25 / 32
2異世界
ニグルの盾
しおりを挟む
ニグルの城。
与えられた部屋で二人だけになった時に、
「早く盾を探さなきゃ。」
一向に動く気配のないニセを綾香は急かす。
アジムに残した姫と英司が心配だ。ニセの腕に刀傷が出現したのだから、きっと事態は良くないはず。なのに、盾を探すように動いては見えない。
「もうやっている。だが、見つからんのだ。」
ニセが、先ほど見せた妖精を出す。
妖精は、悲しそうに首を横に振る。
なんだ。探していたんだ。魔法で作った妖精を飛ばして、城を探索していたということかな?
あいかわらず、何も話してくれない。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)という有名な言葉を、ニセに贈りたい。
「主よ。私も呼びかけてみましょうか?」
夕月が人間になってそう言う。
「ああ。そうしてみてくれ。夕月の言葉なら、盾も呼応するかもしれない。」
ニセにそう言われて、夕月が歌い出す。
何度も聞いたあの不思議な歌詞の聖なる歌。
ニセの作った妖精が、慌てて飛び出す。何かを感じたのだろうか?
「何か、光るものがあるとニンフが言っている。夕月の呼びかけに反応した盾かもしれない。」
ニセは夕月を剣に戻して、妖精の後を追った。
どうして置いて行って良いと考えるのか。
綾香も慌ててニセの後を追う。
着いたのは、馬小屋。
「ここ?」
「ああ。妖精はここに反応があったと言っている。」
「再度歌ってみます。」
夕月が歌えば、馬小屋の中から呼応して歌う者がある。歌詞のないハミング。男の声?
馬小屋に入れば、馬が何頭かいるだけで、人がいない。
普通、城の馬小屋ってだれか馬番みたいな人がいるんじゃないだろうか?
「馬番がいないのは、誰かを呼びに行ったの?」
「ああ。異変に気付いて助けを呼びに行ったと考えていい。面倒だ。早くした方がよいな。」
敷き藁の下が青白く光っている。声もそこからする。
藁をどけてみれば、そこには不思議な文様がかかれている。
「封印されている。」
「解ける?」
「ええっと、地は広く・水は流れ・風は歌う・空の光に満ち・木は生い茂る・土は豊かに・金は溢れ・水は清らか。だが、我らには、足りない。ふうん。基本だ。」
何のことだろう?
綾香が考える前に、ニセが炎のドラゴンを文様に上に座らせる。
突然の燃え盛るドラゴンの出現に、馬たちが暴れ始める。
ニセは平然としているが、周囲は大混乱だ。
我慢できなくなった綾香は、ニセの頬を強烈な勢いで平手打ちする。
突然の綾香からの攻撃に、まともにくらってニセが目を白黒させる。
「ど、どうした?」
怒りに震える綾香に、ニセは戸惑う。
「事前に説明!!勝手に行動しない!!」
「は?地水風空と木土金水だぞ?足らんのは、火に決まっているだろうが。」
何を当たり前のことを聞くんだ?何を説明しろというんだ?と、ニセが首をひねる。
「知る訳ないでしょ。事前に教えてよ。いきなりの炎に驚くのは当然でしょ?」
綾香が怒れば、意味が分からんとニセがため息をつく。
チート野郎め。
「じゃあ、消すぞ?」
「早くしてよ。」
「説明しろって言ったくせに。」
ドラゴンが消えれば、文様が膨らみ、扉となって開いて、地面にポッカリと穴が開く。
「出でよ。ニグルの盾よ。」
そうニセが声を掛ければ、緑の髪の耳のとがった男が姿を現す。
にこやかで絵で見たエルフのような容姿をしている。夕月のように盾の精霊ということだろうか?
