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第2章 犯罪カウンセラー File 5
2話 再捜査
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最近は、患者は幻影を見ることも、ほとんどなくなり、私と普通に話せるようになってきた。ここまでくるのに、どれだけ苦労したことか。
「三島さん。最近は、だいぶ落ち着きましたね。」
「ありがとうございます。別れようと思っていた彼女が死んで、僕のせいじゃないかって自分を責めていたんです。でも、やっと、莉緒は幻影だと気づきました。これも、先生のおかげです。」
「いえ、仕事ですから。でも、本当に事故だったんですかね? 誰かに突き落とされたりとか。」
「わかりません。でも、そういえば、私の部下が同僚の小島を、莉緒が転落したホームで見かけたと言ってたんです。それも、莉緒の側にいたと。これって、小島が犯人なんじゃないですか?」
「そういうことは警察に任せましょう。私から、警察に伝えておきます。」
カウンセラーから、小島が事件現場にいて、さらに被害者の側にいたという情報を受けて、警察は再捜査をすることになった。
特に、小島が、友人に被害者を殺し、三島を犯人にすると飲んだ席で話していたと証言があり、その話しの展開と全く同じ状況になっているからだ。
過去の捜査では、小島がそのホームにいたという証拠がなく、それ以上、捜査を続けることができなくなった。ただ、今回は、有力な情報があり、犯人を特定できるかもしれない。
小島を連行し、取り調べが始まった。
「あなたが、神谷さんが転落したホームにいて、神谷さんの側にいたという証言が出てきたんだよ。お前がやったんだろう。」
「勘弁してくださいよ。私は、自宅で仕事していたんですから。」
「その時間は、PCの稼働記録がないんだよ。だから、PCを机の上に置いて、外出し、殺害してから家に戻り、仕事をしていたということだって十分にあり得る。何を言いたいかというと、お前にはアリバイがないんだ。」
「そんなこと言われても困るな。やってないんだから。」
「友達に、神谷さんを殺害し、三島に罪をなすりつけるって話していたんだろう。その通りになっているじゃないか。」
「三島は捕まっていないでしょう。また、そんなことは、酔っ払った時の単なるぐちですよ。刑事さんも、酔っ払って上司の悪口とかいうでしょう。そんな程度のことです。」
なかなか、口を割らないやつだ。そこで、小島の自宅周辺の綿密な聞き取り調査が行われた。そうすると、前回の捜査では出てこなかった有力な証言が出てきたんだ。
まず、小島が自宅にいると言っていた早朝に、近くのコンビニでサンドイッチを買う小島が監視カメラに写っていた。さらに、広島から来ていた観光客が撮影した新宿駅の写真に、なんと小島が映り込んでいることが判明した。
再度、小島を連行し、この証拠を突きつけた。
「これだけの証拠があるんだ。お前が神谷さんを殺害したんだろう。」
「・・・・。」
「今度は、ダンマリか。絶対に許さないぞ。」
その後、小島は起訴され、10年の懲役刑となった。そのことが、警察から、カウンセラーである私に連絡された。
「三島さん。犯人が捕まったとのことです。」
「本当ですか? 事故じゃなかったんですね。犯人は誰だったんですか?」
「あなたの同僚の小島という人です。あなたを恨んで、あなたが付き合っている莉緒さんを殺し、その犯人をあなたに仕立てようとしていたと聞いています。」
「あいつが・・・。じゃあ、莉緒が死んだのは、私のせいなんですね。莉緒、ごめん。もしかしたら、僕に、自分が死んだのは事故じゃないと訴えていたのかもしれないね。逆に、僕のせいで殺されたって文句を言いたかったのかもしれない。でも、犯人は捕まった。ゆっくり休んでくれ。」
それ以来、莉緒の亡霊は1回も現れることはなかった。
「三島さん。最近は、だいぶ落ち着きましたね。」
「ありがとうございます。別れようと思っていた彼女が死んで、僕のせいじゃないかって自分を責めていたんです。でも、やっと、莉緒は幻影だと気づきました。これも、先生のおかげです。」
「いえ、仕事ですから。でも、本当に事故だったんですかね? 誰かに突き落とされたりとか。」
「わかりません。でも、そういえば、私の部下が同僚の小島を、莉緒が転落したホームで見かけたと言ってたんです。それも、莉緒の側にいたと。これって、小島が犯人なんじゃないですか?」
「そういうことは警察に任せましょう。私から、警察に伝えておきます。」
カウンセラーから、小島が事件現場にいて、さらに被害者の側にいたという情報を受けて、警察は再捜査をすることになった。
特に、小島が、友人に被害者を殺し、三島を犯人にすると飲んだ席で話していたと証言があり、その話しの展開と全く同じ状況になっているからだ。
過去の捜査では、小島がそのホームにいたという証拠がなく、それ以上、捜査を続けることができなくなった。ただ、今回は、有力な情報があり、犯人を特定できるかもしれない。
小島を連行し、取り調べが始まった。
「あなたが、神谷さんが転落したホームにいて、神谷さんの側にいたという証言が出てきたんだよ。お前がやったんだろう。」
「勘弁してくださいよ。私は、自宅で仕事していたんですから。」
「その時間は、PCの稼働記録がないんだよ。だから、PCを机の上に置いて、外出し、殺害してから家に戻り、仕事をしていたということだって十分にあり得る。何を言いたいかというと、お前にはアリバイがないんだ。」
「そんなこと言われても困るな。やってないんだから。」
「友達に、神谷さんを殺害し、三島に罪をなすりつけるって話していたんだろう。その通りになっているじゃないか。」
「三島は捕まっていないでしょう。また、そんなことは、酔っ払った時の単なるぐちですよ。刑事さんも、酔っ払って上司の悪口とかいうでしょう。そんな程度のことです。」
なかなか、口を割らないやつだ。そこで、小島の自宅周辺の綿密な聞き取り調査が行われた。そうすると、前回の捜査では出てこなかった有力な証言が出てきたんだ。
まず、小島が自宅にいると言っていた早朝に、近くのコンビニでサンドイッチを買う小島が監視カメラに写っていた。さらに、広島から来ていた観光客が撮影した新宿駅の写真に、なんと小島が映り込んでいることが判明した。
再度、小島を連行し、この証拠を突きつけた。
「これだけの証拠があるんだ。お前が神谷さんを殺害したんだろう。」
「・・・・。」
「今度は、ダンマリか。絶対に許さないぞ。」
その後、小島は起訴され、10年の懲役刑となった。そのことが、警察から、カウンセラーである私に連絡された。
「三島さん。犯人が捕まったとのことです。」
「本当ですか? 事故じゃなかったんですね。犯人は誰だったんですか?」
「あなたの同僚の小島という人です。あなたを恨んで、あなたが付き合っている莉緒さんを殺し、その犯人をあなたに仕立てようとしていたと聞いています。」
「あいつが・・・。じゃあ、莉緒が死んだのは、私のせいなんですね。莉緒、ごめん。もしかしたら、僕に、自分が死んだのは事故じゃないと訴えていたのかもしれないね。逆に、僕のせいで殺されたって文句を言いたかったのかもしれない。でも、犯人は捕まった。ゆっくり休んでくれ。」
それ以来、莉緒の亡霊は1回も現れることはなかった。
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