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電話
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「紗栄と連絡しようとしているの?」
「そうよ。だって、昨日帰った時に、気になることを言っていたから」
奈美と紗栄は、帰る方向が一緒だ。
二人で歩いている時に、紗栄の様子が変だったということか。
「どんなだったの?」
「うん……なんて言うか、貴子の倒れているのをみたでしょ? 私は、もう貴子が死んでいると思って、間に合わないと思って関わらないでおこうとしたのよ。けれど、紗栄は、ずいぶんと気にしていたの」
「待って! 何、何でそう思うの?」
奈美は、何を見て、貴子がすでに死んでいると思ったのだろう。
私は、あの時に、全然気づかなかった。
「だって、無理でしょ? 手の向き」
「手の向き?」
「そう。手の向き。指も折れていたし、手首も……て、思い出させないでよ。目が開いて、あの手の向きで動かない。これで死んでいないなら、びっくりよ。それこそ、貴子が意地悪過ぎるドッキリを仕掛けたとしか思えないわ」
芸能活動しているんだから、その可能性もゼロではないけれどももね……と、奈美は付け足す。
目が開いているのは、私も気付いたのだけれども、手首や指の方向までは、全く気付かなかった。
「そんな事まで見てなかった」
「ミライは……まあ、そうでしょうね」
含みのある言い方をして、フフンと奈美が笑う。
「つまり、生きていたとしたら質の悪い最低の嫌がらせだし、死んでいたとすれば手遅れ。あそこで私達が救急に通報したって、無駄だってことよ。いずれにせよ、関わらない方が良いと思ったの」
通報はしたのよ、慎也が。
でも、どうも無駄だったみたい。
しかも、今日見たら、貴子の身体は、中庭には無かったし。
「奈美、すごい。名探偵だわ」
「あんたね、この程度で……て、まあいいわ。それよりも、紗栄よ。紗栄があまりに落ち込んでいたから、気になっていたんだけれども、ミライ、あんた何か知らない?」
「ああ、うん。それなんだけれども……」
私は、紗栄が体育倉庫で首を吊っていたことを話した。
「え、何それ。嘘でしょ?」
「嘘だったら、どんなにいいか」
奈美に話している内に、私の目に涙がたまる。
そうだ。
紗栄は、体育倉庫で亡くなったんだ。
私達は、助けられなかった。
涙が、どんどん溢れて、奈美に発見した時の話をしているのに、嗚咽で続けられなくなる。
知らなかった。
本当に大変な時の涙って、こんな風に後から出てくるものなんだ。
何とか、警察官の西野さんが、自殺だろうって、言っていたことまで話し終える。
「うん、分かった。大丈夫、ミライは、ちゃんと頑張ったから」
奈美が慰めてくれる言葉が、ありがたい。
ほんの少しだけ、心が、軽くなる。
「ねえ、貴子は、やっぱり死んでいると思う?」
「え? でも、貴子のお母さんが、部屋にいるって言っていたんでしょ? だったら、生きているんでしょ。だったら、質の悪い悪戯なのよ。今頃は、東京の渋谷辺りで遊んでいるんじゃない?」
いいなあと、奈美がぼやく。
「奈美も、東京へ行きたいの?」
「いずれはね。こんな田舎にいたって何もいいことないもの。今は無理でも、東京の大学を受験して、向こうで就職したいじゃない」
そうなんだ。
私は、星が綺麗なこの街が好き。
だから、東京に出るなんて、考えたこともなかった。
貴子は、どうだったのだろう。
芸能活動が嫌だと中学の時に言っていた貴子。
貴子は、東京に出ることを望んでいたのだろうか。
「紗栄、喜んでいたのにね。貴子のお母さんが、貴子が部屋にいるって知った時」
奈美が、紗栄のことに話を戻す。
「今日になって、今度は紗栄が自殺? 何があったんだろう」
「でも、昨日の今日だもの。貴子の件が、まるっきり無関係とは、考え難いよね」
電話の向こうで、奈美が考え込む。
こんなに奈美が頼りになるなんて、知らなかった。
いっそ、慎也の写真のことも、理人の喫茶店での話も、言ってしまおうか。
奈美ならば、何か、解決策が分かるかもしれない。
でも、気になるのは、「誰も信用するな」という慎也の言葉。
もし、それに奈美も入っているとしたら?
