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No.27
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色々あったお茶会から1週間。
サーシャ達家族は、未だアベルシュタイン領には戻らず王都の邸宅で過ごしていた。
本来なら、お茶会が終わり次第直ぐに帰る予定だった。しかし、サーシャが帰る事を嫌がったのだ。
理由は一つ。
今世で得た、初めての友達だ。
この国の宰相を務めるジルロは、王都にある城に最も近い高級住宅地に本邸を構えて住んでいる。そうすると、必然的に彼の家族達もそこに住む事になる。
サーシャ達が住む本邸があるアベルシュタイン領は、王都から馬車で半日程の場所にある。決して行き来出来ない距離では無いが、子供が移動するには少し無理がある。
(もしも、アベルシュタイン領に帰ったらティミアと殆ど会えなくなる…!)
今世でやっと得た友達。
しかも、同じ前世の記憶のある話の通じる希有な相手。
ーーそんなティミアと、1ヶ月に数回しか会えない?
そんなの、絶対に無理である。
そんな事になるくらいなら、毎日行き来出来る距離である王都の邸宅に一人で残った方がマシだ。そう考えて、サーシャは父ダリルに言った。
『お父様、お願いがあるの。私、アベルシュタイン領に帰りたく無い。アベルシュタイン領に帰ったら、ティミアと会えなくなるもの。だから、此処に残りたいの』
そう言ったサーシャに、ダリルはあっさりと許可を出した。娘命のダリルならもっと渋ると思っていただけに、サーシャは拍子抜けした。だが、此処に残ってイイと言う許可を貰えた事を喜んだ。
***
『お父様ありがとう!私、ちゃんと毎日手紙を書くから!』
『何を言ってるんだい?私達も、此処に残るよ』
『えっ?だって、領地の事は…?』
『そんなの、セバスチャンが居るから大丈夫だよ。此処にサーシャが残るのに、私達が帰る訳ないだろう?』
『そうだよ。それに、俺も王都で少し用があるしね』
『私も、久し振りにミレーヌに会いたいわ』
『決まりだね。暫くは、皆んなで王都で暮らそう』
***
そういう訳で、サーシャだけでなく家族全員が王都で暫く過ごす事になったのだ。正直、家族と一緒に入れるのは嬉しい。
そんな事を思いながら部屋で本を読んでいると、部屋の扉がノックされた。
「どうぞ」
「失礼します。お嬢様、トールディン公爵令嬢ティミア様がお越しになりました」
「…!すぐ行くわ!」
メイドの言葉に、サーシャは読んでいた本を置いて直ぐに部屋を飛び出す。そうして、大きな玄関に向かうと使用人に付き添われたティミアの姿があった。
「ティミア!いらっしゃい!」
「サーシャ!」
満面の笑みを浮かべて歓迎するサーシャに、ティミアは嬉しそうに笑った。そう、今日は待ちに待ったティミアとの初めてのお買い物をする日なのだった。
サーシャ達家族は、未だアベルシュタイン領には戻らず王都の邸宅で過ごしていた。
本来なら、お茶会が終わり次第直ぐに帰る予定だった。しかし、サーシャが帰る事を嫌がったのだ。
理由は一つ。
今世で得た、初めての友達だ。
この国の宰相を務めるジルロは、王都にある城に最も近い高級住宅地に本邸を構えて住んでいる。そうすると、必然的に彼の家族達もそこに住む事になる。
サーシャ達が住む本邸があるアベルシュタイン領は、王都から馬車で半日程の場所にある。決して行き来出来ない距離では無いが、子供が移動するには少し無理がある。
(もしも、アベルシュタイン領に帰ったらティミアと殆ど会えなくなる…!)
今世でやっと得た友達。
しかも、同じ前世の記憶のある話の通じる希有な相手。
ーーそんなティミアと、1ヶ月に数回しか会えない?
そんなの、絶対に無理である。
そんな事になるくらいなら、毎日行き来出来る距離である王都の邸宅に一人で残った方がマシだ。そう考えて、サーシャは父ダリルに言った。
『お父様、お願いがあるの。私、アベルシュタイン領に帰りたく無い。アベルシュタイン領に帰ったら、ティミアと会えなくなるもの。だから、此処に残りたいの』
そう言ったサーシャに、ダリルはあっさりと許可を出した。娘命のダリルならもっと渋ると思っていただけに、サーシャは拍子抜けした。だが、此処に残ってイイと言う許可を貰えた事を喜んだ。
***
『お父様ありがとう!私、ちゃんと毎日手紙を書くから!』
『何を言ってるんだい?私達も、此処に残るよ』
『えっ?だって、領地の事は…?』
『そんなの、セバスチャンが居るから大丈夫だよ。此処にサーシャが残るのに、私達が帰る訳ないだろう?』
『そうだよ。それに、俺も王都で少し用があるしね』
『私も、久し振りにミレーヌに会いたいわ』
『決まりだね。暫くは、皆んなで王都で暮らそう』
***
そういう訳で、サーシャだけでなく家族全員が王都で暫く過ごす事になったのだ。正直、家族と一緒に入れるのは嬉しい。
そんな事を思いながら部屋で本を読んでいると、部屋の扉がノックされた。
「どうぞ」
「失礼します。お嬢様、トールディン公爵令嬢ティミア様がお越しになりました」
「…!すぐ行くわ!」
メイドの言葉に、サーシャは読んでいた本を置いて直ぐに部屋を飛び出す。そうして、大きな玄関に向かうと使用人に付き添われたティミアの姿があった。
「ティミア!いらっしゃい!」
「サーシャ!」
満面の笑みを浮かべて歓迎するサーシャに、ティミアは嬉しそうに笑った。そう、今日は待ちに待ったティミアとの初めてのお買い物をする日なのだった。
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