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エピローグ

1.

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 それから数年が経った、ある日。
 分娩室から、元気な泣き声が病院中に響き渡った。

「おぎゃあ、おぎゃあ」
「大樹―!次は女の子だぞ!」

「やった!飛翔、飛翔の妹だよ。可愛いね~」
「す、すごい。とってもちっさいね……っ」

「そうだな。でも、小さくても元気いっぱいだぞ!
 よろしくな、――」
「見て、真乃花!
 ――ったら、さっそく飛翔の手を握っているよ!」

「はは、生まれてすぐなのに、もうお兄ちゃんのことが大好きか。
 かわいいなぁ……。な、飛翔」
「うん」

「手、握ってもいいんだぞ?」
「お、おれちゃわない?」

「大丈夫大丈夫」
「じゃあ……」

 ギュッ

「これからよろしくね、――!」

 一組の夫婦の間に、可愛い女の子が生まれた。
 お兄ちゃんは妹をとても可愛がって、どこに行くにも一緒だったとか。

 そこの家族はみんな、いつだれが見ても、笑顔を絶やさず常に笑っていた。
 だからか、その家族を見た人は必ず言うそうだ。


「世界一幸せそうな家族だ」と――




【完】

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