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動き出す歯車
お土産
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その日は、朝から雨が降っていた。
窓から店の外を見ると、大慌てで家に帰る人や店先で雨宿りする人がチラホラと見えた。
「何か面白い事でもあったかい?」
「何も。…今日は、お客さん来なそうですね」
窓の外をジッと見つめるレムリアに、先生が穏やかな声で話しかける。
「確かに来なそうだの~。だが、それはいい事じゃよ。誰も薬を使わなくても良いくらい元気だという証じゃからの~」
「確かにそうですけど!このままじゃこの店は潰れてしまいます!ここでは、たった一軒の薬剤師の店なのに!元々、値段も皆んなが買える様に本来の値段よりかなり安くしてるから赤字なのに!このまま廃業したらどうするんですか?」
「何とかなるじゃろう」
「もうっ!お店が無くなって困るのは、私達だけじゃ無いんですよ?何かあった時、お客さんも困るじゃ無いですか!」
私が少し強く言うと先生は、こりゃ~参った!と少し(本人曰く)生え際が後退した頭をかく。そんなのんびりとした先生を見ていると、つい仕方ないなと許してしまう。
ーーカランカラン。
「すいません」
店の入り口の方から声が聞こえる。
本日最初のお客様だ。
「いらっしゃいませ」
「こんにちはレムリア」
「ヴォーグさん!帰って来てたんですか?」
そこには、少し濡れたヴォーグさんが立っていた。出会った頃より背が伸び、身体付きもしっかりとしている。現在22歳の彼は5年前からこの街で一番大きな商会で働いており月に一度、商品を運ぶため一週間程街を出る。
「ついさっき帰って来たんだ。この雨で身体が冷えたのか、少し頭痛がするんだ」
「そうですか、わかりました。では頭痛薬を出しますので、昼食後に一粒飲んでください」
手早く頭痛に効く薬を調合し、布で包み渡す。
「ありがとう。すっかり薬剤師が板に付いたね」
「私なんてまだまだです。まだ簡単な調合しか出来ませんし」
「そうだとしても、今の僕には頼りになる薬師だよ」
薬の入った布を軽く振ってからポケットに手を入れ、何かを取り出す。
「今回行った街で見付けたんだ。レムリアにお土産」
そう言って渡されたのは、透明な樹脂の中にアザミの花が固められた小さなペンダント。
「綺麗…」
うっとりとそれに見入っていると。
「喜んでもらえたようでよかったよ」
「ありがとうございます。大切にします」
「そう言ってもらえて嬉しいよ」
その後暫く話をした後、ヴォーグさんは帰って行った。それを見届け背後を見るとーー。
「っ!?」
そこには、此方をニヤニヤした顔で見みているお爺さんが一人。
「あれか?あっちが本命の彼かの?」
「何の事ですか?ヴォーグさんは、そんなんじゃ有りません」
「ホントのホント?」
「ホントのホントです。私の事はいいから、ほら仕事しますよ」
ちぇ、つまらんの~。そう言いながら作業部屋に戻っていく先生の後を溜息を零しながら付いていった。
窓から店の外を見ると、大慌てで家に帰る人や店先で雨宿りする人がチラホラと見えた。
「何か面白い事でもあったかい?」
「何も。…今日は、お客さん来なそうですね」
窓の外をジッと見つめるレムリアに、先生が穏やかな声で話しかける。
「確かに来なそうだの~。だが、それはいい事じゃよ。誰も薬を使わなくても良いくらい元気だという証じゃからの~」
「確かにそうですけど!このままじゃこの店は潰れてしまいます!ここでは、たった一軒の薬剤師の店なのに!元々、値段も皆んなが買える様に本来の値段よりかなり安くしてるから赤字なのに!このまま廃業したらどうするんですか?」
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私が少し強く言うと先生は、こりゃ~参った!と少し(本人曰く)生え際が後退した頭をかく。そんなのんびりとした先生を見ていると、つい仕方ないなと許してしまう。
ーーカランカラン。
「すいません」
店の入り口の方から声が聞こえる。
本日最初のお客様だ。
「いらっしゃいませ」
「こんにちはレムリア」
「ヴォーグさん!帰って来てたんですか?」
そこには、少し濡れたヴォーグさんが立っていた。出会った頃より背が伸び、身体付きもしっかりとしている。現在22歳の彼は5年前からこの街で一番大きな商会で働いており月に一度、商品を運ぶため一週間程街を出る。
「ついさっき帰って来たんだ。この雨で身体が冷えたのか、少し頭痛がするんだ」
「そうですか、わかりました。では頭痛薬を出しますので、昼食後に一粒飲んでください」
手早く頭痛に効く薬を調合し、布で包み渡す。
「ありがとう。すっかり薬剤師が板に付いたね」
「私なんてまだまだです。まだ簡単な調合しか出来ませんし」
「そうだとしても、今の僕には頼りになる薬師だよ」
薬の入った布を軽く振ってからポケットに手を入れ、何かを取り出す。
「今回行った街で見付けたんだ。レムリアにお土産」
そう言って渡されたのは、透明な樹脂の中にアザミの花が固められた小さなペンダント。
「綺麗…」
うっとりとそれに見入っていると。
「喜んでもらえたようでよかったよ」
「ありがとうございます。大切にします」
「そう言ってもらえて嬉しいよ」
その後暫く話をした後、ヴォーグさんは帰って行った。それを見届け背後を見るとーー。
「っ!?」
そこには、此方をニヤニヤした顔で見みているお爺さんが一人。
「あれか?あっちが本命の彼かの?」
「何の事ですか?ヴォーグさんは、そんなんじゃ有りません」
「ホントのホント?」
「ホントのホントです。私の事はいいから、ほら仕事しますよ」
ちぇ、つまらんの~。そう言いながら作業部屋に戻っていく先生の後を溜息を零しながら付いていった。
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