39 / 57
3章 宝剣の重み
5.悲劇を詠む杜鵑花(3)
しおりを挟む
永貴妃はしばしの間、鬼霊と向き合っていた。鬼霊に対する畏れは感じられない。そこにあるのは悲哀だった。
その後、永貴妃は宮女長に何かを命じた。宮女長が宮に戻っていく。
また融勒も、鬼霊のそばに立つ。鬼霊が融勒の言を素直に聞き入れたのは、彼が双児の兄であるとわかっていたのだろう。紅花の苦しみがあっても、母や兄に襲いかかろうとしなかったのは想いの強さである。
(小鈴は、母や兄に会いたかったのかもしれない)
だから宮城に現れた。そして母と兄に助けを求めたのだ。
「私の妹はこのような顔をしていたのか」
「融勒様もお会いしたことがなかったんですね」
「ああ。話を聞いたことはある。だが、一度も会えぬままだった。わたしは吉事を報せるものだと思い込んでいたが、鬼霊は助けを求めていたのだな……」
融勒もまた小鈴の話は聞いていても会ったことがなかったのだろう。鬼霊と成り果てた姿といえ、じいと眺める様は、それを記憶に焼き付けようとしているかに見えた。
(きっと小鈴も、二人の姿を見ているはず)
鬼霊は悲しげで、しかしかすかに微笑んでいるように見えた。二人にようやく気づいてもらえたのだ。
春燕宮に近づく足音に、みなが振り返る。その姿を確かめた後、秀礼が言った。
「遅いぞ、清益」
「まったく人使いの荒いことです。こう見えても急いできたんですよ。とりあえずは間に合ったようですね」
息を切らせてやってきた清益は秀礼の前に膝をつく。
「丁鶴山に向かわせた者からの報告がありました」
その言にみなの視線が集う。
「小屋にいくつもの死体がありました。獣に食い荒らされたようで目も当てられぬ惨状でした。周寧明、それから小鈴らしき遺体も確認されています」
「なるほど。小鈴は人知れず病で倒れた後、遺体を荒されたのかもしれぬな」
「ええ。それらの死体が川に引っかかっておりました。腐敗したものもありましたので、それが原因で水が汚れたのかもしれません」
清益が語るには、それらの遺体は小屋の外や水車に引っかかっていたそうだ。獣に襲われて死んだのか、死した後に獣に襲われたのか。何にせよ、それによって汚れた川の水が大都に運ばれたのである。水を口にした者だけでなく、触れた者も発症したのは、水の汚れが些細な傷口から入ったのだろう。
「その遺体は、どうなった」
永貴妃は清益に問う。
「秀礼様には、遺体を見つけたら丁重に弔うよう命じられております。そのようにさせていただきました」
「……よい。助かる」
これで遺体のありかも片付いたのだ。人知れず倒れて死んだ小鈴と、それを探しにいった寧明たちの死。水も清浄になれば大都に流行る病もおさまることだろう。
そこへ宮女長が戻ってきた。その手には塗箱がある。蓋を開くと、中には綺麗に畳まれた布が入っていた。
「華妃。これを渡そう。抱被だ。小鈴が生まれた時にこれで包んだ」
年月経っているだろうに色あせていないのは、それだけ永貴妃が大切にしてきたということだ。それほどの想いがこもっているのならば花渡しが出来る。
花は紅妍が持ってきている。彼女が住んでいた庭の杜鵑花を手折ってきた。花詠みで小鈴が好いた花だと聞いた。好いた花と母の想いがこもった品であれば、小鈴も喜んで浄土に渡るだろう。
みなの表情を見渡した後、秀礼が紅妍の肩を優しく叩いた。
「華妃、小鈴を祓ってほしい」
紅妍は頷く。片手に抱被、もう一方の手には杜鵑花を乗せた。
花渡しを行う。瞳を閉じ、花と鬼霊に語りかける。
(小鈴。あなたを浄土に送りたい)
母と兄に会え、遺体は弔われ、もう未練はないだろう。紅花の苦しみから解き放つ時だ。
小鈴の体は煙になって、少しずつ溶けていく。その煙は杜鵑花の中に吸いこまれていった。
「小鈴……」
永貴妃の声がした。堪えきれずに泣いているのだろう。煙となって消えゆく小鈴は微笑んでいるようだったが、その涙が落ちる音は確かに聞こえた。
