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雑魚三匹

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 「チョロ雑魚」リオスに、「チョロ雑魚」マキノと「並雑魚」リンネが仲間になった。

 アスナに雑魚認定された三人で、どうにかアスナが正妃と認定されない方法を考えるが、いい考えは浮かばない。何せ雑魚だから……クソッ


「もうどうしたらいいんだ」

 嘆いて机に突っ伏す俺。

「恋愛なんて、制御不能な物だろ? どうしようもないよな」
とマキノ。

 そう。恋愛は、どんな条件でどうなるかなんて決まっていない。同じ事をしても、その結果が数学みたいに約束されているものではない。だから、面倒だ。雑魚三人では、良い方法なんて物が、見つかる訳ない。

「しかし、あんな考えのアスナが正妃になったらその後が、困ります」

 リンネの言う通りだ。
 あのアスナにとって邪魔なシロノを断罪するためにセシルを落としたいという表明。 打算的で、セシルを支えようという考えなんて露ほどもなさそうだ。国がどうなろうが、知ったことではない、セシルがどうなろうが知ったことではないということでは、ないだろうか。

「だけれども、アスナをセシルが選ぶかどうかは、まだ分からないし」

 そう。もし、セシルが、ドMなら、きっとアスナは選ばない。アスナのように庇護欲に訴えるタイプは選ばないだろう。
 しかし、風邪の時に俺なんかをほっとけないで看病していたセシルや、ユーカスに絡まれていた俺を助けてくれたセシルを思い出せば、庇護欲をくすぐられると、放っておけないタイプではないかと思われる。

 やばくない? これ。

 考えがまとまらないまま、夕食の時間になり三人で食堂に向かう。

 視線を感じてチラリと上級生の方をみると、セシルがこちらを見ている。目が合うとセシルは、フイッとまた視線をそらしてしまった。
 なんなんだろう??
 話があると以前に言っていた。それが、気になっているのかも知れない。どんな話なのか。

「セシル様!! あのっ……!」
アスナの声。
 呼ばれてセシルが食堂の入り口に向かう。何かを話している二人。着実にアスナは距離を詰めにきているのだろう。

「やばいかな? あれ……」

 リンネの言う通り、セシルとアスナは、かなり親密そうだ。
 何か話して笑い合っている。

「仕方ない。行け、リオス。今だけ許す」

と、マキノが俺の背中を押す。

 は? え? 何を許されて、俺はどこに行けばいいの??

 オロオロしながらも、俺は、セシルに近づく。
 とりあえず、アスナとセシルの邪魔をしろということだろう。なら、三人で行けばよくない?何で俺だけ?

「あ、あの……セシル様」

 オロオロしながら、俺は、セシルに声をかける。
 セシルの眉間に深い深い皺がよる。また、怒らせたようだ。

「なんだ?」

セシルの言葉は厳しい。アスナの目が、お前邪魔、と言っている。アウェー感満載だ。

 どうしたらいいのやら……。
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