美少年はエッチがしたい……『笑って死ね』神との約束は一度きり、最高の腹上死を目指す

狼少年

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 ザザは少年を見つめていた。時間が経つのも忘れて見惚れていた。少年が視線を逸らしている事を良いことに、まじまじと見つめる。
 あふんっ……なんて綺麗な顔をしているんだ……
 一瞬、女の子?なんて思ったけど、よく見たら胸が無い。骨格も華奢だが……男の子だろう?そうだな。声も。

「な、……なぁ?き、君は、なんでこんなところにいるんだ?」
「……わからない」と、少年は答えた。
「ハンターなのか?商会の。なんならベースキャンプまで送ろうか?」
「ベース…、キャンプ?」
「ベースキャンプも知らないのか?」

 ザザは驚きの表情をして、
 少年はコクリと首を縦に振った。

「そ、そうか……頭でも強く打ったか?うん。そうだ。きっと。記憶が混濁する事もあると聞く。ちょ、……ちょっと見せて見ろ」

 ザザは少年に近付いて、腰を落とした。
 少年は、小さくうずくまった身体をビクリと震わせる。まるで捨て猫。怯えて。手を前へと出す。防衛本能という奴だ。ザザはその手を軽く握って、少年の手もろともに。少年の顔を自分に向けた。おっふ…目が合った。少年の青い瞳は、全てを見透かしているように透き通っていて、恥ずかしくなり。格好付けたくて。少年の艶やかな金髪の髪が、手にかかり、それを少年の耳へとかける、私。なんで動揺してる?

「怪我は……無さそうだ。名前は?」
「……なまえ?」
「君の名前だ。わかるか?」

 名前を聞かれた少年は思い出す。
 心の声が。もう1人の僕と名乗ったノザキケンが、僕にくれた名前を。
 
「……ティム……」
「ティム?」
「うん…そう」

 なんとも無い。ただのやり取りに過ぎない。年上の女性が、年下の少年に名前を聞くというだけの会話。1つだけ言っておこう。ザザは興奮していた。

 ザザ・ミュースカイ・セビラハート。
 齢29にして、初恋に落ちた。
 
 はうぅぅぅぅぅ
 どうしちゃったんだ私は~~

 心のドキドキと、その変化。
 何が何だかわからずに、顔がポッポッと熱い。それでも、気丈に振る舞う。少年に変な人だと思われるのは嫌だ。

 幼き頃から今日に至るまで、剣の修行に明け暮れて来たザザ。男にうつつを抜かす時間など無かった。
 それでも彼女は処女では無い。恋という物は知らずとも、性欲は人並みにあり、一晩だけの性行為なら幾度なく経験済みだ。ただ、人を好きになった事が無かったのである。だから、このドキドキした感情が恋だとはわからない。わかりようがない。経験が無いからだ。おかしい。私は、何か妙な術でもかけられたのか?ザザの心中に疑念が生まれるも、その疑念は一瞬で吹き飛ぶ。

「お、お姉ちゃん……?」

 顔を掴まれた少年は、意を決して声を出した。先程も言ったように、少年には女性の免疫が全く無い。女性は怖い生き物だとも思っているが……かと言ってこの状況。顔を掴まれ、見つめ合って、無視出来る状況じゃ無い事くらいわかる。かと言って、

 はぅぅぅ「何?」

「お、……お姉ちゃんの名前は、なんて言うんですか?」

 名前?名前?私の?そう言う事?興味があるの?私に。この時、既にザザの疑念は吹っ飛んだ。だってぇぇぇだってさ。女の私が言うのもなんだけど、どこからどう見たってぇ至高!!ヤバい……可愛い過ぎ……
 ザザの顔から殺気みたいな。なんと言うか。危険な香りが漂う。まるで、獲物を見つけた狼のように、少しだけ上向きの小鼻はプクりと膨れている。肌荒れが酷い。鼻息も凄い。それでいて血塗れ。この女は危険だ。思ったのは、もう1人の自分。ネガティブケン。
 二重人格という言葉を聞いて、どう思うかと10人に聞いたら、性格が悪いと答える人が多数を占めるだろう。だがしかし、だがしかしだ。人間誰しも善と悪。明と暗。例えば、ゴミを持っている。面倒だ。捨てちゃおう。ダメだ。ダメ。ちゃんと持って帰ろうよ。
 オンとオフがあり、どこでそのスイッチが切り替わるのか?誰に聞いてもわからないと言うけれど、その時の気分で、捨てるか、それとも持ち帰るのか?右手に握られているゴミを。だから、二面性の心を人は持っていて、昨日は良い子。でも今日は悪い子。ティムとケン。少年の中には2つの人格が共存している。記憶は1つだ。野崎研という悲しくも、冴えさない男の記憶だが、明日を夢見るポジティブなティムと、その反対。ネガティブなケン。少年は二重人格である。

 以下は、少年の心中。
 "ティム"と"ケン"の会話だ。

「危険だ」
「何が?」
「見ればわかるだろ?」
「見ればって……」
「この女だよ」
「お姉ちゃんが?命の恩人だよ?」
「バカ言え!もう忘れちまったのか?女なんてもんはよ。何を考えているかわからねぇ!見て見ろあの目!どんな目してやがる?こーいう目をしている奴は碌な事を考えて無い。危険だ。逃げよう」
「逃げようって……どこに?」
「そんなのは逃げてみねぇとわからねぇ。ただ、この女に付いていくよりかはマシだ!」
「でも……」

 訪れたのは選択だ。
 人生とは選択の連続上に築かれて行く。

 1 . 女性の誘いにのって、ベースキャンプに付いて行く

 2 . 女性の誘いを断り、この場から立ち去る

 チクタク チクタク……
 少年はどちらを選んだか?
 それはまた次の話でするとして、私の名前はザザ。ザザ・ミュースカイ・セビラハートだ。と、女性は名乗った。
 

 

 


 
 



 

 
 

 
 
 
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