10 / 11
9話 地獄の炎
しおりを挟む
ある日、ポストにメモが入っていたの。
芽衣が亡くなった時、私が突き飛ばしたのを見たって。
まだ、終わってなかった。
明日の夜8時に、近くの公園に来いと書いてある。
行くことがいいのか、無視するほうがいいのか。
でも、無視すると警察に行かれてこじれそうね。
だから、行くことにした。
時間通りに行ってみると、中年の男性が待っていた。
「来たということは、間違いないみたいだな。」
「いえ、誤解されたままだと困るから、違うと言いに来たのよ。」
「そんなはずがない。俺は、お前をちゃんと見ていたんだから。」
「証拠なんてないでしょう。」
「お前たちが、竜也とか言って、争っていたのを聞いたんだ。竜也って誰か分からないけど、警察に言えば調べてもらえるだろう。そしたら、お前が怪しいと警察も気づくだろうさ。」
「何が欲しいの?」
「500万円もってこい。」
「そんなお金、もっているわけないでしょう。」
「それは俺の知ったことじゃない。体を売るなり、借金するなりしてお金を持ってくればいいんだ。」
「警察に根拠のない脅迫だと言うわよ。」
「そうやって困るのはお前じゃないのか?」
もう、この人を殺すしかないと思った。
せっかく、これまで犯罪を隠してこれたし。
1人殺したら、2人殺すのも変わらない。
私は、考えると言って、その場を去った。
だけど、実は、彼を尾行し、彼の家を突き止めた。
2日間、彼の家を見張って、弱点がないか観察したの。
そして、廊下側の窓がいつも開けられていることを見つけた。
3日目の夜に彼が家に帰って寝静まったころを狙った。
窓からガソリンを入れて、火をつける。
ガソリンは親の車からポンプで抜くだけだった。
だから簡単に入手できたわ。
あとは、早く逃げるだけ。
自分に火の粉が降りかからないように。
監視カメラとかに映らないように。
その火はあっという間に部屋中に広がった。
でも、その男は家から出てこなかった。
煙に巻かれ、その場で倒れたのね。
だから、焼け死んだんだと思う。
翌日のニュースでも、男性1人の死体についてでていた。
ガソリンで自殺したらしいと。
私のことを追い詰めると、こうなるのよ。
あなたのせいだからね。
私は、もう人間ではなく、鬼になっていたのかもしれない。
2人も殺して。
その後、また、あの恐怖体験が待っていた。
私の部屋に入ったときだった。
真っ暗ななかで電球のスイッチをつけた。
いきなり電球が爆発し、私は、爆風と熱い炎に焼かれた。
私は、十字架のようなものに押さえつけられた。
永遠に感じられるぐらいの炎を浴びる。
息を吸うと肺の中まで火が入った。
内臓も焼き尽くされる。
これまで、こんな苦しい思いをしたことはない。
爆弾のような爆風で、私は全て焼けて骨だけになった。
骨も床に粉々になって散らばる。
熱い、痛い。もう許して。
私は、汗だくになりベットの上で寝ていた自分に気づいた。
これはいつまで続くの。こんな辛い時間は、もう嫌。
それから、私の顔には、腫れが出てきたの。
やけどしたかのように。
病院に行ったけど原因は不明だった。
整形外科で手術で直せないか相談もした。
でも、また肌はただれて、治すのは難しいんだって。
鏡で見た自分は、もう女性とは言えない。
いえ人間とも言えないひどい姿。
私は鏡の前で呆然と立ち尽くした。
髪の毛も抜け、顔の半分は顔面麻痺になってる。
妖怪のような様相だったから。
しばらくは会社を休まざるを得ない。
暗い自分の部屋にどじ籠もるしかない。
時々は買い物で近くのスーパーに出かけた。
そうすると、こんな姿をみて、みんな指を刺してくる。
化け物を見たかのように。
私の心はボロボロになった。
芽衣や焼き殺した男性の恨みなのかしら。
もう外に出かける気にもなれなかった。
会社には退職届けを出した。
そして、山梨にあるお母さんの実家に住むことにしたの。
窓から入る陽の光を浴び、お母さん以外の人には会わない。
そんな日々を過ごすうちに、少しは心が落ち着いてきた。
そんな生活をしていると、顔面麻痺は時間とともに治った。
髪の毛も生えてきたわ。
だけど、火傷のような跡は消えなかった。
もう女性として愛される暮らしはできないのね。
この前、風の便りに竜也が結婚したと聞いたの。
SNSには結婚写真が投稿されていた。
そこに写る結婚した女性は、明るく笑って幸せそう。
別に、竜也と再び付き合えるなんて思っていない。
結婚できると思っているわけでもない。
ただ、その写真をみて、もう私には楽しい時間は残されていないと思っただけ。
でも、この人生も不幸だと思っていたけど、幸せな時間もあった。
芽衣と大笑いしながら話していた時。
竜也から力強く抱きしめられた時。
どれも幸せを感じていたの。
その前の人生も不幸ばかりではなかった。
不幸な時間が少し多かっただけなのかもしれない。
今では、楽しい思い出ばかりが思い出される。
今日は久しぶりに散歩をしてみた。
まだ寒いけど、温かい日差しが心を癒す。
でも、竜也との日々の想い出が次々と蘇ってきた。
いっぱいの涙が目に溢れる。
前は涙で、ぼやけてよく見えない。
しかも、正面から強い陽の光が差し込み、まぶしい。
青の信号だけは薄っすらと見える。
この横断歩道を渡り、家に戻ろう。
涙でグチョグチョになった顔を洗わないと。
そんなとき、トラックが私の前から突進してきた。
老齢の運転手は心停止でハンドルに覆い被さりながら。
横断歩道をスピードを落とさずに進んだ。
芽衣が亡くなった時、私が突き飛ばしたのを見たって。
まだ、終わってなかった。
明日の夜8時に、近くの公園に来いと書いてある。
行くことがいいのか、無視するほうがいいのか。
でも、無視すると警察に行かれてこじれそうね。
だから、行くことにした。
時間通りに行ってみると、中年の男性が待っていた。
「来たということは、間違いないみたいだな。」
「いえ、誤解されたままだと困るから、違うと言いに来たのよ。」
「そんなはずがない。俺は、お前をちゃんと見ていたんだから。」
「証拠なんてないでしょう。」
「お前たちが、竜也とか言って、争っていたのを聞いたんだ。竜也って誰か分からないけど、警察に言えば調べてもらえるだろう。そしたら、お前が怪しいと警察も気づくだろうさ。」
「何が欲しいの?」
「500万円もってこい。」
「そんなお金、もっているわけないでしょう。」
「それは俺の知ったことじゃない。体を売るなり、借金するなりしてお金を持ってくればいいんだ。」
「警察に根拠のない脅迫だと言うわよ。」
「そうやって困るのはお前じゃないのか?」
もう、この人を殺すしかないと思った。
せっかく、これまで犯罪を隠してこれたし。
1人殺したら、2人殺すのも変わらない。
私は、考えると言って、その場を去った。
だけど、実は、彼を尾行し、彼の家を突き止めた。
2日間、彼の家を見張って、弱点がないか観察したの。
そして、廊下側の窓がいつも開けられていることを見つけた。
3日目の夜に彼が家に帰って寝静まったころを狙った。
窓からガソリンを入れて、火をつける。
ガソリンは親の車からポンプで抜くだけだった。
だから簡単に入手できたわ。
あとは、早く逃げるだけ。
自分に火の粉が降りかからないように。
監視カメラとかに映らないように。
その火はあっという間に部屋中に広がった。
でも、その男は家から出てこなかった。
煙に巻かれ、その場で倒れたのね。
だから、焼け死んだんだと思う。
翌日のニュースでも、男性1人の死体についてでていた。
ガソリンで自殺したらしいと。
私のことを追い詰めると、こうなるのよ。
あなたのせいだからね。
私は、もう人間ではなく、鬼になっていたのかもしれない。
2人も殺して。
その後、また、あの恐怖体験が待っていた。
私の部屋に入ったときだった。
真っ暗ななかで電球のスイッチをつけた。
いきなり電球が爆発し、私は、爆風と熱い炎に焼かれた。
私は、十字架のようなものに押さえつけられた。
永遠に感じられるぐらいの炎を浴びる。
息を吸うと肺の中まで火が入った。
内臓も焼き尽くされる。
これまで、こんな苦しい思いをしたことはない。
爆弾のような爆風で、私は全て焼けて骨だけになった。
骨も床に粉々になって散らばる。
熱い、痛い。もう許して。
私は、汗だくになりベットの上で寝ていた自分に気づいた。
これはいつまで続くの。こんな辛い時間は、もう嫌。
それから、私の顔には、腫れが出てきたの。
やけどしたかのように。
病院に行ったけど原因は不明だった。
整形外科で手術で直せないか相談もした。
でも、また肌はただれて、治すのは難しいんだって。
鏡で見た自分は、もう女性とは言えない。
いえ人間とも言えないひどい姿。
私は鏡の前で呆然と立ち尽くした。
髪の毛も抜け、顔の半分は顔面麻痺になってる。
妖怪のような様相だったから。
しばらくは会社を休まざるを得ない。
暗い自分の部屋にどじ籠もるしかない。
時々は買い物で近くのスーパーに出かけた。
そうすると、こんな姿をみて、みんな指を刺してくる。
化け物を見たかのように。
私の心はボロボロになった。
芽衣や焼き殺した男性の恨みなのかしら。
もう外に出かける気にもなれなかった。
会社には退職届けを出した。
そして、山梨にあるお母さんの実家に住むことにしたの。
窓から入る陽の光を浴び、お母さん以外の人には会わない。
そんな日々を過ごすうちに、少しは心が落ち着いてきた。
そんな生活をしていると、顔面麻痺は時間とともに治った。
髪の毛も生えてきたわ。
だけど、火傷のような跡は消えなかった。
もう女性として愛される暮らしはできないのね。
この前、風の便りに竜也が結婚したと聞いたの。
SNSには結婚写真が投稿されていた。
そこに写る結婚した女性は、明るく笑って幸せそう。
別に、竜也と再び付き合えるなんて思っていない。
結婚できると思っているわけでもない。
ただ、その写真をみて、もう私には楽しい時間は残されていないと思っただけ。
でも、この人生も不幸だと思っていたけど、幸せな時間もあった。
芽衣と大笑いしながら話していた時。
竜也から力強く抱きしめられた時。
どれも幸せを感じていたの。
その前の人生も不幸ばかりではなかった。
不幸な時間が少し多かっただけなのかもしれない。
今では、楽しい思い出ばかりが思い出される。
今日は久しぶりに散歩をしてみた。
まだ寒いけど、温かい日差しが心を癒す。
でも、竜也との日々の想い出が次々と蘇ってきた。
いっぱいの涙が目に溢れる。
前は涙で、ぼやけてよく見えない。
しかも、正面から強い陽の光が差し込み、まぶしい。
青の信号だけは薄っすらと見える。
この横断歩道を渡り、家に戻ろう。
涙でグチョグチョになった顔を洗わないと。
そんなとき、トラックが私の前から突進してきた。
老齢の運転手は心停止でハンドルに覆い被さりながら。
横断歩道をスピードを落とさずに進んだ。
2
あなたにおすすめの小説
サインポールの下で、彼女は髪を切った
S.H.L
青春
長年連れ添った長い髪と、絡みつく過去の自分に別れを告げるため、女性は町の床屋の扉を開けた。華やかな美容院ではなく、男性客ばかりの昔ながらの「タケシ理容室」を選んだのは、半端な変化では満足できなかったから。
腰まであった豊かな黒髪が、ベテラン理容師の手によって、躊躇なく、そして丁寧に刈り上げられていく。ハサミの音、バリカンの振動、床に積もる髪の感触。鏡に映る自分のシルエットがみるみるうちに変わり果てていく様を見つめながら、彼女の心にも劇的な変化が訪れる。
失恋か、転職か、それとも──。具体的な理由は語られないまま、髪が短くなるにつれて剥き出しになっていくのは、髪に隠されていた頭の形だけではない。社会的な役割や、「女性らしさ」という鎧を脱ぎ捨て、ありのままの自分と向き合う過程が、五感を刺激する詳細な描写と内面の吐露と共に描かれる。
髪と共に過去を床に落とし、新しい自分としてサインポールの下から一歩踏み出す女性の、解放と再生の物語。
おめでとう。社会貢献指数が上がりました。
水井伸輔(Mizui Shinsuke)
SF
「正しく」生きれば、どこまでも優しいこの国。
17歳のシュウは、社会貢献指数を高め、平穏な未来を手に入れようとしていた。しかし、システムに疑問を抱く父のランクは最低の「D」。
国家機能維持条項が発令された夜、シュウの端末に現れたのは、父の全権利を支配するための「同意」ボタンだった。
支配か、追放か。指先ひとつで決まる、親子の、そして人間の尊厳の行方。
刈り上げの教室
S.H.L
大衆娯楽
地方の中学校で国語を教える田辺陽菜は、生徒たちに校則を守らせる厳格な教師だった。しかし、家庭訪問先で思いがけず自分の髪を刈り上げられたことをきっかけに、彼女の人生は少しずつ変化していく。生徒たちの視線、冷やかし、そして自分自身の内面に生まれた奇妙な感覚――短くなった髪とともに、揺らぎ始める「教師」としての立場や、隠されていた新たな自分。
襟足の風を感じながら、彼女は次第に変わりゆく自分と向き合っていく。地方の閉鎖的な学校生活の中で起こる権威の逆転劇と、女性としての自己発見を描く異色の物語。
――「切る」ことで変わるのは、髪だけではなかった。
王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル
ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。
しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。
甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。
2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる