溺愛パパは勇者!〜悪役令嬢の私のパパが勇者だった件〜

ハルン

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第3章

No.56 勿論です

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「いや、嘘じゃ無いよ。ティア嬢は、本当に伯爵令嬢では無い」
「そうそう、それにこんな伯爵令嬢がいるわけ無いしね」

クリス、それは一体どういう意味ですか?

「………何それ?何でゲームと違う設定なのよ」

アナはそう言ってブツブツと呟く。

「…それより、そろそろ入学式が始まる時間だ。2人も早く行った方がいいよ。…それに、ベアル嬢の足も大丈夫みたいだしね」
「だね。行こうティア」

そう言ってクリスは私の手を取り、学園に向かう。殿下も私達の隣を歩く。

「あんっ!待ってよ殿下~!クリス~!」

置き去りにされたアナが身体をくねらせて走って来る。

(怖い怖い怖いっ!!)

余りにもその動きが怖くて、自然と私達の足は速くなる。

「"迷いの夢ロストドリーム"」

クリスが呪文を唱え魔法を使う。

「…あれ?殿下~、クリス~?どこに言ったのよ~!!」

目の前に私達はいるのにアナは急に周りを見渡し2人を探し始めた。

「これって…」
「うん、僕がやったの。あの子に僕達が見えなくなって迷う魔法をかけたの」
「へぇ~、かなり練度が高いね」

殿下が感心した様に呟く。

「それはそうですよ。日頃から僕のストーカー達を撒くのに使ってますからね」
「「 ………」」

平然と言うクリスに、私達は何も言えない。

(そんな経緯、聞きたくなかった)

容姿が良過ぎるのもいい事ばかりではないようだ。

「よし。行こうか」
「そう言えば、殿下はどうして此処に?」
「あぁ、今日は、父上の代理で来たんだよ。それに、今回は私の婚約者も入学するからね。一目でも会いたいと思ってね」

クリスの質問に答える殿下。

(殿下、本当に婚約者が好きなんだなぁ)

婚約者の事を話す殿下は、とても優しい顔をしていた。

「サーシャは余り友達がいないんだ。よかったら仲良くしてやってくれないか?」
「喜んで!」

私は頷く。

(友達!女の子の友達!!)

実は、私は友達が少ない。特に同性の友達が。
カッコいいバロン君と天使の様なクリスを好きな女子達から嫌われているのだ。

(特に、クリスの信者達に嫌われてるんだけどね)

私だって女の子だ。可愛い女子と一緒に色んな話をしたりキャッキャウフフしたいのだ!

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