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【黒の悪夢】
そう呼ばれる魔獣がいる。
アシッドウルフの亜種で、体長3メートルを超える個体である。
元来、アシッドウルフは北の大地に生息し、群れで行動する。体長は、大きな個体で1.5メートル程。灰色の毛並みに、背中から尻尾にかけて赤毛のタテガミあり、性格は至って獰猛。1匹の雄に、数匹の雌。それとその子供達で群れを作り、群れで狩りを行う。
黒の悪夢と呼ばれる個体が、ウンバサの森に現れたのは、5年前の話だ。数十匹の眷属を率いて、それまであったウンバサの生態系を大きく変えた。それは、ウンバサの森に隣接する大小様々な街や村を脅かし、実際に何人もの旅人や、行商人達がその牙に倒れ、アシッドウルフの胃袋の中へと収まった。
事態を重く見たハンター協会は、大群れを率いるアシッドウルフに【黒の悪夢】とネームを付けて、特別危険個体に認定。その当時、特級ハンターであった"エミリオ・ルーフ・スターブライト"に、黒の悪夢の討伐を依頼した。
結果は……言うまでも無い。散々な結果に終わった。
エミリオ・ルーフは、右足を膝下から引き千切られ、32名の討伐隊は壊滅。命からがら逃げ延びたのは、たったの3名。
あれから5年。
ウンバサの森で、その生息域を着々と拡大したアシッドウルフ達。今も尚。彼らの頂点には、
【黒の悪夢】
漆黒の毛並みを持ち、大きく。そして賢く。体長3メートルを超える狼(絶対王者)が君臨している。
◆◆◆
王国兵士隊の残留部隊が、昼間から酒を飲み騒いでいた。飯処【エッダ】の女主人"エッダ・マッタ"は、そんな碌でも無い堕落者達を、蔑んだ目で見ていた。
兵士達の話は、至って夢も無く、希望も無く、向上心も無い。口を開けば、早く王都に帰りたいだの。こんな辺鄙な場所はもう嫌だだの。彼女に会いたいだの。子供に会いたいだの。調査隊の任務なんか放っぽり出しで、やった試しも無く。毎日毎日。エミリオ商会と、ウチ(飯処エッダ)との間を行ったり来たりしているだけ。本当に今回の残留部隊は、名前ばかりで、なんの役にも立たない飯喰らい達だ。あーーやだやだ。狼達の遠吠えを、ここ最近は、よく聞くようになったというのに、アイツ等がこの近くに移動して来ているって言うのにねぇ……
ハンター達の、そうね。ザザさんの爪の垢でも飲んで、狼の一匹くらい討伐して欲しいところだけど、期待するだけバカね。無駄。
期待をするから、裏切られる。
期待をしなきゃ。裏切れることなんて無い。エッダは、その事をよく知っていた。だからである。蔑んだ目で兵士達を見ていた。冷たい。じれっとした目で。
「エッダさん。お酒。エールのおかわりだ」
「はーーい」
兵士達の注文に、明るく通った声が店内に響いた。エッダは、プロだ。もちろん、オンオフを切り替えて。接客は笑顔。碌でも無い堕落者達でも、お金を払ってくれるなら大事なお客様。
エッダが片手に三杯。両手で六杯のエールを持ち、奥のテーブルで騒いでいる堕落者達の元に歩みを進めた。
『ギィーー』
店のウエスタンドアの軋む音がして、エッダは「いらっしゃいませ」と振り返った。
「ザザさん!」
ドアの前にはザザが立っていた。その横には昨日の美少年。
「昨日の金を払いに来た」
「それはそれは。どうも。ありがとうございます」
「いくらだ?」
「見ればわかるでしょ?両手がいっぱいなの。ちょっと待ってくれないかしら?」
奥のテーブルで騒いでいた兵士達は、ザザの姿を目に入れて、猫を被ったように大人しくなった。さっきまで、ワイワイ。ガヤガヤしていた店内は、氷が張ったように静かになる。
「お待たせしましたエールです」
「あ、ぁぁ」
エールをテーブルに運ばれて、気まずそうな顔をする兵士達。
「昼間から宴会とは、楽しそうでなによりだな」
ザザは、兵士達に向かって嫌味を込めてそう言った。兵士達は下を向き、黙りこくって、運ばれて来たエールに手を伸ばせないでいる。
「何を気にしている?さっきまで楽しくやってたんだろ?」
「そ、そんなことは……」
モゴモゴと籠ったような声で、ザザの質問に兵士達の1人が答えたが、それまで。言葉は続かない。
奥のテーブル席は、シーンと静まり返って、まるでお葬式。
ザザは、お店のカウンターに座ると、ティムを呼んだ。
ザザに呼ばれたティムは、言われるがままザザの横に座る。
カウンターの奥からエッダが現れて、昨日の伝票を手に持ち、「32000ベイルね」と言う。
この世界の通過単位はベイルである。
1ベイル銅貨。10ベイル銅貨。100ベイル銀貨。1000ベイル銀貨。10000ベイル金貨。
一般的には5種類の硬貨が流通しているが、商いで成功を収めた商人達や、一部の金持ち貴族の間では、メリム金貨と呼ばれる純金の白金貨が流通している。その価値は10000ベイル金貨のおよそ100倍。100万ベイルと言われているが、一般人が手にすることなどほとんどない。
ティムは、伝票を持って来たエッダに、女性スカウターを使った。
スカウター発動!
