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お湯を沸かす?お風呂に入れる。ティムは、そう思ったが、家の中にも、もちろん外にも、そんな施設は見当たらない。実際、湯船に浸かるなんて文化は、野崎研の。日本人の文化であって、海外ではシャワーで済ませる事が多い。
だけど、この家にはシャワーらしきものも無いし……
ザザは、外の竈門に火を焚べ始めた。ティムに藁草の上で待っててくれと言って。待つ事10分ほど。ティムの前に出されたのは、桶に入ったお湯と、1枚のタオル。
ザザの興奮はMAXだ。
落ち着け!落ち着け!私……
お湯を沸かしている時から、もとい。ティムを家に誘った時から、心臓の鼓動がバクバクと音を立てて、半ば息苦しい。こんな気持ちは初めてだし、こんなに相手の出方を伺う事も初めてだ。
私の性衝動など、それはとても淡白で、そもそも色恋なんてものに興味を持った事など無かったし、ゆきずりで可愛い男の子を見つけたら、気分次第で連れ去り、そして犯す。気に入ったなら家で飼い。飽きたら捨てる。
法も、秩序も無く。強い者が支配する、このウンバサという森において、強者が絶対であり、弱者は淘汰されて行く。当たり前と言えば当たり前だ。そうやって、人間は進化し、そして発展してきた。そして、今。その頂点に立っているのが、ザザ・ミュースカイ・セビラハート。私だ。
「さぁ」
ザザはティムを促す。さぁ。私の前で脱いでくれ。と言っているのだ。心臓の音がうるさい。少し黙ってくれないか?私は、ティムの裸が見たいんだ。ティムの、あそこが見たいんだ。喉が渇き、唇に水分が無くなり、ペロリと1度上唇を舐めて、唾液で唇の渇きを潤した。
ティムは、お湯の中に手を入れた。暖かい。丁度いい湯加減だ。タオルをお湯に浸ける。先ずは顔を拭いた。続いて、腕。ティムの着ている服は、病院着みたいな白のワンピースで、下着を付けていない。それは、ティム本人も気付いていた。何故なら、お股がスースーしているから。僕は、きっと、下着を付けていない。というか付けてないよ。
どうしよう……。
腕を拭き終わって、ティムの手が止まった。本当なら、服を脱いで、身体を拭きたいところだけど、お姉ちゃんが目の前で見てるし……視線が痛い……なんか、凄く。嫌だな。
「やめとけ!ストリップショーをやってるわけじゃねぇだろ!」
「わかってるよ。恥ずかしいし、脱ぐわけ無いよ」
「脱いだら一貫の終わりだぞ!」
「どういう……」
「そういうことだ。必ず襲われる!犯される!」
「う、うん」
「わかってるな!犯されたら俺達は終わりだ。お前は、この女の事が好きなのか?この女とやりたいか?」
「それは……」
「違うだろ。向こうはやる気満々だ。目を見てみろいっちまってる。顔も良くないし、処女でも無い。こんなデカくて、オトコ女みたいな奴として、死にてぇのか?ええ?違うか?違うだろ!?だったら、なんとかこの場を切り抜けろ!」
「わかってるけど、どうやって?」
「考えろ!」
「お、お姉ちゃん」
「どうした?ティム。ほら。手が止まってるぞ。なんなら……」
「そんなに見られたら恥ずかしいよ」
「何が?」
「ぬ、脱げない」
「そ、そうか?じゃあ私から脱ごう。そしたらお互い様だろ?」
「そういう事を言ってるわけじゃ無くて、裸を見られるのが嫌なんだ」
「ティム。お前。何を言ってるんだ?」
「え?」
「私はわかっているぞ」
「何?」
「森の中に捨てられたんだろ?ティム。お前男娼だろ?」
「だん……しょう?」
「何をやったか知らないが、お前くらい綺麗な奴は初めて見た。いい所で飼われてたんだろ?なぁ?そうだろ?」
「意味がわからないよ」
ティムは首を振って否定した。
「いい子ぶってんじゃないよ。さぁ!早く脱げ!私に裸を見せろ!脱がないんだったら、無理矢理でもいいんだ!さぁ」
ザザの目が血走っている。目が笑ってない。本気の目だ。手が伸びて来て、ティムの服を掴んだ。
「やっ、やめてっ」
ティムは、伸びて来たザザの手を振り解こうとしたが、叶わず。そのまま、藁草の上に押し倒された。ザザは、ティムを押し倒して、覆い被さり、馬乗りになった。ティムの服を引き千切ろうと、襟元を両手持った。
「お姉ちゃん!!」
ティムは、焦って大声を出したが、興奮しているザザの耳には届かない。襟元を持つザザの手に力が入る。彼女の手にかかれば、こんなペラペラの布切れ1枚。いとも簡単に破るだろう。
「童貞なんだ!!」
童貞なんだ。僕は童貞。ティムが童貞?
「はぁ?!ふざけた事言ってんじゃないよ!」
「本当だってば、そういう事。女の人とした事がないんだ。女の人が怖いんだ……」
ティムの目が訴えている。ザザは、それを見て躊躇した。まさか。そんなが事あるのか?こんな顔して、童貞だと?あるわけが無い。そこいらの男娼達とはわけが違う。誰かが。盛りのついたメス達が、放っておくはずないだろ。どこかの大金持ちか、貴族御用達の肉棒なんだろ?それが童貞?あり得ない。
言うて、人の性欲というものは、限りなくあって、食欲。睡眠欲と並ぶ三大性欲の1つだ。考えてみれば、性欲が無い生き物など存在しないし、生きとし生けるものは皆、性行為を行い、子を作り、命のバトンを子に託している。それが性欲というものの本来の形だ。
だが、人は、快楽だけを求めて、己の欲を求めて性行為を行うようになった。それが、人の欲。金で買う。力で奪う。
この壊れた法も無い。力だけが善とされるウンバサの無法地帯なら尚のこと。可愛いければ、犯され。気に入られれば飼われる。男であろうと、女であろうと結果は同じ。力の無い娼婦達が、男に媚を売って飼われるように、力の無い男娼が、力のある女主人に性奴隷として飼われる事だって当たり前にあるわけだ。
ザザが育ったヤーズランドと呼ばれる地方でも、性を金で買ったり、力づくて奪ったりすることは良しとされ、幼いザザの子供心に深く刻まれていた。私は、あんな大人にはなりたく無い。昔は、そう思っていたのに。
「怖いんだ。女の人が……怖いんです」
ティムの怯える顔を見て、ザザに昔のあの記憶。少年、少女の怯えた目。それを見ていた私。いや。私もその中の1人だった。運が良いのか。私の顔はお世辞にも綺麗とは言えない。相手にされなかっただけで、一歩間違えば売りに出され、今の私とはかけ離れた人生を送っていただろう。
ザザの思いが、目の前のティムと重なり、ザザは、ティムの胸ぐらから手を離した。
ブラリとしたその手の先に、幾つもの消失感と罪悪感を感じて、ザザは顔を両手で覆った。何をやっているんだ……私は。涙が出てていた。何故泣いているのか?私は。わからない。
ただ1つだけ言える事は、頭の中が真っ白になってしまった。ただそれだけだった。
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