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No.71
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「アベルシュタイン侯爵、本日はお招き頂きありがとうございます」
「此方こそ、娘の誕生日会にお越し下さりありがとうございます」
「此方が、噂の御息女ですね?なんと…!侯爵や夫人に似てとてもお美しい!御子息もとても見目麗しい方ですからな。当然と言えば当然ですな!」
「まぁ、ダンケル様ったら」
両親と招待客の会話を、サーシャは隣でニコッと笑いながら聞いていた。
(………長い。前世でも組同士の集会の時は、他の組長達への挨拶が大変だったな。組長の他に側近の方達も一緒に来るから、挨拶し終わるのに1時間はかかったし)
そんな事を考えていると、アランが小声で声をかけてくる。
「………サーシャ、大丈夫?疲れてないか?」
「うん、大丈ーー」
「やぁ、アベルシュタイン侯爵」
その時、聞こえてきた声にサーシャは声の方を振り向く。そこには、にこやかな笑みを浮かべ此方を見つめるクリスがいた。
突然の王族の登場に、会場に居た人々から騒めきが起きる。
「まぁ、見て!クリス王子よ!」
「なんと!まさか、クリス王子まで来るとは!」
「クリス王子、素敵…」
「娘は何処行った…!早く呼んでこい!」
そんな招待客達の騒めきを聞きながら、サーシャは疑問に思った。
(えっ…?侯爵の娘の誕生日に、わざわざ王族の方が来る?おかしいでしょ!?)
「これはクリス王子。まさか、貴方がお越しになるとは。………招待状は、陛下に渡したんですがね」
存外に、何故お前がここに居るとダリルはクリスに尋ねる。
「用事があって父上の書斎を尋ねた所、机の上に今日の招待状があってね。ちょうどこの日は、父上は用事があって来れないから、代わりに私が来たんだ」
後で聞いた話だが、基本的に王族の方ーー特に陛下は忙しい。だから、招待しても来る事は稀だ。それに、一定の貴族に肩入れすると貴族間のパワーバランスが崩れてしまう為に殆どの招待は断るの。
しかし、この国のトップに招待状を渡さないのは失礼にあたる。
それだから、基本的に陛下が来ない事を分かった上で貴族は招待状を送るのだそうだ。
「何より、私がサーシャ嬢の誕生日を祝いたかったんだ」
「………そうですか。王子自ら娘の祝いに来てくれるとは、光栄の極みです」
(お父様、殺気が漏れてます)
「ふふっ。侯爵にそう言ってもらえてよかったよ。それじゃあ、サーシャ嬢。また後でゆっくりと話そうね」
「………」
その言葉に、サーシャは無言の笑みで答える。
それを見たクリスは、楽しそうに笑いながら会場に入って行くのだった。
「此方こそ、娘の誕生日会にお越し下さりありがとうございます」
「此方が、噂の御息女ですね?なんと…!侯爵や夫人に似てとてもお美しい!御子息もとても見目麗しい方ですからな。当然と言えば当然ですな!」
「まぁ、ダンケル様ったら」
両親と招待客の会話を、サーシャは隣でニコッと笑いながら聞いていた。
(………長い。前世でも組同士の集会の時は、他の組長達への挨拶が大変だったな。組長の他に側近の方達も一緒に来るから、挨拶し終わるのに1時間はかかったし)
そんな事を考えていると、アランが小声で声をかけてくる。
「………サーシャ、大丈夫?疲れてないか?」
「うん、大丈ーー」
「やぁ、アベルシュタイン侯爵」
その時、聞こえてきた声にサーシャは声の方を振り向く。そこには、にこやかな笑みを浮かべ此方を見つめるクリスがいた。
突然の王族の登場に、会場に居た人々から騒めきが起きる。
「まぁ、見て!クリス王子よ!」
「なんと!まさか、クリス王子まで来るとは!」
「クリス王子、素敵…」
「娘は何処行った…!早く呼んでこい!」
そんな招待客達の騒めきを聞きながら、サーシャは疑問に思った。
(えっ…?侯爵の娘の誕生日に、わざわざ王族の方が来る?おかしいでしょ!?)
「これはクリス王子。まさか、貴方がお越しになるとは。………招待状は、陛下に渡したんですがね」
存外に、何故お前がここに居るとダリルはクリスに尋ねる。
「用事があって父上の書斎を尋ねた所、机の上に今日の招待状があってね。ちょうどこの日は、父上は用事があって来れないから、代わりに私が来たんだ」
後で聞いた話だが、基本的に王族の方ーー特に陛下は忙しい。だから、招待しても来る事は稀だ。それに、一定の貴族に肩入れすると貴族間のパワーバランスが崩れてしまう為に殆どの招待は断るの。
しかし、この国のトップに招待状を渡さないのは失礼にあたる。
それだから、基本的に陛下が来ない事を分かった上で貴族は招待状を送るのだそうだ。
「何より、私がサーシャ嬢の誕生日を祝いたかったんだ」
「………そうですか。王子自ら娘の祝いに来てくれるとは、光栄の極みです」
(お父様、殺気が漏れてます)
「ふふっ。侯爵にそう言ってもらえてよかったよ。それじゃあ、サーシャ嬢。また後でゆっくりと話そうね」
「………」
その言葉に、サーシャは無言の笑みで答える。
それを見たクリスは、楽しそうに笑いながら会場に入って行くのだった。
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