ソフィア学園新聞部（非公式）！〜あなたの秘密、丸裸にして見せます〜

ソフィア学園新聞部（非公式）

5、興味がある

ガランの言葉に、ロドリゲスは深く項垂れる。

「そうだな。お前は、レオンを再教育すべきだと余に忠告してくれた。それなのに、仕事の忙しさを理由に先延ばしにしてしまった…」

ガランの言葉を信用しなかった訳では無い。
だが、ロドリゲスの予想以上にレオンが馬鹿だったのだ。まさか、浮気して冤罪をでっち上げる程だとは思わなかった。

「まぁ、過ぎた事は仕方ないです。それよりも、この記事は良く出来てますね」

後悔しているロドリゲスを他所に、ガランは今一度新聞の内容を読む。

「昨日の事なのに、少しの脚色も無く正確に内容が記されていますね」
「………あぁ、影からの報告の内容と同じだ」
「この新聞が張り出されたのを見た者は？」
「居ない。影の誰一人として、この新聞が張り出されたのを見た者は居ないそうだ」
「それはそれは…」

建国当初から存在する王家の暗部を担う「影」。
隠密行動などが得意な彼らでさえも、この新聞が張り出された瞬間を目撃していないとは。その事実に、ガランはその鋭い目を興味深そうに細める。

「この新聞について、学園側は何と言っているんだ？」
「知らぬ存ぜぬです。学園には様々な部活動がありますが、新聞や記事などを取り扱う部は一切無いとの事です。現に、学園側から提出された書類には特に怪しい不備なども見られません」

ガランの言葉に、ロドリゲスは溜息をついた。

「誰が書いたのかも分からない正確な内容の記事……か。学園外に一切張り出されていないのが救いだな」
「ですが、直ぐに噂になるでしょうね。張り出された新聞は直ぐに学園側に回収させましたが、レオン様は人の目の多い中庭で騒ぎを起こしましたから。古来より、人の口に戸は立てられないと言いますからね」
「………本当にどうしようも無い馬鹿者め」

深い深い溜息を吐いたロドリゲスは、次の瞬間には国王としての顔になってガランに命じた。

「レオンのしでかした今回の件は、噂が広がる前に此方から先に事実を公表する」
「よろしいのですか？」
「構わん。こちら側に都合の良い噂を流した所で、公爵の怒りを買うだけだ。公爵と話を合わせてアリアナ嬢の名誉が守られる様にする」

ロドリゲスの言葉に、ガランも頷く。

「それがよろしいかと」
「後は、極秘裏にこの記事を書いた者を探せ」
「どうするのですか？」
「聞けば、騒ぎが起きたと同時に例の小娘の醜聞が書かれた記事がタイミング良く降って来たとか。これを書いた者は、レオンと小娘が馬鹿をやらかす事を知っていた可能性が高い」

ロドリゲスは、その顔に愉しげな笑みを浮かべる。

「是非、一度詳しく話をしてみたいと思わないか？」
「そうですね。私も、この者に興味があります。早速、マグドーラ公爵と話し合いの場を設けます。この正体不明の記者については、引き続き影に捜索を頼みましょう」
「頼んだ」

二人は、優秀な影によって二ヶ月以内には記者が見つかると思っていた。しかし、二人の予想に反して捜索は難航するのだった。