52 / 59
断罪は始まった
しおりを挟む
セシルの誕生日のパーティ会場には、王宮の広場。そこには大勢の女性がいた。
それこそ、街のパン屋の娘、メイド、貴族の娘。様々な女性で、我こそは正妃に! と思う者が、集まっている。
色とりどりのドレスでめかし込んだ者達。とても華やかで楽しい浮足立つ雰囲気。
ひょっとしら、自分が選ばれるかもしれないと、期待と不安の入り混じった表情を浮かべる人々。
そう、この華やかな雰囲気を、シロノにもぜひ味合わせてあげたかった。
いや、俺が味わってどうするんだ。
名前を登録し、正妃に選ばれることを望んでいることを意思表明する。
俺とロージイが名前を書いた後にすぐ、名簿は回収されてしまった。
規定に時間になり、受付が締め切られたのだろう。
「なんとか間に合いましたね」
「ああ。とにかく、選ばれないとしても、この場に参加まで出来ないのは間違っている」
そんなの、他人が決めることではない。シロノの想いをアスナなんかに邪魔されてたまるか。
俺とロージイは、二人で広場の片隅に立つ。
願わくば、リンネの説得に、シロノが応じて、セシルが現れる前に、入れ替わることができますように。
「私が選ばれることもあるんですよね」
「もちろんだよ。ロージイ! その時には、心から祝福するよ」
人気者の王太子セシル。その正妃になりたい者に等しく権利が与えられているのだ。
壇上に、大臣が立つ。
「これより、王太子セシル様の……」
「少しお待ちください!」
大臣の挨拶が始まる時に、それを遮る者がいる。
アスナだ。
会場がざわつく。
取り巻きに守られて、アスナが壇上に立つ。
「この場に相応しくない者が、ここに紛れております!」
アスナが、高らかに宣言する。
俺とロージイは、警戒する。
「セシル様をたびたび傷つけ、命の危険に晒し、のうのうとこの場に参加する者を、私は、認めたくありません!」
自信満々のアスナ。大臣が眉を顰める。
「何か証拠は? 一体誰のことを言っているのですか?」
当然のように、大臣は異を唱える。
「証拠は、もちろんあります。その人物は、そこにいるシロノ・エルグ! 悪宰相グスタフ・エルグの娘です!」
アスナが指した先の俺に、会場中の視線が集まる。
断罪が始まった。
「ロージイ。離れていた方がいい。巻き込まれる」
俺は、ロージイに小声で指示して、離れさせる。
万一俺が弁明に失敗すれば、俺だけではない、ロージイが危険に晒される。
ロージイは、素直に俺から離れて、どこかに走っていってしまった。それでいい。万一の時に断罪され罰を受けるのは、俺一人で十分だ。
「何をおっしゃっているのですか? わたくしにどんな落ち度が? セシル様を傷つけるなんて、ある訳ないでしょう?」
俺は、シロノとして堂々とアスナの言葉を受ける。
証拠なんてあるはずがない。そもそも、シロノがセシルを傷つけるはずはないのだから。
「証拠は、セシル様の腕にある傷です!」
アスナが叫ぶ。
「皆様! セシル様は昔、このシロノにナイフで刺されたことがあるのです! それは、明らかに王族に対する反逆であり、法にのっとれば、死刑に値します! ここに居る、メイド長ラーラが、全てを見ておりました!」
あの子どもの頃、俺がセシル様を刺してしまった事件のことを言っているのか! よく調べあげたな、アスナの奴!
