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第一部『異世界転移と冒険者』
実技試験①
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◆
定刻の七時を15分ほどすぎた頃、俺は冒険者ギルドに駆け込んだ。
「あ、来た来た! もう、試験官がお待ちですよ!」
アイーシャが待ち構えていたように急かす。
アイーシャはそのまま、俺を地下の修練場というところまで案内した。
ランタンを片手に、長い階段を降りていく。
「試験の内容は、いたってシンプルです。先輩の冒険者さんを相手に、戦ってみてください。あ、もちろん剣は模擬刀を使いますし、魔術は〈高度魔流体抑制陣〉によってダメージが抑えられるので死ぬことはありません。安心してくださいね」
「召喚獣は使っていいんだよな?」
「もちろんです。自分のスキルであれば、何を使用しても構いませんよ」
そこまで話したところで、修練場に到着した。
そこは大きなドーム状の殺風景な空間で、四方に出入り口が設けられている他は壁の上部にガラス張りの観覧席のようなものが見えるだけだ。
修練場の真ん中に誰かが立っていた。
「おっそいわよ、もう! 試験官を待たせる新人なんて聞いたことないわ……って、あれ? 昨日の貧乏くん!」
誰が貧乏くんだ。
「まさか、彼女が試験官……?」
俺が尋ねると、アイーシャはほっこりと微笑んだ。
「ええ。推薦者の彼女のスケジュールがたまたま空いていたので、うってつけだと思いまして。〈紫電のミア〉にテストしてもらえるなんて、幸運ですよ」
ミアの強さはすでに目の辺りにしている。
うーん。あの電撃をもう一度喰らうのか……。
出来れば無傷で終わりたい。
「では、鐘の音と同時に試験開始です。私は上から上司と一緒に見ていますから、頑張ってくださいね!」
俺の背中を押すと、アイーシャは通路を戻っていった。
俺は恐る恐る修練場の中央に足を進める。
「よろしくね。貧乏くん」
そう言って不敵な笑みを浮かべるミアは、やはり歴戦の雰囲気が漂っている。
「お手柔らかに。マジで」
そうこうしている内に、鐘の音が響き渡った。
「さぁ、行くわよ! 〈サンダーアロー〉!」
ミアが高速で詠唱を完了すると、その両手に雷光が纏わりついた。
それを弓のように引き絞る。
「げっ!」
俺が慌てて飛び退くと、その場所を雷弾が抉った。
「ちょ……待って――」
「戦場に待ったは無いわよ! さあ、力を見せなさい!」
飛んでくる雷弾を転がってかわす。
リヴィアを出すしかないが、上では何やらギルドのお偉いさんが見ているとのことだ。
「リヴィア! 〈擬装〉は大丈夫なんだろうな!?」
『大丈夫だよー!』
「よし! いでよ、【リヴァイアサン】……!」
カードを放り、リヴィアが現れる。
APが【115/400】に減少。
リヴィアを見て、ミアが動きを止めた。
「それが、あなたの手持ちの召喚獣? 人型の〈魔獣〉は初めてだわ。やっぱり、面白いわね、あなた」
俺はその隙にリヴィアの擬装されたステータスを確認する。
もし上の観覧席から〈観察〉をされていたら、このステータスを把握されるということだ。
【リヴィア Lv:?
HP:?
マナ:?
攻:? 防:?
ジョブ:女の子
スキル:たくさん】
「だぁぁぁ! 雑なんだよ、お前!」
「あ、ばれた? めんどくさくなっちゃって。えへ」
こちらを振り返って『ぺろっ』と舌をだすリヴィア。
「……? 何のこと? そちらから来ないなら、こちらから行くわよ!」
ミアが〈観察〉を持っていないらしいことは、不幸中の幸いだった。
ミアの雷弾がリヴィアに迫る。
「ほいっ」
リヴィアはそれを片手で弾き飛ばした。
「――!? なんですって!?」
今度は二連射で放つ。
一射目は再び弾かれ、二射目は掴みとった手の中で掻き消された。
「信じられない……。これならどう!?」
ミアが今度は複雑な詠唱を唱え始めた。ミアの周囲に魔術の紋様が浮かび上がる。
「〈サンダーランス〉!」
「おー。すごいすごい」
巨人の持つ槍のような巨大なエネルギーの塊を見上げて、リヴィアがぱちぱちと拍手をする。
「おい、リヴィア! さすがにヤバそうだぞ!?」
「あっはっは。大丈夫だって」
脳天気に笑うリヴィア。
「舐められたものね! 喰らいなさい!」
ミアが手を頭上にかざすと、雷槍がリヴィアへと切っ先を向け降り注いだ。
定刻の七時を15分ほどすぎた頃、俺は冒険者ギルドに駆け込んだ。
「あ、来た来た! もう、試験官がお待ちですよ!」
アイーシャが待ち構えていたように急かす。
アイーシャはそのまま、俺を地下の修練場というところまで案内した。
ランタンを片手に、長い階段を降りていく。
「試験の内容は、いたってシンプルです。先輩の冒険者さんを相手に、戦ってみてください。あ、もちろん剣は模擬刀を使いますし、魔術は〈高度魔流体抑制陣〉によってダメージが抑えられるので死ぬことはありません。安心してくださいね」
「召喚獣は使っていいんだよな?」
「もちろんです。自分のスキルであれば、何を使用しても構いませんよ」
そこまで話したところで、修練場に到着した。
そこは大きなドーム状の殺風景な空間で、四方に出入り口が設けられている他は壁の上部にガラス張りの観覧席のようなものが見えるだけだ。
修練場の真ん中に誰かが立っていた。
「おっそいわよ、もう! 試験官を待たせる新人なんて聞いたことないわ……って、あれ? 昨日の貧乏くん!」
誰が貧乏くんだ。
「まさか、彼女が試験官……?」
俺が尋ねると、アイーシャはほっこりと微笑んだ。
「ええ。推薦者の彼女のスケジュールがたまたま空いていたので、うってつけだと思いまして。〈紫電のミア〉にテストしてもらえるなんて、幸運ですよ」
ミアの強さはすでに目の辺りにしている。
うーん。あの電撃をもう一度喰らうのか……。
出来れば無傷で終わりたい。
「では、鐘の音と同時に試験開始です。私は上から上司と一緒に見ていますから、頑張ってくださいね!」
俺の背中を押すと、アイーシャは通路を戻っていった。
俺は恐る恐る修練場の中央に足を進める。
「よろしくね。貧乏くん」
そう言って不敵な笑みを浮かべるミアは、やはり歴戦の雰囲気が漂っている。
「お手柔らかに。マジで」
そうこうしている内に、鐘の音が響き渡った。
「さぁ、行くわよ! 〈サンダーアロー〉!」
ミアが高速で詠唱を完了すると、その両手に雷光が纏わりついた。
それを弓のように引き絞る。
「げっ!」
俺が慌てて飛び退くと、その場所を雷弾が抉った。
「ちょ……待って――」
「戦場に待ったは無いわよ! さあ、力を見せなさい!」
飛んでくる雷弾を転がってかわす。
リヴィアを出すしかないが、上では何やらギルドのお偉いさんが見ているとのことだ。
「リヴィア! 〈擬装〉は大丈夫なんだろうな!?」
『大丈夫だよー!』
「よし! いでよ、【リヴァイアサン】……!」
カードを放り、リヴィアが現れる。
APが【115/400】に減少。
リヴィアを見て、ミアが動きを止めた。
「それが、あなたの手持ちの召喚獣? 人型の〈魔獣〉は初めてだわ。やっぱり、面白いわね、あなた」
俺はその隙にリヴィアの擬装されたステータスを確認する。
もし上の観覧席から〈観察〉をされていたら、このステータスを把握されるということだ。
【リヴィア Lv:?
HP:?
マナ:?
攻:? 防:?
ジョブ:女の子
スキル:たくさん】
「だぁぁぁ! 雑なんだよ、お前!」
「あ、ばれた? めんどくさくなっちゃって。えへ」
こちらを振り返って『ぺろっ』と舌をだすリヴィア。
「……? 何のこと? そちらから来ないなら、こちらから行くわよ!」
ミアが〈観察〉を持っていないらしいことは、不幸中の幸いだった。
ミアの雷弾がリヴィアに迫る。
「ほいっ」
リヴィアはそれを片手で弾き飛ばした。
「――!? なんですって!?」
今度は二連射で放つ。
一射目は再び弾かれ、二射目は掴みとった手の中で掻き消された。
「信じられない……。これならどう!?」
ミアが今度は複雑な詠唱を唱え始めた。ミアの周囲に魔術の紋様が浮かび上がる。
「〈サンダーランス〉!」
「おー。すごいすごい」
巨人の持つ槍のような巨大なエネルギーの塊を見上げて、リヴィアがぱちぱちと拍手をする。
「おい、リヴィア! さすがにヤバそうだぞ!?」
「あっはっは。大丈夫だって」
脳天気に笑うリヴィア。
「舐められたものね! 喰らいなさい!」
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