そしたら、どうなるのだろう。
「そうよ。だって、昨日帰った時に、気になることを言っていたから」
奈美と紗栄は、帰る方向が一緒だ。
二人で歩いている時に、紗栄の様子が変だったということか。
「どんなだったの?」
「うん……なんて言うか、貴子の倒れているのをみたでしょ? 私は、もう貴子が死んでいると思って、間に合わないと思って関わらないでおこうとしたのよ。けれど、紗栄は、ずいぶんと気にしていたの」
「待って! 何、何でそう思うの?」
奈美は、何を見て、貴子がすでに死んでいると思ったのだろう。
私は、あの時に、全然気づかなかった。
「だって、無理でしょ? 手の向き」
「手の向き?」
「そう。手の向き。指も折れていたし、手首も……て、思い出させないでよ。目が開いて、あの手の向きで動かない。これで死んでいないなら、びっくりよ。それこそ、貴子が意地悪過ぎるドッキリを仕掛けたとしか思えないわ」
芸能活動しているんだから、その可能性もゼロではないけれどももね……と、奈美は付け足す。
目が開いているのは、私も気付いたのだけれども、手首や指の方向までは、全く気付かなかった。
「そんな事まで見てなかった」
「ミライは……まあ、そうでしょうね」
含みのある言い方をして、フフンと奈美が笑う。
「つまり、生きていたとしたら質の悪い最低の嫌がらせだし、死んでいたとすれば手遅れ。あそこで私達が救急に通報したって、無駄だってことよ。いずれにせよ、関わらない方が良いと思ったの」
通報はしたのよ、慎也が。
でも、どうも無駄だったみたい。
しかも、今日見たら、貴子の身体は、中庭には無かったし。
「奈美、すごい。名探偵だわ」
「あんたね、この程度で……て、まあいいわ。それよりも、紗栄よ。紗栄があまりに落ち込んでいたから、気になっていたんだけれども、ミライ、あんた何か知らない?」
「ああ、うん。それなんだけれども……」
私は、紗栄が体育倉庫で首を吊っていたことを話した。
「え、何それ。嘘でしょ?」
「嘘だったら、どんなにいいか」
奈美に話している内に、私の目に涙がたまる。
そうだ。
紗栄は、体育倉庫で亡くなったんだ。
私達は、助けられなかった。
涙が、どんどん溢れて、奈美に発見した時の話をしているのに、嗚咽で続けられなくなる。
知らなかった。
本当に大変な時の涙って、こんな風に後から出てくるものなんだ。
何とか、警察官の西野さんが、自殺だろうって、言っていたことまで話し終える。
「うん、分かった。大丈夫、ミライは、ちゃんと頑張ったから」
奈美が慰めてくれる言葉が、ありがたい。
ほんの少しだけ、心が、軽くなる。
「ねえ、貴子は、やっぱり死んでいると思う?」
「え? でも、貴子のお母さんが、部屋にいるって言っていたんでしょ? だったら、生きているんでしょ。だったら、質の悪い悪戯なのよ。今頃は、東京の渋谷辺りで遊んでいるんじゃない?」
いいなあと、奈美がぼやく。
「奈美も、東京へ行きたいの?」
「いずれはね。こんな田舎にいたって何もいいことないもの。今は無理でも、東京の大学を受験して、向こうで就職したいじゃない」
そうなんだ。
私は、星が綺麗なこの街が好き。
だから、東京に出るなんて、考えたこともなかった。
貴子は、どうだったのだろう。
芸能活動が嫌だと中学の時に言っていた貴子。
貴子は、東京に出ることを望んでいたのだろうか。
「紗栄、喜んでいたのにね。貴子のお母さんが、貴子が部屋にいるって知った時」
奈美が、紗栄のことに話を戻す。
「今日になって、今度は紗栄が自殺? 何があったんだろう」
「でも、昨日の今日だもの。貴子の件が、まるっきり無関係とは、考え難いよね」
電話の向こうで、奈美が考え込む。
こんなに奈美が頼りになるなんて、知らなかった。
いっそ、慎也の写真のことも、理人の喫茶店での話も、言ってしまおうか。
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