すごいよ!! リヴァイアサン ~神獣様♀に甘やかされた転移召喚師の成り上がり探索記~

Hyronet

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第一部『異世界転移と冒険者』

リヴィアさん、怖いです

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 キールは俺を連れて路地裏の突き当りまで行くとその足を止めた。
 全くひと気は無い。

「この街は、人死にで騒ぐような街じゃねぇぜ? 覚悟は出来てんな?」

 キールが腰から大振りなナイフを抜き放った。

 ――来る!

 同時に俺も腰のバインダーを取り、【リヴァイアサン】を呼び出す。

「来い。【リヴァイアサン】」

 聞き取られないように小さく詠唱して、カードを投げる。
 俺とキールの間に、光とともにリヴィアが現れた。
 今度はちゃんと人型だ。
 APが【250/400】に減少。

「がんばっちゃうよー」

 リヴィアが腕をブンブンと回す。

「人型の魔獣!? けっ。死体が増えるだけだぜ!」

 キールが影のように距離を詰めてナイフを振り上げる。
 鋭い……!

「リヴィア……!」

 リヴィアはそれを避けようともしなかった。

 ――ガギッ!

 金属質な音が響く。

「ば、馬鹿な……!」

 キールのナイフはリヴィアの首筋にぶつかって、ぴたりと止まっていた。
 薄皮一枚切れていない。

「そんなただの金属の板で、あたしの鱗《・》に傷が付けられるわけないでしょ?」

 リヴィアがナイフを素手で掴む。

「うおおお……!?」

 まるで大男とアームレスリングをしているように、キールのナイフを持つ腕が押し返されていく。

「ほいっ」

 リヴィアはナイフを掴んだまま、キールを放り投げた。

「うげっ……!」

 キールが壁にぶつかって水溜りに倒れ込む。

「ぶー。魔法を使うまでもないなぁ」

 リヴィアがつまらなそうに言って、掴んでいたナイフを床に捨てた。
 ナイフは刀身が握りつぶされてぐちゃぐちゃに歪んでいる。

「ねー。まだやる?」
「ひっ! ひえぇ……!?」

 リヴィアが倒れ込んだキールに近づいて見下ろすと、キールは腰を抜かしたまま後ずさった。

「まだやる? って聞いてるんだけどー」

 リヴィアの腕に水流が纏わりつく。

「リヴィア! こ、殺すのはマズイぞ」

 俺が言うと、リヴィアは俺を振り返って『にぱっ』と笑った。
 なにその会心の笑顔。逆に怖い。

「だってさ。よかったね、あたしのマスター優しくて」
「ば、化け物……! うわ……うわぁぁぁぁ!」

 キールは膝をカクカク言わせながら、転げるように路地の奥に逃げていった。

「行っちゃった。手応えないなぁ」
「いや、ちょうどよかったよ。あれくらいビビらせとけば復讐に来ることも無いだろ」

 するとその時、時計台の鐘が遠くから時刻を告げてきた。

「やば! 試験の時間だ……! 急ぐぞリヴィア!」
「はーい!」

 すっかり忘れていた。
 俺は慌ててリヴィアをカードに戻すと、冒険者ギルドへ走った。
 酔いは、まだほんのちょっとだけ残っているが……まぁ多分大丈夫だろう。
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