異世界から来た自分の分身が邪悪過ぎるのだけれどどうしたらいい?

ねこ沢ふたよ

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2異世界

ニグルの盾

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 ニグルの城。
 与えられた部屋で二人だけになった時に、
「早く盾を探さなきゃ。」
一向に動く気配のないニセを綾香は急かす。
 アジムに残した姫と英司が心配だ。ニセの腕に刀傷が出現したのだから、きっと事態は良くないはず。なのに、盾を探すように動いては見えない。
「もうやっている。だが、見つからんのだ。」
ニセが、先ほど見せた妖精を出す。
 妖精は、悲しそうに首を横に振る。

 なんだ。探していたんだ。魔法で作った妖精を飛ばして、城を探索していたということかな?
 あいかわらず、何も話してくれない。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)という有名な言葉を、ニセに贈りたい。

「主よ。私も呼びかけてみましょうか?」
夕月が人間になってそう言う。
「ああ。そうしてみてくれ。夕月の言葉なら、盾も呼応するかもしれない。」
ニセにそう言われて、夕月が歌い出す。
 何度も聞いたあの不思議な歌詞の聖なる歌。

 ニセの作った妖精が、慌てて飛び出す。何かを感じたのだろうか?
「何か、光るものがあるとニンフが言っている。夕月の呼びかけに反応した盾かもしれない。」
ニセは夕月を剣に戻して、妖精の後を追った。

 どうして置いて行って良いと考えるのか。
 綾香も慌ててニセの後を追う。

 着いたのは、馬小屋。
「ここ?」
「ああ。妖精はここに反応があったと言っている。」
「再度歌ってみます。」
夕月が歌えば、馬小屋の中から呼応して歌う者がある。歌詞のないハミング。男の声?
 馬小屋に入れば、馬が何頭かいるだけで、人がいない。
 普通、城の馬小屋ってだれか馬番みたいな人がいるんじゃないだろうか?
「馬番がいないのは、誰かを呼びに行ったの?」
「ああ。異変に気付いて助けを呼びに行ったと考えていい。面倒だ。早くした方がよいな。」
敷き藁の下が青白く光っている。声もそこからする。
 藁をどけてみれば、そこには不思議な文様がかかれている。
「封印されている。」
「解ける?」
「ええっと、地は広く・水は流れ・風は歌う・空の光に満ち・木は生い茂る・土は豊かに・金は溢れ・水は清らか。だが、我らには、足りない。ふうん。基本だ。」
何のことだろう?
 綾香が考える前に、ニセが炎のドラゴンを文様に上に座らせる。

 突然の燃え盛るドラゴンの出現に、馬たちが暴れ始める。
 ニセは平然としているが、周囲は大混乱だ。

 我慢できなくなった綾香は、ニセの頬を強烈な勢いで平手打ちする。
 突然の綾香からの攻撃に、まともにくらってニセが目を白黒させる。
「ど、どうした?」
怒りに震える綾香に、ニセは戸惑う。
「事前に説明!!勝手に行動しない!!」
「は?地水風空と木土金水だぞ?足らんのは、火に決まっているだろうが。」
何を当たり前のことを聞くんだ?何を説明しろというんだ?と、ニセが首をひねる。
「知る訳ないでしょ。事前に教えてよ。いきなりの炎に驚くのは当然でしょ?」
綾香が怒れば、意味が分からんとニセがため息をつく。
 チート野郎め。
「じゃあ、消すぞ?」
「早くしてよ。」
「説明しろって言ったくせに。」
ドラゴンが消えれば、文様が膨らみ、扉となって開いて、地面にポッカリと穴が開く。
「出でよ。ニグルの盾よ。」
そうニセが声を掛ければ、緑の髪の耳のとがった男が姿を現す。
 にこやかで絵で見たエルフのような容姿をしている。夕月のように盾の精霊ということだろうか?
 とてもエレガントな姿・・・。綾香が見惚れていると、ニグルの盾が、のたまう。


「はあ~。狭もうてめっちゃ肩凝ったわぁ。あんさんが聖者はんでっか?」
関西弁・・・。イメージと全然違う。
チェンジでお願いしたい。
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