とてもエレガントな姿・・・。綾香が見惚れていると、ニグルの盾が、のたまう。
「はあ~。狭もうてめっちゃ肩凝ったわぁ。あんさんが聖者はんでっか?」
関西弁・・・。イメージと全然違う。
チェンジでお願いしたい。
与えられた部屋で二人だけになった時に、
「早く盾を探さなきゃ。」
一向に動く気配のないニセを綾香は急かす。
アジムに残した姫と英司が心配だ。ニセの腕に刀傷が出現したのだから、きっと事態は良くないはず。なのに、盾を探すように動いては見えない。
「もうやっている。だが、見つからんのだ。」
ニセが、先ほど見せた妖精を出す。
妖精は、悲しそうに首を横に振る。
なんだ。探していたんだ。魔法で作った妖精を飛ばして、城を探索していたということかな?
あいかわらず、何も話してくれない。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)という有名な言葉を、ニセに贈りたい。
「主よ。私も呼びかけてみましょうか?」
夕月が人間になってそう言う。
「ああ。そうしてみてくれ。夕月の言葉なら、盾も呼応するかもしれない。」
ニセにそう言われて、夕月が歌い出す。
何度も聞いたあの不思議な歌詞の聖なる歌。
ニセの作った妖精が、慌てて飛び出す。何かを感じたのだろうか?
「何か、光るものがあるとニンフが言っている。夕月の呼びかけに反応した盾かもしれない。」
ニセは夕月を剣に戻して、妖精の後を追った。
どうして置いて行って良いと考えるのか。
綾香も慌ててニセの後を追う。
着いたのは、馬小屋。
「ここ?」
「ああ。妖精はここに反応があったと言っている。」
「再度歌ってみます。」
夕月が歌えば、馬小屋の中から呼応して歌う者がある。歌詞のないハミング。男の声?
馬小屋に入れば、馬が何頭かいるだけで、人がいない。
普通、城の馬小屋ってだれか馬番みたいな人がいるんじゃないだろうか?
「馬番がいないのは、誰かを呼びに行ったの?」
「ああ。異変に気付いて助けを呼びに行ったと考えていい。面倒だ。早くした方がよいな。」
敷き藁の下が青白く光っている。声もそこからする。
藁をどけてみれば、そこには不思議な文様がかかれている。
「封印されている。」
「解ける?」
「ええっと、地は広く・水は流れ・風は歌う・空の光に満ち・木は生い茂る・土は豊かに・金は溢れ・水は清らか。だが、我らには、足りない。ふうん。基本だ。」
何のことだろう?
綾香が考える前に、ニセが炎のドラゴンを文様に上に座らせる。
突然の燃え盛るドラゴンの出現に、馬たちが暴れ始める。
ニセは平然としているが、周囲は大混乱だ。
我慢できなくなった綾香は、ニセの頬を強烈な勢いで平手打ちする。
突然の綾香からの攻撃に、まともにくらってニセが目を白黒させる。
「ど、どうした?」
怒りに震える綾香に、ニセは戸惑う。
「事前に説明!!勝手に行動しない!!」
「は?地水風空と木土金水だぞ?足らんのは、火に決まっているだろうが。」
何を当たり前のことを聞くんだ?何を説明しろというんだ?と、ニセが首をひねる。
「知る訳ないでしょ。事前に教えてよ。いきなりの炎に驚くのは当然でしょ?」
綾香が怒れば、意味が分からんとニセがため息をつく。
チート野郎め。
「じゃあ、消すぞ?」
「早くしてよ。」
「説明しろって言ったくせに。」
ドラゴンが消えれば、文様が膨らみ、扉となって開いて、地面にポッカリと穴が開く。
「出でよ。ニグルの盾よ。」
そうニセが声を掛ければ、緑の髪の耳のとがった男が姿を現す。
にこやかで絵で見たエルフのような容姿をしている。夕月のように盾の精霊ということだろうか?
とてもエレガントな姿・・・。綾香が見惚れていると、ニグルの盾が、のたまう。
「はあ~。狭もうてめっちゃ肩凝ったわぁ。あんさんが聖者はんでっか?」
関西弁・・・。イメージと全然違う。
チェンジでお願いしたい。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる