極妻、乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生しちゃいました!

ハルン

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No.77

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その後も、他愛も無い話をティミアとしていると。

ーーガシャーン!!

会場の方から何かの割れる音と、人々の騒めきが聞こえて来た。

「……何かしら?」
「会場の方からだったよね?」

二人で顔を見合わせてから、会場に向かう。

「まぁ、見て」
「何と品の無い」
「何処の家の者だ?」

会場の中心を取り囲む様にして、招待客達が不快そうに話していた。漂う大人達の不快な雰囲気に、ティミアは怯えた様にサーシャの背後に隠れる。

そんなティミアの手を握りながら、中央に向かう。

「ちょっと!離してよ!」

そこには、屋敷の護衛騎士に取り押さえられているサーシャ達と同い年位のピンクのドレスを着た少女の姿があった。

(あれ?あの子何処かでーー)

見た事のある気がするが、中々思い出せない。
何処で見たのか思い出そうとしていると、父ダリルが少女の前に立った。

「君、一体何でこの場に居るのかな?私は、君を知らないし、君をこの場に招待した覚えも無いんだが」

その言葉に、招待客達は騒つく。

それはそうだ。
主催者が招待してもいないのに、断りも無く無断でやって来るなど貴族以前に人としてあり得ない。

「無断でこの場に居るだけでは無く、正式な私の客人に飲み物を浴びせるなんて…」

そう言って、ダリルはそばに居る女性を見る。
淡い黄色のドレスを着た女性の裾の部分が、一部濡れて色が濃くなっていた。そばには、母ミランダが寄り添っていた。

「ドルーナ夫人、控え室に替のドレスをご用意しました。どうぞ、此方へ」
「ありがとうございます、アベルシュタイン夫人」
「いいえ。我が家のパーティーでこの様な事態を招いてしまい、誠に申し訳ありません」

そう言って会場を後にする二人を見送り、ダリルは再び少女に目を向ける。

「とにかく、どうやって我が家の警備を掻い潜ってこの場に来たのか、じっくりと話してもらおうか。連れて行ってくれ」
「はっ!」
「ちょっ!話してよ!私を誰だと思ってるのよ!私は、未来の王妃なのよ!」

品性のカケラも無く騒ぎ立てる少女に対して周囲の人々の目は冷たい。それに気付かず、なおも暴れる少女。そんな彼女が発した言葉に、誰かの笑い出す声が聞こえて来た。

「ふふっ!すまない…っ。どうしても堪えきれなくて」
「クリス様!」

笑っていたのは、クリスであった。
少女は、クリスの姿を見ると瞳を輝かせる。

「クリス様、助けて下さい!この人達が私に酷い事をするんです!」

少女は、その珍しいピンクの瞳に涙を浮かべながらクリスに助けを求めた。

「私が君を?一体、何故?」

だが、クリスのその言葉に少女はピシッ!と固まったのだった。







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