溺愛パパは勇者！〜悪役令嬢の私のパパが勇者だった件〜

第2章

No.28 ヒロインは私よ！

「ふん！いいわよ、おしえてあげるわ！わたしは、アナ＝ベナル。このせかいのヒロインよ！」

ふん！と偉そうに踏ん反り返るアナちゃん。

「えっと…よろしくアナちゃん。わたしはティアって言うの」
「アンタなんかと、なかよくなんてしないわよ！」
「なに？このこ？ボク、きらい」
「俺も苦手だよ」

バロン君とクリスの声が聞こえないのか、ずっと私を睨みつけて話し続ける。

「だいたい、あくやくれいじょうがなんでここにいるのよ！アンタなんて…」
「アナっ！！」

アナちゃんの話を遮る様に誰かがアナちゃんを呼ぶ。そちらの方を見ると、1人の女性が此方にズンズンと歩いて来る。

「げっ！？」
「母親に向かって『げっ！？』とは何ですか！全くこの子ったら！店番を任せたのに放ったらかしにして何してるの！」

アナちゃんの母親らしい女性がアナちゃんの耳を引っ張る。

「いたいっ！いたいっ！はなしてよ！わたしはヒロインなのよ！？」
「何わけわかんない事言ってるの！ほら、店に戻るわよ！」

アナちゃんは、母親に引き摺られていく。

「くっ！？…ちょっと、アンタ！！ヒロインはわたしよ！アンタはだまって、わたしのふみだいになるのよ！」
「こら！また変なこと言ってよそ様を困らせるんじゃありません！！」

最後まで母親に怒られながらアナちゃんが居なる。

「…何だったんだろうね、あの子」
「変人だよ！変人！」
「…クリス」

突然の（自称）ヒロインの登場は最後まで嵐の様だった。

（…疲れた）

出来れば、もう会いたくない。