溺愛パパは勇者!〜悪役令嬢の私のパパが勇者だった件〜

ハルン

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第3章

No.88 お出迎え

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突然だが、この国の人たちは勇者の名前は知っていても顔を知らない。旅立ちも突然だったし、帰ってからもパレードに参加しなかったからだ。国民は、それを受け入れた。

『俺は、騒がれる事なく静かに暮らしたい』

それが勇者の願いだったからだ。
(…実際は、勇者の娘との婚姻を望むだろう親や息子達の可能性を潰しただけだが。)

しかし、高位貴族にはひっそりとお披露目されている。何故なら、勇者を語った偽物が現れても対処できる様にだ。

今回、お邪魔するロアン公爵家は古くからある由緒正しい家だ。三大公爵家の1つであるロアン公爵家も勿論、勇者ギルバートの顔を知っている。

「これは勇者ギルバート様!ようこそ我が家へ。そちらが娘さんのティア嬢ですね?初めまして、サーシャの父のハロルド=ロアンです」
「母のルカ=ロアンです。娘から話は聞いていたわ。娘と仲良くしてくれてありがとう」
「い、いいえ!」

(すんごい美形!!)

サーシャのご両親は、どちらも綺麗なプラチナの髪の美形だった。違いはルカさんの方は、青い瞳。ハロルドさんは紫の瞳をしている事くらいだ。

(どちらかというと、サーシャの顔立ちはルカさん似なんだなぁ)

「お久しぶりです、ロアン公爵。今日は、突然お邪魔してしまいすみません」
「いいえ!勇者ギルバート様に我が家にお越し頂けてとても嬉しいですよ。何より、娘が初めて友達を我が家に連れて来たんです。これは、我が家総出でお出迎えしなければ!」

そうなのだ。朝、家を出たら目の前にロアン公爵家の馬車が停まっていたのだ。驚いているうちに乗せられ公爵家に着くと、公爵家当主と公爵家夫人、それに使用人一同が盛大に出迎えてくれたのだ。

(普通のお宅訪問をイメージしてたから本気で驚いたよ)

流石、高位貴族。
庶民とは何もかも格が違う。

「ティアちゃん!来てくれてありがとう!」
「サーシャ!」

小走りでこちらに走ってくるサーシャ。少し頬が赤らんでとても可愛い。

「…私、今までお友達が居なくて。ティアちゃんが初めてのお友達だから、家に呼べて嬉しいの。昔からお友達を家に呼んで、お父様とお母様や使用人の皆んなに紹介するのが夢だったの」

「やっと夢が叶った」と嬉しそうに笑うティアを見て私が悶えてしまったのは仕方ないと思う。
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