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No.95 ルイスside

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ーーその、どこまでも深い海の様な美しい青の瞳に涙を浮かべた横顔は、5歳の子供では無く一人の美しい女性に見えた。

***

その日、ルイスは借りていた本を返しに貴族の服では無く、裕福な商人が着る様な質の良い服を着て王立図書館を訪れていた。

「ーー大変お待たせ致しました。確かに、此方の本は返却されました。他にも何か御座いますか?」

受付の男性が、ルイスに向かって他の利用者よりも丁寧に尋ねる。それは、ルイスが本を借りれる人物だからだ。誰にでも開かれた図書館とは言え、未だ本はとても貴重な物だ。その為、本を借りれるのは身元や身分がしっかりしている貴族か一部の豪商などだけだった。

「そうだな…。この前貸し出されていたミローラ国の本は返却されているか?」
「少々お待ち下さい。………ミローラ国の歴史についての本でしたら、3日前に返却されております。その後は、誰も借りていませんので此方に御座います。直ぐに持って参りましょうか?」
「いや、自分で行く」
「かしこまりました。何か御座いましたらお呼び下さい」
「分かった」

そうして、ルイスは本棚に収められている様々な本を見ながら目的の本を取りに向かった。

「まぁ、見てっ!ルイス様よ!」
「本当だわ!いつ見てもお美しいわ!」
「あの流れる様な銀の髪…。一体、どんなお手入れをしているのかしら?」
「あの綺麗な青い瞳で此方を見てくれないかしら…」

偶然、図書館にいた貴族の御令嬢らしき四人の少女が頬を赤らめキャアキャアと騒ぎながらうっとりとした表情でルイスを見つめてくる。

(…ウルセェな。図書館では静かにしろって習わなかったのかよ)

心の中ではそう思いながらも、表情には出さず仕方なく令嬢達に笑顔を向ける。見目麗しいルイスの笑みに、キャーっと黄色い声をあげる令嬢達。

(チッ!本当にウルセェな)

無視したかったが、普段は礼儀正しく優しい青年で通しているルイス。その為、目があったのに無視する事は出来なかった。

(これで無視したら、翌日には貴族の女全員に話が広がるんだから、女ってのは本当に噂好きだよな)

女性達のお茶会で話題になる噂などは、貴重な情報などが数多く存在する。だから、女性達の噂好きは馬鹿には出来ない。それでも、「誰々の旦那は寝る時にオナラをする」などの下らない噂話はしなくても良いとルイスは強く思っていた。

(おっ、あった)

目的の本を見つけたルイスは、手に取り早速借りようと来た道を戻ろうとした途端、見知った一人の子供が彼の視界に入って来たのだった。
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