前世で私を嫌っていた番の彼が、今世で迫って来ます!(リメイク版)

ハルン

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牙を剥く狂気

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「やっちゃったね」

それは、男にも女にも聞こえる不思議な声だった。

「…うん」
「まさか、あの魔法に部外者が無理矢理割り込んで来るとは思わなかったよ!どうしようっ、これって、確実に主人様に怒られるよね?」
「…多分」

その問いに応える声も、同様に不思議な声だった。

「どうしよー!今回は、絶対に二人をくっ付けなきゃいけないんだよ?」
「……そもそも、君が運命の輪を歪ませた…元凶」
「わかってるし!あの時も、主人様に凄く叱られたもん!だから、何とか歪ませちゃった運命の輪を元に戻そうと必死に頑張ってるんじゃ無い!」
「…ごめん」

(何の話…?)

「大体さぁ、いつも二人が若いうちに出会う様にしてるのよ?運命が歪んでても、二人は運命の番同士。惹かれ合うのは当然の摂理。なのに、何でいっつも失敗に終わるの?おかしくない?もう、私が無理矢理くっ付けようか?もうそれしか無く無い?」
「…それでも、二度と運命を勝手に動かしちゃ…ダメ」
「わかってるよ!だからこうして、アンタに愚痴ってるんじゃん!」

(変な夢だな…)

「それにしても、男の方も男の方よ!番の女が好きって言ってるんだから、俺も好きだよ!って抱き締めなさいよ!そうすれば、万事解決なのに~!………今、何回目?」
「…十三回目」
「かぁー!無理!もし、これが自分だったらと思うと無理!死ぬ!」
「…君は死なない」
「知ってる!…ってかさ、もうそろそろ生まれ変わらすの限界に近いよね?これ以上は、魂が持たないよね?」
「…多分、これが最後」
「本当に、どうしよう。これで失敗したら二人とも消滅…」
「…待って。…聞かれてる」
「マジ?……本当だ。不味いな~。取り敢えず、此処から弾いとこう!」


(……!)


その言葉と共に、意識が遠くなる。



***

「レムリア~。そろそろ起きてねー」
「………は~い」

下から自身を起こす母の声に、レムリアはのんびりと返事をする。

「ん~。…何か、凄く大事な夢を見た気がする」

だが、如何してもその夢の内容が思い出せなかった。

「…まっ、いいか。そのうち思い出すでしょ」

そうしてベッドから降り両親の元へ向かった。

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