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と組の若衆
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翌日、お七はお父からもらった手紙を握りしめてと組に向かう。
この江戸には、四十七組の町火消が、頻発する火事から町を守っている。
町火消は、それぞれが担当する町内の火災の延焼を防ぐのだ。
お七は、と組の前に立つ。
この間来た時は、出てきた大がらの若衆に「一昨日来やがれ!」とばかりにつまみ出された。
それが、今日は、この手紙を片手にここに立っている。
「ああ? てめぇ、この間の嬢ちゃんじゃねぇか。確か……お七って名前だったか? まだあきらめねえのか?」
最悪だ。
この間、お七をつまみ出した若衆が出てきてしまった。
「諦めるもなにも、今日は呼ばれて来たんだから!」
お七は、手紙を若衆の鼻先に突きつける。
「呼ばれてぇ? ……っと、確かにこれは、女将さんの字だが……」
「でしょ? だったらさっさと通してよ!」
若衆は手紙を確かめてもまだ、怪訝な顔をしている。
「信じられねぇなあ。まずは、女将さんに確かめてから……」
「ちょっと、信じられねぇってどういうことよ!!」
「う吉!! 騒がしい!」
若衆とお七が揉めていると、奥から聞き覚えのある女の声がする。
「あ……加代さん?」
「馬鹿! お前! 女将さんに向かって!!」
う吉が無理矢理にお七の頭を下げさせる。
佐和が味噌屋のドラ息子に襲われた時に助けてくれた、あの加代が、女将さんだったんだ。
お七は、びっくりしたまま、う吉に促されるままに加代に挨拶する。
「加代さん……じゃなかった。女将さん、手紙ありがとうございます!」
「お七、待っていたよ」
加代がニコリと笑って手招きしてくれる。
「お、女将さん! 本当に良いんですかい?」
加代の後に付いて行こうとするお七の後ろから、う吉が抗議の声をあげる。
「良いんだよ。私が許可したんだ」
「ですが……」
「うっさい! ぴょん吉!!」
ぴょん吉と呼ばれて、う吉が黙る。
「ぴょん吉……あ、まさか、う吉の『う』って、卯の『う』?」
「てめぇ!! 気づいても黙っていろよ!!」
あんなに大きな体で、うさぎなんだ。
お七はつい笑ってしまう。
「笑うなよ」
「だって、うさぎっぽくなくて」
「しょうがねぇだろう? 干支にちなんで、兄貴が『寅吉』、弟が『辰吉』間の俺が『卯吉』になるんだよっ!」
なるほど。
寅吉、卯吉、辰吉の三兄弟なのだ。
「ウチの組の要の三兄弟なんだ。なぁ、ぴょん吉」
「女将さん、その呼び方は勘弁してくだせぇ」
大きな卯吉が頭を掻きながら小さくなっている。
「お七、来な! ウチの人に紹介してやる」
加代はそれだけ言って、さっさと廊下を奥へ歩き始める。
お七は慌てて草履を脱いで、加代の後をついていった。
加代の話だと、奥に、このと組の親方が、お七を待っていて奥座敷に座っているのだそうだ。
お七は、自然と緊張して唾を飲んだ。
この江戸には、四十七組の町火消が、頻発する火事から町を守っている。
町火消は、それぞれが担当する町内の火災の延焼を防ぐのだ。
お七は、と組の前に立つ。
この間来た時は、出てきた大がらの若衆に「一昨日来やがれ!」とばかりにつまみ出された。
それが、今日は、この手紙を片手にここに立っている。
「ああ? てめぇ、この間の嬢ちゃんじゃねぇか。確か……お七って名前だったか? まだあきらめねえのか?」
最悪だ。
この間、お七をつまみ出した若衆が出てきてしまった。
「諦めるもなにも、今日は呼ばれて来たんだから!」
お七は、手紙を若衆の鼻先に突きつける。
「呼ばれてぇ? ……っと、確かにこれは、女将さんの字だが……」
「でしょ? だったらさっさと通してよ!」
若衆は手紙を確かめてもまだ、怪訝な顔をしている。
「信じられねぇなあ。まずは、女将さんに確かめてから……」
「ちょっと、信じられねぇってどういうことよ!!」
「う吉!! 騒がしい!」
若衆とお七が揉めていると、奥から聞き覚えのある女の声がする。
「あ……加代さん?」
「馬鹿! お前! 女将さんに向かって!!」
う吉が無理矢理にお七の頭を下げさせる。
佐和が味噌屋のドラ息子に襲われた時に助けてくれた、あの加代が、女将さんだったんだ。
お七は、びっくりしたまま、う吉に促されるままに加代に挨拶する。
「加代さん……じゃなかった。女将さん、手紙ありがとうございます!」
「お七、待っていたよ」
加代がニコリと笑って手招きしてくれる。
「お、女将さん! 本当に良いんですかい?」
加代の後に付いて行こうとするお七の後ろから、う吉が抗議の声をあげる。
「良いんだよ。私が許可したんだ」
「ですが……」
「うっさい! ぴょん吉!!」
ぴょん吉と呼ばれて、う吉が黙る。
「ぴょん吉……あ、まさか、う吉の『う』って、卯の『う』?」
「てめぇ!! 気づいても黙っていろよ!!」
あんなに大きな体で、うさぎなんだ。
お七はつい笑ってしまう。
「笑うなよ」
「だって、うさぎっぽくなくて」
「しょうがねぇだろう? 干支にちなんで、兄貴が『寅吉』、弟が『辰吉』間の俺が『卯吉』になるんだよっ!」
なるほど。
寅吉、卯吉、辰吉の三兄弟なのだ。
「ウチの組の要の三兄弟なんだ。なぁ、ぴょん吉」
「女将さん、その呼び方は勘弁してくだせぇ」
大きな卯吉が頭を掻きながら小さくなっている。
「お七、来な! ウチの人に紹介してやる」
加代はそれだけ言って、さっさと廊下を奥へ歩き始める。
お七は慌てて草履を脱いで、加代の後をついていった。
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お七は、自然と緊張して唾を飲んだ。
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