鬼霊となってでも会いにきた。その小鈴が願いを遂げ、消えていく。
「花と共に、渡れ」
瞳を開いた紅妍が両の手を宙に掲げる。小鈴の魂と想いのこもった抱被は煙となって杜鵑花に溶けている。その杜鵑花もまた、煙となって風に舞った。
風が吹き抜けていく。ここにいた鬼霊は、もういない。満ちていた鬼霊の悪気も消えている。
紅妍は振り返り「終わりました」と告げる。永貴妃は手で眼を押さえていたが、手をおろした時にはいつもと変わらぬ淡々とした表情に戻っていた。
「華妃。あれを祓ってくれて助かった」
「いえ。わたしにできることをしたまでです」
「褒美については、いずれ冬花宮に参ろう。その時に話す」
そう告げて、永貴妃は宮に戻っていった。
褒美というのは帝を苦しめているものについての情報だろう。ひとつ片が付いたことに安堵し、紅妍は長く息を吐く。
次いで、口を開いたのは融勒である。
「妹を救ってくださってありがとうございました。華妃がいなければ鬼霊が救いを求めていたことに気づかなかった」
それから、と融勒は秀礼の方を見やる。
「私は宝剣のことばかり考えていた。大事なものが見えていなかったのだな」
「……宝剣は鬼霊の才がある者を選ぶだけ。天子を選ぶのは宝剣じゃない」
「ああ、そうかもしれぬな」
小鈴の鬼霊は、融勒の頭を冷やしてくれたのだろう。七星亭で話した時のように妄執に駆られてはいない。憑き物が落ちたような、すっきりとした顔をしている。
「では華妃。我々も戻ろう。冬花宮まで送っていく」
「わかりました」
鬼霊が消えた春燕宮は優しい香りがする。永貴妃はああ見えて温かな人だろう。きっとこの庭に杜鵑花が植わるはずだ。彼女ならばきっと、そうする。
この庭に杜鵑花が咲いた時はまた訪れたいと、紅妍は思った。
冬花宮までの道のりを秀礼と共に歩く。清益は二人の少し前を歩いている。後ろには秀礼が連れてきた武官がいるが、二人に気遣ったのか距離を開けていた。
「花渡しというのは、何度見ても優しすぎる術だな」
秀礼がそう呟いた。紅妍は顔をあげて秀礼の方を見やる。
「あれを用いて、お前には何の負荷もないのか?」
「はい。特には――現世への念が強いものだったら苦労しますが、今回のように心を開いた鬼霊であれば苦になりません」
「……そうか。これとは違うのだな」
秀礼はうつむき、宝剣の柄に触れる。
「宝剣で鬼霊を斬り祓う時、手に血のかおりが染みつく。他の者には聞こえないそうだが、私には鬼霊の悲鳴が聞こえる」
悲鳴をあげるということは痛んでいるということ。紅妍は宝剣のことを快く思っていない。あれは二度殺すようなものである。これを用いた祓いは鬼霊を苦しめる。
「歴代の帝は宝剣を振るったが、振るえば振るうほど、斬り祓った鬼霊に悩まされていくらしい。確かにあの悲鳴を何度も聞いては、気が触れるかもしれないな」
秀礼は苦笑する。その表情からはわからないが、彼自身もあの悲鳴に悩まされたのだろう。
「もしもお前があの悲鳴を聞くのなら――止めようと思った」
ぽつりと、こぼれ落ちる。秀礼は宝剣の柄から手を離し、まっすぐ前を見つめていた。
紅妍も同じく前を向く。秀礼が見ているものと同じものを、見たいと思った。
「わたしは華仙術で悲鳴を聞いたことがありません。だから大丈夫です」
むしろ、いまは違う感情がある。
「秀礼様が宝剣を用いて苦しむことがないよう、わたしが鬼霊を祓います。秀礼様が悲鳴を聞くことのないよう、わたしがそばにいます」
どうしてか、理由はわからない。けれどそうしたいと、強く思った。
(胸の奥が温かい。凪いでいる)
秀礼と話していると、荒れた気も凪いでいく。花渡しを行ったことで疲労はあるはずなのに感じられない。感覚が麻痺しているかのように。
その感情の名を探ろうとして、けれどやめた。
(秀礼様は皇子。わたしは帝の妃)
飾りの妃だとしても、立場が違いすぎる。その感情に名をつけたところで苦しむだけだろう。
紅妍はぐっと唇を引き結んだ。秀礼も同じく口を閉ざしている。冬花宮に着くまで互いに何も語らなかった。
その後、永貴妃は宮女長に何かを命じた。宮女長が宮に戻っていく。
また融勒も、鬼霊のそばに立つ。鬼霊が融勒の言を素直に聞き入れたのは、彼が双児の兄であるとわかっていたのだろう。紅花の苦しみがあっても、母や兄に襲いかかろうとしなかったのは想いの強さである。
(小鈴は、母や兄に会いたかったのかもしれない)
だから宮城に現れた。そして母と兄に助けを求めたのだ。
「私の妹はこのような顔をしていたのか」
「融勒様もお会いしたことがなかったんですね」
「ああ。話を聞いたことはある。だが、一度も会えぬままだった。わたしは吉事を報せるものだと思い込んでいたが、鬼霊は助けを求めていたのだな……」
融勒もまた小鈴の話は聞いていても会ったことがなかったのだろう。鬼霊と成り果てた姿といえ、じいと眺める様は、それを記憶に焼き付けようとしているかに見えた。
(きっと小鈴も、二人の姿を見ているはず)
鬼霊は悲しげで、しかしかすかに微笑んでいるように見えた。二人にようやく気づいてもらえたのだ。
春燕宮に近づく足音に、みなが振り返る。その姿を確かめた後、秀礼が言った。
「遅いぞ、清益」
「まったく人使いの荒いことです。こう見えても急いできたんですよ。とりあえずは間に合ったようですね」
息を切らせてやってきた清益は秀礼の前に膝をつく。
「丁鶴山に向かわせた者からの報告がありました」
その言にみなの視線が集う。
「小屋にいくつもの死体がありました。獣に食い荒らされたようで目も当てられぬ惨状でした。周寧明、それから小鈴らしき遺体も確認されています」
「なるほど。小鈴は人知れず病で倒れた後、遺体を荒されたのかもしれぬな」
「ええ。それらの死体が川に引っかかっておりました。腐敗したものもありましたので、それが原因で水が汚れたのかもしれません」
清益が語るには、それらの遺体は小屋の外や水車に引っかかっていたそうだ。獣に襲われて死んだのか、死した後に獣に襲われたのか。何にせよ、それによって汚れた川の水が大都に運ばれたのである。水を口にした者だけでなく、触れた者も発症したのは、水の汚れが些細な傷口から入ったのだろう。
「その遺体は、どうなった」
永貴妃は清益に問う。
「秀礼様には、遺体を見つけたら丁重に弔うよう命じられております。そのようにさせていただきました」
「……よい。助かる」
これで遺体のありかも片付いたのだ。人知れず倒れて死んだ小鈴と、それを探しにいった寧明たちの死。水も清浄になれば大都に流行る病もおさまることだろう。
そこへ宮女長が戻ってきた。その手には塗箱がある。蓋を開くと、中には綺麗に畳まれた布が入っていた。
「華妃。これを渡そう。抱被だ。小鈴が生まれた時にこれで包んだ」
年月経っているだろうに色あせていないのは、それだけ永貴妃が大切にしてきたということだ。それほどの想いがこもっているのならば花渡しが出来る。
花は紅妍が持ってきている。彼女が住んでいた庭の杜鵑花を手折ってきた。花詠みで小鈴が好いた花だと聞いた。好いた花と母の想いがこもった品であれば、小鈴も喜んで浄土に渡るだろう。
みなの表情を見渡した後、秀礼が紅妍の肩を優しく叩いた。
「華妃、小鈴を祓ってほしい」
紅妍は頷く。片手に抱被、もう一方の手には杜鵑花を乗せた。
花渡しを行う。瞳を閉じ、花と鬼霊に語りかける。
(小鈴。あなたを浄土に送りたい)
母と兄に会え、遺体は弔われ、もう未練はないだろう。紅花の苦しみから解き放つ時だ。
小鈴の体は煙になって、少しずつ溶けていく。その煙は杜鵑花の中に吸いこまれていった。
「小鈴……」
永貴妃の声がした。堪えきれずに泣いているのだろう。煙となって消えゆく小鈴は微笑んでいるようだったが、その涙が落ちる音は確かに聞こえた。
