私の少ない命あなたなら幸せにしてくれる

第二章 関係性

1

俺は、彼女にどんな言葉を返せばいいのか数日間考え込んだ。
けれども、答えは出てこなかった。俺は机の上で肘をついて絶望をしていると玲奈が俺の机の前に立って言った。

「アキ君…どうしたんだ？最近おかしいけど…何かあったんのか？」

「…」

「話したくないならいいけど、時には友人に頼ったほうがいいぞ～」

玲奈は言い残して俺の前を去ろうとしていた。俺は玲奈の腕を掴んで止める。

「何よ…」

玲奈は戸惑った様子でこちらを見てくる。俺は玲奈の顔を見て言う。

「お前…俺が何で悩んでいるかわかるだろ？」

「いや、わからないなぁ」

玲奈はそっぽ向いて言った。これは知っているなそう思って俺は玲奈の腕に力を入れた。

「痛い、痛い…ごめん話すから放して～」

俺は、玲奈の言葉を信じて手を放した。玲奈の握った部分の腕は赤くなっていた。俺は少し力を入れすぎたかもと少し後悔していた。すると、玲奈は俺の耳元で言った。

「君は…葵様と何か関係性がありそして…受け入れられない現実を彼女から聞いてしまって…悩んでいたというところでしょ？」

俺は、小さく頷いた。すると、玲奈は自分の席について足を組んで言った。

「どうするかは君次第だが…時間は残されていないんだぞ」

その言葉が、俺の心の中を覆っていた雲が消える要因になった。
俺は起き上がり、玲奈の顔をじっと見て言った。

「玲奈…ありがとうな。なんかわかった気がするわ」

「そう…ならよかったわ」

玲奈の顔は少し赤らんでいた。
そんなことは、俺の眼中になかった。

俺は、学校が終わるのを待った。

そして、放課後俺は何も部には所属していない帰宅部というやつだったので急いで帰宅した。

「ただいまー」

俺は、だれかいるかもと思い言ったが案の定誰もかえって気はしなかった
たまに…兄と父と姉がいるのだが…みんな社会人で仕事で帰って来ない。

帰ってきたとしても、深夜…すぐに飯を食べて仕事に行ってしまう。
もうこれは、一人暮らしをしているといっても過言ではなかった。

俺は、スマホの電源を入れた。
そして、彼女と連絡の取れるメールでやり取りをしようとアプリを立ち上げる。

すると、充電がないマークが出てくる。俺はイラつきながらも充電器を探して差した。
俺は、メールで今夜いつもの公園で会おうと送った。

彼女からの返信は…わかったと来た。
俺は夜になるまで寝ることにした。

ー二時間後ー

俺は、目が覚めた。時間を見るともう少しで待ち合わせの時間であった。俺は急いで準備を済ませて公園に向かう。
公園のブランコに座っている人がいた。俺は彼女のところに駆け寄った。

彼女は俺に気が付いたのかブランコから立ち上がった。

「ごめん。遅れちゃった」

「今来たところだから大丈夫」

彼女は笑顔をこぼしながら言った。俺はその笑顔を見てほほ笑んだ。
俺は、今の気持ちをぶつけようと…

「アキ君…急にどうしたの？」

俺は彼女に抱き着いた。そして言う。

「俺が…お前を幸せにする…約束する…」

俺は涙をこぼしながら言った。すると彼女は優しく俺の背中を摩った後、頭をなでなでしながら言った。

「アキ君は昔から変わらないねぇ…」

その言葉は俺の心に刺さった。なんだか昔の思い出がよみがえってくる。
彼女とやがて離れて彼女は頬赤らめて言った。

「短い…人生の私と付き合ってくれる？」

俺はそれを聞かれてて即答した。

「うん。君の少ない人生を俺に託させて」

そう言うと、彼女は笑顔でこちらを見てきた。俺も最大限の笑顔で返したのだった。
この時…俺に初めての彼女ができたのだった。

なんだか…この時の俺は彼女とどうやって思い出を作ろうかとばかり考えていて彼女の病気のことは一切考えてはいなかった。この時、病気があるということを思い出しておけば…よかったと後悔するのだった。

ー次の日ー

俺と葵の学校での関係性は今までのまま。
けれども、休日などの葵との関係は恋人関係なのだ。

「ねぇ…？アキ君？」

俺の名前を呼んだのは、玲奈だった。玲奈のほうを見ると紙切れを渡してくる。
中には玲奈のきれいな字で書かれていた。

「放課後、屋上に来てください」

俺は読んで驚いたが…玲奈が屋上に呼ぶなんて何かあるのだろうかと考えながら学校を過ごしていったのだった。