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赤い花柄模様の傘
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ポツリポツリと振り始めました。
(あっ降って来た……)
と、私はお気に入りの赤い花柄模様の傘を差します。最近の天気予報は、雨雲レーダーやら、時間別天気など、本当に外れる事はありません。
ちゃんとその時間に雨は降って来ます。
だから、
あっ傘……。
などと言うことは昔に比べて無くなったなぁ……色あざかな傘から滴る水滴を見つめて思うのです。
会社帰り、最寄り駅、徒歩10分で私の住むアパート。
途中コンビニで、今日もお疲れ様ですと、
発泡酒と缶チューハイを買い。
傘立てを見ると、
無い…………。
私の傘は傘立てにありません。
(え?なんで??)
確かにコンビニに入る時に、バサバサと水滴を飛ばしてこの傘立て立てた筈なのに……。
キョロキョロと周りを見渡す私は、50メートル程離れた信号待ちの傘の群れに、花柄模様の傘を見つけました。
あっ!!あれ!!私の……
雨足も強くなり始めた雨の中、私は濡れながら傘を追いかけます。
300メートル程追いかけたでしょうか。
(どうして??なんで??)
私は走っているのに……中々距離は縮まりません。
ハァハァと息も上がって来ます。
スーツの上着もスカートもビショビショに濡れてしまいました。
(もうダメだ……最悪……
気に入ってたのに……)
と、追うのを諦めた私は、シャッターの閉まった呉服店の軒先きで、濡れたスーツの水滴を払います。
内ポケットからハンカチを取り出し、顔や頭を拭いていると、
コツコツと、
私の前で立ち止まる足音……
(え?何?やだ……怖い……)
私は恐る恐る顔をあげてみます。
するとそこには、黒のレインコートを、頭までスッポリ被った男が
ザーザーと降りしきる雨の中
私の赤い花柄模様の傘を差し、目の前に立っていました。
私は恐怖に震えましたが、
次の瞬間 更に恐怖に震えました。
「やぁ……久しぶり……」
聞き覚えのある声……この声は……
酷い束縛と、極度のヤキモチに悩み、
先月私が、一方的に振った、
元カレ…………。。
男は言います。
「全然、電話に出てくれないからさ……
会いたくなっちゃってさぁ。。
会いに来ちゃった。。
…………。。。。。 」
ザーーーーーーーーーーーっと
更に雨足は強くになり、男が差す私の傘からは勢いよく水滴が滴ります。
「雨の日を狙ったんだ……雨の日を。
君は必ず会社帰りに、
あのコンビニで、ビールを買うからね……
君の事だ。お気に入りの傘が盗まれたら、絶対に追いかけて来ると思ったよ……」
周りを見渡す私は、裏路地のまた裏にまで入っている事に気付きました。
閉ざされた呉服店のシャッターは、
もう何年も開いた事など無さそうです。
やだ…………と後ずさる私……。
「さぁ。。。一緒に。…………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー男の口角が引き攣るように不気味に上がったーーーーーーーー。。
ーーーーーーーーー
男は、ゆっくりと、ゆっくりと、呉服店を後にします。その手には傘は差して居ません。
ただ……黒のレインコートは赤く返り血に染まり、
その血が大粒の雨に弾けて、わずか一瞬、花が咲いたみたいに滲みます。
赤い花柄模様みたいに
(あっ降って来た……)
と、私はお気に入りの赤い花柄模様の傘を差します。最近の天気予報は、雨雲レーダーやら、時間別天気など、本当に外れる事はありません。
ちゃんとその時間に雨は降って来ます。
だから、
あっ傘……。
などと言うことは昔に比べて無くなったなぁ……色あざかな傘から滴る水滴を見つめて思うのです。
会社帰り、最寄り駅、徒歩10分で私の住むアパート。
途中コンビニで、今日もお疲れ様ですと、
発泡酒と缶チューハイを買い。
傘立てを見ると、
無い…………。
私の傘は傘立てにありません。
(え?なんで??)
確かにコンビニに入る時に、バサバサと水滴を飛ばしてこの傘立て立てた筈なのに……。
キョロキョロと周りを見渡す私は、50メートル程離れた信号待ちの傘の群れに、花柄模様の傘を見つけました。
あっ!!あれ!!私の……
雨足も強くなり始めた雨の中、私は濡れながら傘を追いかけます。
300メートル程追いかけたでしょうか。
(どうして??なんで??)
私は走っているのに……中々距離は縮まりません。
ハァハァと息も上がって来ます。
スーツの上着もスカートもビショビショに濡れてしまいました。
(もうダメだ……最悪……
気に入ってたのに……)
と、追うのを諦めた私は、シャッターの閉まった呉服店の軒先きで、濡れたスーツの水滴を払います。
内ポケットからハンカチを取り出し、顔や頭を拭いていると、
コツコツと、
私の前で立ち止まる足音……
(え?何?やだ……怖い……)
私は恐る恐る顔をあげてみます。
するとそこには、黒のレインコートを、頭までスッポリ被った男が
ザーザーと降りしきる雨の中
私の赤い花柄模様の傘を差し、目の前に立っていました。
私は恐怖に震えましたが、
次の瞬間 更に恐怖に震えました。
「やぁ……久しぶり……」
聞き覚えのある声……この声は……
酷い束縛と、極度のヤキモチに悩み、
先月私が、一方的に振った、
元カレ…………。。
男は言います。
「全然、電話に出てくれないからさ……
会いたくなっちゃってさぁ。。
会いに来ちゃった。。
…………。。。。。 」
ザーーーーーーーーーーーっと
更に雨足は強くになり、男が差す私の傘からは勢いよく水滴が滴ります。
「雨の日を狙ったんだ……雨の日を。
君は必ず会社帰りに、
あのコンビニで、ビールを買うからね……
君の事だ。お気に入りの傘が盗まれたら、絶対に追いかけて来ると思ったよ……」
周りを見渡す私は、裏路地のまた裏にまで入っている事に気付きました。
閉ざされた呉服店のシャッターは、
もう何年も開いた事など無さそうです。
やだ…………と後ずさる私……。
「さぁ。。。一緒に。…………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー男の口角が引き攣るように不気味に上がったーーーーーーーー。。
ーーーーーーーーー
男は、ゆっくりと、ゆっくりと、呉服店を後にします。その手には傘は差して居ません。
ただ……黒のレインコートは赤く返り血に染まり、
その血が大粒の雨に弾けて、わずか一瞬、花が咲いたみたいに滲みます。
赤い花柄模様みたいに
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