鬼霊となってでも会いにきた。その小鈴が願いを遂げ、消えていく。
「花と共に、渡れ」
瞳を開いた紅妍が両の手を宙に掲げる。小鈴の魂と想いのこもった抱被は煙となって杜鵑花に溶けている。その杜鵑花もまた、煙となって風に舞った。
風が吹き抜けていく。ここにいた鬼霊は、もういない。満ちていた鬼霊の悪気も消えている。
紅妍は振り返り「終わりました」と告げる。永貴妃は手で眼を押さえていたが、手をおろした時にはいつもと変わらぬ淡々とした表情に戻っていた。
「華妃。あれを祓ってくれて助かった」
「いえ。わたしにできることをしたまでです」
「褒美については、いずれ冬花宮に参ろう。その時に話す」
そう告げて、永貴妃は宮に戻っていった。
褒美というのは帝を苦しめているものについての情報だろう。ひとつ片が付いたことに安堵し、紅妍は長く息を吐く。
次いで、口を開いたのは融勒である。
「妹を救ってくださってありがとうございました。華妃がいなければ鬼霊が救いを求めていたことに気づかなかった」
それから、と融勒は秀礼の方を見やる。
「私は宝剣のことばかり考えていた。大事なものが見えていなかったのだな」
「……宝剣は鬼霊の才がある者を選ぶだけ。天子を選ぶのは宝剣じゃない」
「ああ、そうかもしれぬな」
小鈴の鬼霊は、融勒の頭を冷やしてくれたのだろう。七星亭で話した時のように妄執に駆られてはいない。憑き物が落ちたような、すっきりとした顔をしている。
「では華妃。我々も戻ろう。冬花宮まで送っていく」
「わかりました」
鬼霊が消えた春燕宮は優しい香りがする。永貴妃はああ見えて温かな人だろう。きっとこの庭に杜鵑花が植わるはずだ。彼女ならばきっと、そうする。
この庭に杜鵑花が咲いた時はまた訪れたいと、紅妍は思った。
冬花宮までの道のりを秀礼と共に歩く。清益は二人の少し前を歩いている。後ろには秀礼が連れてきた武官がいるが、二人に気遣ったのか距離を開けていた。
「花渡しというのは、何度見ても優しすぎる術だな」
秀礼がそう呟いた。紅妍は顔をあげて秀礼の方を見やる。
「あれを用いて、お前には何の負荷もないのか?」
「はい。特には――現世への念が強いものだったら苦労しますが、今回のように心を開いた鬼霊であれば苦になりません」
「……そうか。これとは違うのだな」
秀礼はうつむき、宝剣の柄に触れる。
「宝剣で鬼霊を斬り祓う時、手に血のかおりが染みつく。他の者には聞こえないそうだが、私には鬼霊の悲鳴が聞こえる」
悲鳴をあげるということは痛んでいるということ。紅妍は宝剣のことを快く思っていない。あれは二度殺すようなものである。これを用いた祓いは鬼霊を苦しめる。
「歴代の帝は宝剣を振るったが、振るえば振るうほど、斬り祓った鬼霊に悩まされていくらしい。確かにあの悲鳴を何度も聞いては、気が触れるかもしれないな」
秀礼は苦笑する。その表情からはわからないが、彼自身もあの悲鳴に悩まされたのだろう。
「もしもお前があの悲鳴を聞くのなら――止めようと思った」
ぽつりと、こぼれ落ちる。秀礼は宝剣の柄から手を離し、まっすぐ前を見つめていた。
紅妍も同じく前を向く。秀礼が見ているものと同じものを、見たいと思った。
「わたしは華仙術で悲鳴を聞いたことがありません。だから大丈夫です」
むしろ、いまは違う感情がある。
「秀礼様が宝剣を用いて苦しむことがないよう、わたしが鬼霊を祓います。秀礼様が悲鳴を聞くことのないよう、わたしがそばにいます」
どうしてか、理由はわからない。けれどそうしたいと、強く思った。
(胸の奥が温かい。凪いでいる)
秀礼と話していると、荒れた気も凪いでいく。花渡しを行ったことで疲労はあるはずなのに感じられない。感覚が麻痺しているかのように。
その感情の名を探ろうとして、けれどやめた。
(秀礼様は皇子。わたしは帝の妃)
飾りの妃だとしても、立場が違いすぎる。その感情に名をつけたところで苦しむだけだろう。