それこそ、街のパン屋の娘、メイド、貴族の娘。様々な女性で、我こそは正妃に! と思う者が、集まっている。
色とりどりのドレスでめかし込んだ者達。とても華やかで楽しい浮足立つ雰囲気。
ひょっとしら、自分が選ばれるかもしれないと、期待と不安の入り混じった表情を浮かべる人々。
そう、この華やかな雰囲気を、シロノにもぜひ味合わせてあげたかった。
いや、俺が味わってどうするんだ。
名前を登録し、正妃に選ばれることを望んでいることを意思表明する。
俺とロージイが名前を書いた後にすぐ、名簿は回収されてしまった。
規定に時間になり、受付が締め切られたのだろう。
「なんとか間に合いましたね」
「ああ。とにかく、選ばれないとしても、この場に参加まで出来ないのは間違っている」
そんなの、他人が決めることではない。シロノの想いをアスナなんかに邪魔されてたまるか。
俺とロージイは、二人で広場の片隅に立つ。
願わくば、リンネの説得に、シロノが応じて、セシルが現れる前に、入れ替わることができますように。
「私が選ばれることもあるんですよね」
「もちろんだよ。ロージイ! その時には、心から祝福するよ」
人気者の王太子セシル。その正妃になりたい者に等しく権利が与えられているのだ。
壇上に、大臣が立つ。
「これより、王太子セシル様の……」
「少しお待ちください!」
大臣の挨拶が始まる時に、それを遮る者がいる。
アスナだ。
会場がざわつく。
取り巻きに守られて、アスナが壇上に立つ。
「この場に相応しくない者が、ここに紛れております!」
アスナが、高らかに宣言する。
俺とロージイは、警戒する。
「セシル様をたびたび傷つけ、命の危険に晒し、のうのうとこの場に参加する者を、私は、認めたくありません!」
自信満々のアスナ。大臣が眉を顰める。
「何か証拠は? 一体誰のことを言っているのですか?」
当然のように、大臣は異を唱える。
「証拠は、もちろんあります。その人物は、そこにいるシロノ・エルグ! 悪宰相グスタフ・エルグの娘です!」
アスナが指した先の俺に、会場中の視線が集まる。
断罪が始まった。
「ロージイ。離れていた方がいい。巻き込まれる」
俺は、ロージイに小声で指示して、離れさせる。
万一俺が弁明に失敗すれば、俺だけではない、ロージイが危険に晒される。
ロージイは、素直に俺から離れて、どこかに走っていってしまった。それでいい。万一の時に断罪され罰を受けるのは、俺一人で十分だ。
「何をおっしゃっているのですか? わたくしにどんな落ち度が? セシル様を傷つけるなんて、ある訳ないでしょう?」
俺は、シロノとして堂々とアスナの言葉を受ける。
証拠なんてあるはずがない。そもそも、シロノがセシルを傷つけるはずはないのだから。
「証拠は、セシル様の腕にある傷です!」
アスナが叫ぶ。
「皆様! セシル様は昔、このシロノにナイフで刺されたことがあるのです! それは、明らかに王族に対する反逆であり、法にのっとれば、死刑に値します! ここに居る、メイド長ラーラが、全てを見ておりました!」
あの子どもの頃、俺がセシル様を刺してしまった事件のことを言っているのか! よく調べあげたな、アスナの奴!
10
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
第一王子と見捨てられた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
アナトール公爵令嬢のマリアは婚約者である第一王子のザイツからあしらわれていた。昼間お話することも、夜に身体を重ねることも、なにもなかったのだ。形だけの夫婦生活。ザイツ様の新しい婚約者になってやろうと躍起になるメイドたち。そんな中、ザイツは戦地に赴くと知らせが入った。夫婦関係なんてとっくに終わっていると思っていた矢先、マリアの前にザイツが現れたのだった。
お読みいただきありがとうございます。こちらの話は24話で完結とさせていただきます。この後は「第一王子と愛された公爵令嬢」に続いていきます。こちらもよろしくお願い致します。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
お掃除侍女ですが、婚約破棄されたので辺境で「浄化」スキルを極めたら、氷の騎士様が「綺麗すぎて目が離せない」と溺愛してきます
咲月ねむと
恋愛
王宮で侍女として働く私、アリシアは、前世の記憶を持つ転生者。清掃員だった前世の知識を活かし、お掃除に情熱を燃やす日々を送っていた。その情熱はいつしか「浄化」というユニークスキルにまで開花!…したことに本人は全く気づいていない。
そんなある日、婚約者である第二王子から「お前の周りだけ綺麗すぎて不気味だ!俺の完璧な美貌が霞む!」という理不尽な理由で婚約破棄され、瘴気が漂うという辺境の地へ追放されてしまう。
しかし、アリシアはへこたれない。「これで思う存分お掃除ができる!」と目を輝かせ、意気揚々と辺境へ。そこで出会ったのは、「氷の騎士」と恐れられるほど冷徹で、実は極度の綺麗好きである辺境伯カイだった。
アリシアがただただ夢中で掃除をすると、瘴気に汚染された土地は浄化され、作物も豊かに実り始める。呪われた森は聖域に変わり、魔物さえも彼女に懐いてしまう。本人はただ掃除をしているだけなのに、周囲からは「伝説の浄化の聖女様」と崇められていく。
一方、カイはアリシアの完璧な仕事ぶり(浄化スキル)に心酔。「君の磨き上げた床は宝石よりも美しい。君こそ私の女神だ」と、猛烈なアタックを開始。アリシアは「お掃除道具をたくさんくれるなんて、なんて良いご主人様!」と、これまた盛大に勘違い。
これは、お掃除大好き侍女が、無自覚な浄化スキルで辺境をピカピカに改革し、綺麗好きなハイスペックヒーローに溺愛される、勘違いから始まる心温まる異世界ラブコメディ。
婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました
宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。
しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。
断罪まであと一年と少し。
だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。
と意気込んだはいいけど
あれ?
婚約者様の様子がおかしいのだけど…
※ 4/26
内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。
逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子
ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。
(その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!)
期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる