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生きているの?
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結局、私達は、倒れた貴子を置き去りにして、逃げ帰ったのだ。
私が家の前に辿り着いた時に、時刻は九時になっていた。
貴子の家は、私の家の向かい。
貴子の部屋は、道路沿いの部屋だった。
「嘘でしょ?」
私は貴子の部屋を見上げて、足が止まる。
貴子の部屋の灯りが点いている。
「貴子……生きている?」
じゃあ、あれは、今見て来た光景はなんだったのか。
誰か別の人の遺体だった?
ううん、違う。
暗がりで三階建ての屋上から見た光景だったけれども、確かに貴子だった。
あんなにスラリと伸びた手足の生徒なんて、他にいない。
遠目からも分かる。
あれは貴子だ。
私は、恐る恐る貴子の家のインターフォンを押す。
「はい」
出たのは、貴子のお母さんだった。
貴子は、両親が離婚して、母子家庭の一人っ子だった。
それは仲の良い親子で、学校にいる時以外は、ほとんど一緒にいてた。
私は、貴子の迎えに来たお母さんの自動車を、よく校門の脇で見た。
もし、貴子のお母さんが、貴子の死を知れば、どうなるのだろう。
泣き崩れて、私達が犯人ではないのかと、詰るだろうか。
「お向かいのミライです。あの……貴子は、帰っていますか?」
私の声は震えていた。
貴子のお母さんが、怖くて仕方なかった。
「貴子は部屋にいますけど、今何時だと思っているんですか?」
貴子の母の不機嫌な声で、私は、今、夜の九時であることを思い出す。
普通、家に何の約束もなく訪問するには遅い時間だ。
「貴子は、明日も早くに撮影があるんです。こんな時間に訪ねてくるなんて、非常識にもほどがあります」
怒っている。
すごく怒っている、貴子のお母さん。
「あ……いえ、家にいるならば、良いんです……失礼しました」
私は、慌てて謝って、会話を切り上げた。
本当は、貴子に会って話したいけれども、こんなにお母さんが怒っているならば、貴子と話すのは無理だ。
でも部屋にいるんだ、貴子。
……良かった。貴子は死んでいなかったんだ。
私は、貴子の部屋の灯りを見上げる。
カーテンが閉まっていて、貴子の姿は確認できないけれども、あそこに貴子はいるのだ。
私は、心の底からホッとした。
『貴子、生きていた。お母さんが、家にいるって言ってた!』
私は、自分の部屋に戻ると天文部のグループチャットに書き込んで皆に報告した。
『良かった』
紗栄が、一番に返信してくる。
可愛いウサギが、大喜びしている絵文字付きだ。
紗栄もホッとしたのだろう。
分かる、あんなに怯えていたものね。
『なに、じゃあ、あれは何だったの?』(奈美)
『知らない。貴子の悪戯とか?』(私)
『え、そんな馬鹿な!』(慎也)
『でも、貴子のお母さんが、家にいるって言ってたし』(私)
グループチャットは、たちまちリプの嵐になる。
『中本先輩の姿は見ましたか?』(理人)
『見ていないよ。だって、もう夜だし。お母さん不機嫌たっだし』(私)
その夜、リプが止まったのは、深夜のことだった。
『ともかくだ。朝九時に校舎に集合して、もう一度確かめよう』(慎也)
深夜十二時。これが、最後のリプだった。
慎也の気持ちは、よく分かる。
だって、私達は、確かに見たのだ。
中庭に転がる貴子の遺体を。
あれが、何だったのか。
もう一度確かめたい。慎也の気持ちは、よく分かる。
私が家の前に辿り着いた時に、時刻は九時になっていた。
貴子の家は、私の家の向かい。
貴子の部屋は、道路沿いの部屋だった。
「嘘でしょ?」
私は貴子の部屋を見上げて、足が止まる。
貴子の部屋の灯りが点いている。
「貴子……生きている?」
じゃあ、あれは、今見て来た光景はなんだったのか。
誰か別の人の遺体だった?
ううん、違う。
暗がりで三階建ての屋上から見た光景だったけれども、確かに貴子だった。
あんなにスラリと伸びた手足の生徒なんて、他にいない。
遠目からも分かる。
あれは貴子だ。
私は、恐る恐る貴子の家のインターフォンを押す。
「はい」
出たのは、貴子のお母さんだった。
貴子は、両親が離婚して、母子家庭の一人っ子だった。
それは仲の良い親子で、学校にいる時以外は、ほとんど一緒にいてた。
私は、貴子の迎えに来たお母さんの自動車を、よく校門の脇で見た。
もし、貴子のお母さんが、貴子の死を知れば、どうなるのだろう。
泣き崩れて、私達が犯人ではないのかと、詰るだろうか。
「お向かいのミライです。あの……貴子は、帰っていますか?」
私の声は震えていた。
貴子のお母さんが、怖くて仕方なかった。
「貴子は部屋にいますけど、今何時だと思っているんですか?」
貴子の母の不機嫌な声で、私は、今、夜の九時であることを思い出す。
普通、家に何の約束もなく訪問するには遅い時間だ。
「貴子は、明日も早くに撮影があるんです。こんな時間に訪ねてくるなんて、非常識にもほどがあります」
怒っている。
すごく怒っている、貴子のお母さん。
「あ……いえ、家にいるならば、良いんです……失礼しました」
私は、慌てて謝って、会話を切り上げた。
本当は、貴子に会って話したいけれども、こんなにお母さんが怒っているならば、貴子と話すのは無理だ。
でも部屋にいるんだ、貴子。
……良かった。貴子は死んでいなかったんだ。
私は、貴子の部屋の灯りを見上げる。
カーテンが閉まっていて、貴子の姿は確認できないけれども、あそこに貴子はいるのだ。
私は、心の底からホッとした。
『貴子、生きていた。お母さんが、家にいるって言ってた!』
私は、自分の部屋に戻ると天文部のグループチャットに書き込んで皆に報告した。
『良かった』
紗栄が、一番に返信してくる。
可愛いウサギが、大喜びしている絵文字付きだ。
紗栄もホッとしたのだろう。
分かる、あんなに怯えていたものね。
『なに、じゃあ、あれは何だったの?』(奈美)
『知らない。貴子の悪戯とか?』(私)
『え、そんな馬鹿な!』(慎也)
『でも、貴子のお母さんが、家にいるって言ってたし』(私)
グループチャットは、たちまちリプの嵐になる。
『中本先輩の姿は見ましたか?』(理人)
『見ていないよ。だって、もう夜だし。お母さん不機嫌たっだし』(私)
その夜、リプが止まったのは、深夜のことだった。
『ともかくだ。朝九時に校舎に集合して、もう一度確かめよう』(慎也)
深夜十二時。これが、最後のリプだった。
慎也の気持ちは、よく分かる。
だって、私達は、確かに見たのだ。
中庭に転がる貴子の遺体を。
あれが、何だったのか。
もう一度確かめたい。慎也の気持ちは、よく分かる。
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