極妻、乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生しちゃいました!

ハルン

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No.60 アランside

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「アランお兄様、すっごく楽しかったわ!」

その名の通り、幻想の箱庭にいるかの様な夢の様な素晴らしい時間を過ごしたサーシャ。ショーが終わり、テントを出たサーシャは頬を赤く染めて興奮冷めやらぬ様子で、アランにどんなに楽しかったか感想を話す。普段の大人びた様子からは想像出来ないほどに、年相応の反応をするサーシャをアランは愛しげに見つめる。

「特に、水魔法と光魔法を合わせた演舞!凄く綺麗だったわ!お兄様、聞いてる?」
「勿論、聞いてるよ」
「他にもーー」

まだまだ話し足りない様子のサーシャを見つめるアラン。その時、アランの視界に"あるもの"が映った。それを見て、アランはサーシャにバレない様に小さく溜息をついた。

(一体、何処までついて来る気なんだ…?)

それは、数刻前にアラン達の目の前に現れた嘘泣きをした少女だった。その少女は、アラン達の後をテントを出た時からつけていた。

最初は、ただの偶然かと思った。

しかし、試しに何度か人混みに紛れる様に進むと、少女はアラン達を見失わない様に慌ててついて来る。ここまでくれば、少女は完全にアラン達の後をつけている。

(………いや。「俺達」というより「俺」をつけてるな)

最初に会った時も、少女はアランに対して色目を使って来ていた。しかも、子供がカッコいい男子に向ける様なモノでは無い。大人の女性が男性に使う媚を売る様な色目だ。

(………さて、どうするかな)

本能が、あの少女は危険だと告げている。

『この少女は、将来自分にとって「害」になる存在だ。今すぐ消せ』

そう本能が告げている。
アベルシュタイン家の手に掛かれば、人一人を消す事など簡単だ。しかし、現在特に何の問題も起こしていない…ましてやサーシャと同い年くらいの子供を消すなど、幾らなんでも抵抗がある。

(でも、本能が危険だと告げてるんだよな)

「さて、どうするかな」とアランが悩んでいると、クイッと小さく手を引かれる。アランがそちらを見ると、アランの可愛いお姫様が不満そうに頬を膨らませていた。

「………アランお兄様、私の話聞いてた?」

どうやら、アランが何か考え事をしている事に気が付いた様だ。それで、自分の話を聞いていないと思ったのだろう。

ーーだが、相手はサーシャ命のアランだ。

「勿論、聞いてたよ。俺は、妖精達の歌が一番良かったな。妖精の歌なんて、契約していない限り滅多に聞けるものじゃないからね」

アランが、サーシャの言葉を聞き逃すなど絶対に有り得ない。それに、アランは元々考え事をしながら他の事も同時に出来る器用な少年なのだ。

「それ、私も凄く良かった!それにーー」

アランの言葉に、サーシャがまた上機嫌に話し出す。それを聞きながら、少女をどうするか考えるアランであった。


***

No.59で投稿した子守唄についてですが、読者の方から「某アニメの子守唄に似てる」とのご指摘がありました。

自分でも調べてはいるのですが、未だその某アニメの子守唄を見つける事が出来ません。
ですが、指摘をもらった以上このままと言う訳には行きません。もう少し調べては見ますが、他にも似ていると感じた方には、出来ればその某アニメを教えて頂きたいです。

どうぞ、ご協力お願いします。
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