溺愛パパは勇者！〜悪役令嬢の私のパパが勇者だった件〜

第3章

No.105 再会

「お父さん！アニーさん！」

2人を見たら、安心して涙が溢れる。

「ティア、怪我はないか？」

優しい声を出すお父さんに、無言で何度も頷く。

「クリスも怪我はないか？」
「はい、大丈夫です」
「ありがとうな。身体を張ってティアを守ってくれて」
「流石、私の自慢の息子ね」
「母さん…」

すると突然、アナが怒鳴る。

「ちょっと！アンタ達、誰よ！私の邪魔しないでよ！」
「何言ってんだ、この犯罪者。よくも俺の娘を殺そうとしたな」

お父さんがとても冷たい目でアナを見る。

「私が犯罪者ですって！？ふざけ…んん～！！」
「もう黙りなさい」

アナが話している途中、アニーさんが魔法でアナを拘束した。それを見てようやく、身体の力が抜ける。

「大丈夫？」

すると、今まで存在を忘れてしまっていたが私とクリスを守る様に目の前に立っていた青年が心配そうに声をかけてきた。

「あっ、大丈夫です！ありがと…」

そう言って顔を上げるが、途中で言葉を無くしてしまった。

（えっ？この人…何処かで）

目の前には、艶のある肩までの長さの黒髪に真っ赤な瞳の青年がいた。頭の中に、何年も会っていない友達の姿が浮かぶ。

（あり得ない。だって、彼は向こうで頑張ってるのに…）

でも、もしかしたら。そんな気持ちで、浮かんだ友達の名前を口にする。

「………ノア？」

すると、青年はその色気のある顔に満面の笑みを浮かべる。

「久しぶり、ティア」

その笑顔は、記憶の中にある友達の笑顔と全く一緒だった。