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ソフィア学園新聞部（非公式）

7、レティシア、前世を思い出す

レティシア・ザットンが前世の記憶を思い出したのは、教会で自身のスキルを調べる5歳の時であった。

「シア、そんなに楽しみかい？」
「うんっ！シア、どんなスキルが貰えるかな？」
「シアは、他の子よりも何処か大人びて賢いからな。もしかしたら、二つのスキルが貰えるかも知れないな」
「貴方ったら、適当な事を言わないで。二つのスキルなんて滅多に授かる物じゃ無いのを分かってるでしょ？それなのに、子供に変な期待をさせないで」
「わ、わかったよ。ごめんね、シア。スキルが二つ貰えなくても、落ち込まなくていいからね。スキルは、殆どの人が一つしか貰わないからね」
「わかった！シア、スキルが一つでもいいよ」

そんな風に話しながら両親と共にやって来た教会で、レティシアは他の子供達と共にお爺ちゃん神父様にスキル鑑定をしてもらった。

「次の子、前へ」
「はいっ！」
「では、この水晶に手を当てて。少し眩しいかも知れないが、我慢するのじゃぞ？」
「うん！」

両手に乗る程の大きさの水晶に手を当てると、段々水晶が光り始める。

（シア、どんなスキルが使えるのかな？やっぱり欲しいスキルと言えば、チート的な瞬間移動のスキルが欲しいよね！そしたら、どんな難しい取材現場や裏取りなんかも楽だしバッチリ！………あれ？チート？取材…？何、そ…れ…）

そんな事を思った瞬間、レティシアの視界が歪んだ。

「キャーッ！シアっ！？」
「シアっ！？」

意識が途切れる瞬間に、両親の悲鳴とお爺ちゃん神父の驚いた表情が見えた。

そうして眠ってる間、シアは前世の記憶を思い出していた。日本という国で、記者として色んな現場を駆け回った28歳の女性の記憶。

（そ、うだ…私は、＊＊＊。あれ？名前が思い出せない。私は、誰だっけ…？）

「………ア」
「レティ…ア」

（何？何を言ってるの…？）

「レティ…」
「レティシアっ！」

（そうだ、私は『レティシア』。5歳のレティシア・ザットンだ）

そこで漸く、レティシアは目を覚ました。

「シアっ！」
「良かったっ！直ぐに医者を！」

目を開けて直ぐ、疲れた表情の両親の姿が目に入った。

「お父様、お母様…」
「シア、何処か気持ち悪いところは無いか？」
「待っててね。直ぐにお医者様が来てくれるから」

その後直ぐ、隣の部屋で待機していた医者に診察され問題無いと診断された。

「もう大丈夫です。ですが、三日も高熱で寝込んでいたのです。身体は休息を求めていますので、栄養価の高く食べ易い食事と水分補給を小まめにして下さい」
「ありがとうございます」
「また何かあったら呼んでください」

何と、レティシアは三日も高熱で目を覚まさなかったらしい。深く頭を下げる両親を見て、どれほど心配をかけたのか知る。

「ごめんなさい」
「シアが謝る事なんて何も無いぞ？」
「そうよ。無事に目を覚ましてくれて良かったわ」

そうして、両親や使用人達の手厚い介護によってレティシアは三日後には元気に走れる様になるまで回復したのだった。