怪物？魔人？いえいえ、人間です。

初戦闘？

さぁ、いざ住かん！！

俺は家の扉に手をかけ………ドアが外れた。


「おいおい、結構いいアパートだぞ？ここ。これが欠陥工事というやつか？」



否、ただ単に気持ちが高まった雲竜の力に耐えきれなくなっただけなのだが、本人は知る由もない。



「さて、外の様子は……あまり変わっとらんな」



まだ世界が交わって1日も経ったいない。だからこそまだ世界はいつも通りの風景であるが、時間が経つにつれて荒れ果てていくだろう。

今俺はアパートの3階の1番端の部屋にいる。儂の視界に入る限りはモンスターのモの字も見当たらない。


「さてどうしたもんか。とりあえず隣の家の人はいるかな？」



隣の扉をノックしてみるが返答は帰ってこない。俺が寝ている間に逃げたのだろう。


「まぁ、無事ならそれでいいんだが…」



そのあとは周りを注意しながら廊下を歩いて行く。家の下にはゴブリンが歩いているのが見えたから、どこかに隠れているのだろう。

いきなり襲われたら流石に対処できないかもしれないからな。それに刃物を持っていたら尚更だ。少し皮膚が切れる可能性だってある。


刃物で襲われるのに死なないのかって？


包丁程度では死ぬことはないだろう。誰でも切り傷程度だと思うが？

（注、一般人はそんなことありません。彼は特殊な訓練を受けているのです。）



そして階段に差し掛かる。


「階段は危険だな。踊り場から急に現れるかもしれん」


学校でもそんなことがあったな。
踊り場に差し掛かった時、急に目の前に人が現れ、ぶつかって吹き飛んだよ。相手が。

あの時は焦った。俺は人殺しになってしまったんじゃないかと本気で思った。幸い相手は軽症で済んだが、その後は『踊り場キラー』という不名誉なアダ名が知れ渡り、俺と踊り場で鉢合わせした者はこぞって壁際に避けられるようになってしまった。


ヤバ……思い出したら泣きそうに……


それと最強だ怪物だ謳われる俺でも苦手な物がある。


そう、『びっくりする系』だ。


アレだけは好きになれない。人をびっくりさせるなんて正常者が思いつく発想じゃないと思う。そんなこと考える奴は外道だね。

幽霊などは基本的に信じていないから怖くはない。だが映画などで出てくるまでの間の時間と、急に音量が大きくなる演出だけが俺の敵だと言っても過言ではない。


とにかくそれくらい俺はびっくりする系は嫌いだ。

もし曲がり角から急に襲いかかって来たら手が出る可能性がある。しかもモンスターだから人の形はしていないだろう。

大声出しながら曲がり角から出てきたら100%殴る。そんな未来しか見えない。
まぁ、もしそれが人間だったら大変なことになるが……


「まぁ…モンスターにそんな知能が備わってるはずがないか。ははは！！」


そんなことを考えながら俺の因縁の場所と言ってもいい踊り場に差し掛かる。

俺は自分に言い聞かせながら踊り場に到着。







特に何もなかった。








儂は安心して後ろを振り返ると………



「グゲゲゲェェェェェェェエエエ！！」

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお！？」

「ゲギャッ………！」




ドパン！！




あまりの急な出来事に動揺してつい飛んできた物体を殴ってしまった。



「あー、ビックリした！！なんだよ今のは！？」


俺が、迎撃して足元に落ちた物体を見てみると、頭が爆裂四散した緑色の生物だったものが転がっていた。