俺の妹が悪役令嬢?そんなの兄の俺が許さない!

ねこ沢ふたよ

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もうひとつの花言葉

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「そうか! 断ったか!!」

嬉しそうなマキノ。
新学期が始まって寮室。
俺達は、相変わらず雑魚で集まって話をしている。

「ふうん。セシル様、素直に諦めましたか。意外です」

リンネが意味深なことを言う。

「いいじゃん、『正妃補』で。何が問題なの? やっぱ正妃じゃないと嫌?」

フランネが笑いながら聞く。

「そうじゃなくて。妹と同じ夫って、そんな愛憎劇な! 俺向きではないよ」

「一途じゃないと嫌なんだ」

ツンツンとフランネが俺の頭をつつく。
だって、そうだろ? 父グスタフは、母を亡くなった後も一途に愛している。とてもシンプルだ。そういうシンプルな関係がいい。そういうのって、理想だろ? まあ、この一年で育ってしまったセシルへの想いなんて物が、さめざめと俺の中でまだ泣いているが。そのうち癒えてくれるだろう。

「……そういえば、アスナがどうなったかは、ご存知ですか?」

「どうなったの?」

俺は、アスナ達の命を救ってくれるように、セシルに頼んでおいた。
行き過ぎた行為だったけれども、アスナも必死だったのだろう。
今後、シロノに危害を加えないことだけを約束してくれるなら、許してやってほしいと願いでた。

「新学期も学校に通ってはきていますが……あれは、針のムシロでしょうね」

「どうして?」

「正妃となったシロノさんに危害を加えたのですから、今度はアスナ達が悪役令嬢とその仲間として、皆から噂され監視されて、白い目で見られます」

立場はすっかり逆転したということか。
結局、学校に通うこと自体が、辛い刑罰となってしまっているのだろう。

「同級生を魔女呼ばわりして、首まで刎ねようとしたんだぜ? その程度で済まされている方がおかしい」

マキノは憤慨している。

「あれ、マキノ。その花は?」

マキノと机の上に、花で作ったしおりが載っている。
珍しい。そんなの興味ないと思っていたのに。
新学期になって、誰か女の子と仲良くなって、もらったのだろうか?

「あ……いや。本当は、リオスの誕生日に渡したかったんだけれども、渡しそびれて枯れてきたから、そのまましおりにして使っている。だって、捨てるには忍びないだろ?」

ふうん。案外乙女チックな。
人にあげるために摘んだ花。捨てるには、気が引けたということか。

「じゃあ、俺がもらっておこうかな。だって、元々、俺にくれるんだったんだろ?」

俺が手を出せば、マキノが手にしおりを載せる。
ちょっと嬉しそうだ。
渡せてすっきりしたということか?

「リナリアですね」

「花の名前?」

「そうです。素敵でしょ?」

リンネは、ニヤニヤと笑っている。あの勿忘草のように、花に意味があるということだろうか? 今度図書館で調べてみよう。

「なあ、セシル様、諦めると思う?」

リオスがレポートの提出のためにクラウス先生の部屋に向かったあとの寮室。
リンネとマキノとフランネで、話をする。
マキノは、気になって仕方ないようだ。

「どうでしょうね。セシル様がリオスに贈り続けていたのは、勿忘草ですから。諦めていないかもしれないですね」

「勿忘草?」

「ええ。勿忘草には、『私を忘れないで』という花言葉の他に、もう一つ意味があります」

「何?」

「『真実の愛』です」

うわっと、フランネが小さな悲鳴を上げる。
まだ、セシルの卒業まで一年ある。実直なセシル。正妃であるシロノをないがしろには、しないが。そんな想いを、あのセシルが諦めるのかどうか……。

それをそのままリオスに伝えなかったということは、ついマキノを応援してしまっているのかもしれませんね。

リンネは、リナリアの花言葉を思い出す。
マキノがリオスに贈ったのは、リナリア。
花言葉は、『この恋に気づいて』
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