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翌朝。ティムは夢を見ていた。
野崎研だった頃の夢だ。
人はなぜ夢を見るのか?そのメカニズムは実は解明されていない。一説によると、記憶の整理だと言われている。と、なれば。ティムは、記憶を整理する為に夢を見ていた事になる。
違う!
俺じゃない!
疑っているのか?
やめてくれ!
信じてくれ!
清掃会社に勤めていた。野崎研。40歳の夏。野崎の仕事は、大型商業施設の清掃作業員。ミニスカートでキャピキャピと、若者達が集まるショッピングモールの清掃作業だ。
清掃時間は、大型商業施設が閉店する午後8時から朝の4時まで。日中は、多くの人が集まる商業施設も、夜中になれば静寂と、静けさと、物寂しさが併さって、何か出てきそうな。どことなく。薄気味の悪ささえ感じる。
野崎はいつも通り、一階の食品売り場から清掃を始めた。これは夢であるから、時間が飛ぶ。次の場面では、一緒に働く50代の女性から、「野崎さん。もう少し早くやってちょうだい」と、いびられた。
時給は1250円。1時間の休憩があり。実働時間は7時間。1日働いて8750円。週休2日のシフト制で、月の出勤は22日程度。1ヶ月の給料は、約20万。そこから家賃だの、食費だの、光熱費だの、色々さっ引くと、手元に残るお金はほんの僅かだ。
次の場面では、シフトリーダーに呼び付けられた。「野崎さん。ちょっといいですか?」と。
シフトリーダーは、清掃会社の正社員で、野崎より15も若い20代の女性だった。
「……はい」
場所は清掃会社の事務所に変わる。机に座わっているのは、エリアリーダー。皆んなからは『チーフ』と呼ばれ、歳は30代半ばの嫌味な男性社員。
「野崎。お前だろ?」
「はい?何のことですか?」
「盗撮だよ」
「と、盗撮?」
「女子トイレにカメラ仕掛けたのお前だろ?」
「カ、カメラ?!そんな事してませんよ!」
「お前の仕事が遅いって、こっちは報告受けてんだよ」
「そ、それは、まだ、仕事も慣れて無いですし……」
「木下さんと三浦さんが、お前がやったんじゃないかって言ってんだ。犯罪行為だそ!わかってんのか?!」
「そんな事やってませんよ!信じて下さい」
「嘘を付け!今なら警察に自首したと言ってやる。本当の事を言え!」
違う!
俺じゃない!
信じてくれ!
犯罪者扱いされた。してもない事で。
昔からそうだった。
この世は不公平が溢れている。
自分と、自分の力では、なんともならない事が多過ぎる。状況証拠不十分により不起訴。捕まりはしなかった。ただ、職を失った。
目が覚めて、藁草が擦れるあの独特の かしゃかしゃ する音と、藁草のいい匂いがした。夢と現実の狭間で、僕じゃない。
それでも、僕はやってないんだ。
まだ夢の続きを見ていると錯覚を起こして、ここは何処なのだろうか?と思ったが…………そうだった!と、ティムが現実に引き戻されるには、多少の時間がかかった。
目を擦り、藁草のベットからムクっと起き上がったティムは、辺りを見渡した。
お姉ちゃんは……いない。
殺風景の家中には、家主のザザの姿は無かった。
朝の冷え込みは多少あって、ペラペラの布切れ1枚では寒さを感じる。起きようか?まだ、もう少し寝てようか?藁草のベットの中は温かい。ティムは、もう一度藁草のベットに身体を預けた。
◆◆◆
パチッパチッと、火の粉が弾けて、ゆらゆらと揺れていた炎の輪郭が薄くなった。東の空が明るくなって来たのだ。夜明けか……。ザザは炎を見つめていた。
ザザはこの一晩、家には入らず外の竈門の前で火を焚べていた。火を見ると落ち着く。
本音を言えば、ティムと一緒に寝たかったが、それは叶わない。出来なかった。ティムを見ると、女の、メスの私が顔を出して、彼の事を求めてしまう。一緒に、同じ寝床で寝た日には、自分を制御出来る自信なんて無い。
ティムは無垢だ。それを、私が。私なんかが、穢していいのだろうか?銘刀ベニザクラを両手で抱え込んで、焚き火に揺れる焔を見つめ、一晩。自問自答を繰り返し。気付けば朝だ。答えは出なかった。
尿意を催したティムが、「お姉ちゃん」と、ザザを呼んだのは、お日様が森の中から完全に登って、随分と焚き火の色が薄くなった頃だった。
「どうした?」と、少し憔悴した顔でザザはティムに聞く。
ティムは蓆を捲り上げて、「オシッコがしたいんだけど……」とモジモジしながら言った。
「そんなもの。そこら辺でやるといい」
「わかった」
「遠くには行くなよ。ここら辺にはウルフがいるからな」
「ウルフって……狼?」
「ただの狼ならいい。アシッドウルフをたまに見かけるから」
「アシッド……」
「魔獣だよ」
魔獣という言葉を聞いて、色々な想像がティムの脳裏に過る。角が生えてたり、翼が付いてたり、あの熊みたいにメチャクチャ大きな狼だったり……ティムは、ブルルと身体を縮こませた。
そんなに遠くには、行けない。
ザザと本当に近い。5メートルくらいの森の中で、ティムはワンピースを捲った。おしっこをする為だ。
そして、初めて見た。自分あそこ。
「あっ……」と、小さな声が漏れた。
小っちゃ……
ティムの股間には、真っ白で。陰毛なんて一本も生えていない。しかも、包茎で。小さな。小さなペニスが付いていた。勃起したところで親指サイズだろうと思われる。小さなペニスだ。
『ジャーー、ジョローージョロ、ジョロ』
静寂な森の中。オシッコをする音が響く。
ザザは、顔を横に向けて、見ないようにしていた。ただ、心中は穏やかでは無い。
少しだけなら……という気持ちが生まれた。
鼓動が早くなり、鼻息が荒々しくなり、今。顔を横に向ければ、ティムがオシッコをしている所が見える=ティムのアソコを拝む事ができる。しかも、襲うとかそういうわけじゃなく。ティムを傷付ける事無く。私の良心も痛む事も無く、ティムの……お、おちんちん。をだ。
見よう!!
ザザは、意を決してティムの方を見た。
ティムは背中を向けていた。
なんだ……
当たり前か……
残念に思う。ガッガリだ。
だが、しかし、今。ティムのおちんちんは、野外へと放出されて、そこからオシッコ。いや!聖水を……ブハッ!
か、考えるな!刺激が、刺激が強過ぎた。
「。。。。」
ザザの思考は停止した。
『ジョロ、ジョロジョロ……』
はーースッキリした。ティムは、おちんちんをフリフリするとワンピースの中へとしまった。それから、ザザの方へと振り返り、「お姉ちゃん。ありがとね」と微笑んだ。
その表情がまた、愛くるしくて可愛くて、可愛くて。ザザは、時間が止まったような感覚に陥った。
ティム……好きだ……
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