『ピピピピ』
例の如く、時間の流れが緩やかになり、照準が現れて、上下左右に動きながらエッダに止まると、『ピッ!』
半透明城の板が、ティムの目前に浮かび上がった。
名前……エッダ・マッタ
年齢……38歳
身長……161㎝
体重……49kg
スリーサイズ……B89 W58 H90
性格……基本的には穏やか。争い事を避ける傾向あり。人に合わせる事が上手い。元娼婦であり、大人の情事。色恋に関しては経験豊富。お金を稼ぐ事が好き。お金が好き。美人であった為、昔から男達にチヤホヤされていた。チヤホヤされる事が好き。自信家。八方美人。
戦闘能力……1
顔面偏差値……61 (上の下)
初体験……12歳
経験人数……1538人
神託セックス……7人と経験し、7人の子供を産んでいる。最初の子は14歳で出産。
好きなタイプ……芯の通ってる人
嫌いなタイプ……嘘をつく奴
体格……女性らしい体型。体つき
肌の色……健康的な小麦肌
体毛……薄め
胸の形……釣鐘型(少し垂れ気味)
乳首の色……茶褐色
乳首の形……小さめ
乳輪……小さめ
陰核……小さめ
小陰唇……アワビ型
陰毛……パイパン
尻毛……無し
アナル経験……あり
性感帯……長い間、娼婦として働いていた為、姓行為をして感じる事がほとんど無くなった。強いて言えば、陰核。
好きな体位……騎乗位
オーガズム経験……あり
ーー時間が緩やかになったその中でーー
「年齢38歳だと?見えねぇな!」
「ケン。言い方」
「いいだろ?褒めてるんだから。それに、俺が思っている事は、お前も思っているって事だ」
「そうだけどさ」
「なかなか使えるだろ。女性スカウター」
「うん……ちょっと。ビックリする情報がいっぱいあるけど、これを使えばその女性(ヒト)がどんな女性(ヒト)かすぐに分かるから、すごく便利だね」
「脱がさなくても、だいたい想像がつくだろ。そいつの裸が」
「う、うん」
「ドキドキして、好きになって、告白して、成功して、付き合ってよぉ。いざ。その時を迎えて、脱がしてみたら…なんだこりゃ?って、ならねぇように、神が俺達にくれた力だ」
「でも、なんか。ちょっと、使うのに気が引けちゃうね」
「なんで?」
「だって、人だから。皆んな見られたく無いから肌を隠すんだ。服を着るんだ。それを、本人の了承無しに覗き見している気がしてさ。なんだかね」
「ふんっ!それは何回もチャンスのある奴が言う言葉だ!何回も言うようだが、俺達のチャンスは一度きり。例えば、あの女。ザザだ。あいつに襲われて、逃げ切れる自信がお前にはあるのか?」
「そ、それは……」
「どう考えたって、無理だろ?力も、体格も、何もかも。俺達があの女に優れている事なんて何も無い。手足を拘束されて、服を剥ぎ取られ、ちんちん出されて、刺激されて、無理矢理、勃起させられてよぉ。馬乗り挿入でピュピュっといっちまって。はい!さよならだ。それでいいのか?え?嫌だろ?それを回避する為の女性スカウターだ。上手に使って悔いの無いセックスをする!いいか!?俺達の目的を忘れなよ」
「う、うん。わかったよ」
エッダのステータスが表示された半透明な板が消え、時間の流れが元に戻った。
エッダは、伝票を手に持ち、ティムの方を見た。「どうしたの?」と言わんばかりの顔で。
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