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*煌人*2
しおりを挟む「(あぁ、もう……クソ)」
やっぱり、お前は。
いつだって、そうやって俺の心を掴むんだよ。
「(やっぱり俺は、凛が大事で――
世界一、大好きだ)」
もう、後のことなんて知るもんか。
そう思った後は、なりふり構っていられなかった。
パシッ
俺は凜の手をギュッと握り、走り出す。後ろの方で「煌人くん!?」って女子達が叫ぶ声が聞こえた気がするけど、
でも、知るもんか。
「なぁ、凛」
「……」
「凛?」
俺はコイツに用があるんだよ。
今、俺の手を引かれて、黙って俺の後ろをついてきてる、
「今、こっち見ないで。煌人……っ」
「っ! それは反則」
この真っ赤な顔をした凛に、
俺は用があるんだよ。
「(クソ、ここぞという時に、こんな顔しやがって……!)」
真っ赤な顔をして、
お前は、そんな可愛い事を言うんだ。
ヤキモチ焼いてるって、俺の目の前で宣言しちゃうような、
そんな可愛いお前に、俺はもう、
これ以上――
「なぁ凛、覚悟しとけよ」
「な、なにをっ?」
「……色々だよ」
そう言うと、凛は何を想像したのか。
更に顔が赤くなった。
「(今、凛は何を思ってんだろうな)」
戻らないといけない運動場とは正反対の方向に行く俺を、お前はどんな思いでついてきてくれてるんだよ。
いや、何も思ってないかもな。
でも――もういいんだ。
俺は告白した日から、かなり待ったんだ。
だから、覚悟しとけよ。凛。
「(もう我慢してやんねーからな)」
これ以上、待ってやるもんか。
――煌人って、呼ばないで。
――煌人って呼んでいいのは……私だけなの
あんな可愛い事を言うお前に、俺はもう我慢しねーぞ。
告白の返事は、何が何でも――今日、聞かせてもらうからな。
「ここ、空いてるな」
鍵のかかっていない空き教室を見つける。俺は靴を脱いで躊躇なく教室に入った後、ゆっくりと振り返る。
そして、
「来いよ、凛」
「……っ」
震える「その人」に、手を伸ばした。
自分にとって大事で好きな人――
改めて、今日。
俺にとって「その人」は凛以外いないって、そう思ったんだ。
*煌人*end
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