みくるはやや呆れながらもこれが八代の良い所でもあるのだと言い聞かせた。
「八代、展開早くない?」
「急がないと他の妖魔に攫われては敵わないからな」
「・・・」
(それなら早く霊力を受け取ってもらいたい)
みくるは思わずそう考えてしまった。
きっと明日には白無垢が家に届くのだろう。
案の定白無垢は家へ届いた。
両親と八代と自分だけの結婚式が執り行われた。
式はあっという間に終わった。
短い間だったが凄く疲れたみくるだった。
それに引き換え八代は物凄く上機嫌だった。
もうすぐ夜になる・・・いつものように八代が入れてくれたお湯に浸かる。
ぼんやりと今日が初夜か・・・など考えてしまう。
でも、これで自由になれると思うと少し嬉しくなった。
湯ぶねから上がり体をいつもより丁寧に洗った。
そして客間に敷かれた布団の上で緊張しながら八代が来るのを待った。
暫くすると八代が部屋に入ってきた。
どうやら入浴したばかりのようで髪から雫がぽたぽた落ちていた。
いそいでこの部屋に来たらしい。
じれったい空気が流れた。
「本当に俺で後悔しないんだな?」
「うん。私が好きなのは八代だから」
そう言うと布団の上に押し倒されキスをされた。
「あんまり煽ってくれるな」
「これでも平常心を保つのに必死なんだ」
そう言いながら覆いかぶさってきた。
八代に抱かれるのは怖くない。
そう思いそっと八代の背に腕を回した。

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