紅妍はぐっと唇を引き結んだ。秀礼も同じく口を閉ざしている。冬花宮に着くまで互いに何も語らなかった。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
辺境伯の溺愛が重すぎます~追放された薬師見習いは、領主様に囲われています~
深山きらら
恋愛
王都の薬師ギルドで見習いとして働いていたアディは、先輩の陰謀により濡れ衣を着せられ追放される。絶望の中、辺境の森で魔獣に襲われた彼女を救ったのは、「氷の辺境伯」と呼ばれるルーファスだった。彼女の才能を見抜いたルーファスは、アディを専属薬師として雇用する。
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉
狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。
「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。
フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。
対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。
「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」
聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。
「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」
そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。
イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。
ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼
そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ!
イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。
しかし……。
「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」
そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
落ちぶれて捨てられた侯爵令嬢は辺境伯に求愛される~今からは俺の溺愛ターンだから覚悟して~
しましまにゃんこ
恋愛
年若い辺境伯であるアレクシスは、大嫌いな第三王子ダマスから、自分の代わりに婚約破棄したセシルと新たに婚約を結ぶように頼まれる。実はセシルはアレクシスが長年恋焦がれていた令嬢で。アレクシスは突然のことにとまどいつつも、この機会を逃してたまるかとセシルとの婚約を引き受けることに。
とんとん拍子に話はまとまり、二人はロイター辺境で甘く穏やかな日々を過ごす。少しずつ距離は縮まるものの、時折どこか悲し気な表情を見せるセシルの様子が気になるアレクシス。
「セシルは絶対に俺が幸せにしてみせる!」
だがそんなある日、ダマスからセシルに王都に戻るようにと伝令が来て。セシルは一人王都へ旅立ってしまうのだった。
追いかけるアレクシスと頑なな態度を崩さないセシル。二人の恋の行方は?
すれ違いからの溺愛ハッピーエンドストーリーです。
小説家になろう、他サイトでも掲載しています。
麗しすぎるイラストは汐の音様からいただきました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる