極妻、乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生しちゃいました!

ハルン

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No.83

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一人の女性が同時に複数の男性に好かれるなど、一体その女性はどれ程素晴らしいのだろう。

人には、それぞれ好みと言うモノがある。

顔やスタイルなどの外見。
性格や思考などの内面。

それこそ、百人いれば百通りの好みがあるだろう。しかし、大体の人の好みは「顔が良い」や「優しい」、「面白い」、「一緒にいて楽しい」などが一般的だと思う。

仮にも、乙女ゲームの悪役令嬢としてヒロインの前に立ち塞がるのだから顔は良いのだろう。
絶世の美女で無くとも、見目麗しい女性を娶ったり愛人として囲ったりしたりする事もある貴族の娘である。平民よりも余程整った顔をしている筈だ。

この時点で、外見面での条件はクリアしている。
次に内面だ。

破滅フラグを回避する為に何をすればいいのか。
答えは、人に優しくするだ。
そもそも、悪役令嬢は人に恨まれる事をするから後に復讐されるのだ。それなら、人に恨まれない様にすれば良い。

全ての人間に好かれるなど絶対に無理だが、破滅するほど恨まれる事はないだろう。これで、内面の条件はクリアだ。

この時点で、人に好かれるには十分な素養は持ち合わせている。

ーーだが、この程度の人間はそこら中にゴロゴロいるとサーシャは思っている。

好き好んで人に嫌われる様な事をする人間など稀だ。確かに、自分勝手で人に嫌われる者もいるだろう。しかし、殆どの人間は他人に嫌われない様にするものだ。

実際、サーシャでさえ自身にとって大切な人達に嫌われたく無いと強く思う。自分の好き勝手に振る舞って周りからの印象を悪くして、大切な人達に嫌われると思うと悲しくなる。だから、サーシャは普段から模範的な良い子の様に振る舞う。

ーーしかし、だからと言って大切な人達を傷付けられたら話は別だ。

もしも、サーシャの大切な人達が誰かに理不尽にも傷付けられたら、サーシャは誰に何を思われようと構わずに行動するだろう。例え、それで大切な人達に怖がられようとも、サーシャは決して後悔はしない。大切な人達が傷付けられて黙っているほど、サーシャはお人好しではない。

話が逸れてしまったが、結局何が言いたいのかと言うと。

『その様な女性は沢山いるのに、悪役令嬢に複数の男性が惚れて逆ハーレムを築くのはおかしい』と言う事だ。

(その悪役令嬢、魅了チャームの魔法でも無意識に使ってるんじゃないの?)

未だ楽しそうにサーシャに話すティミアの言葉を聞きながら、サーシャはそう思うのだった。


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