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紳士なルイと疑いの眼差し
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王太子夫妻が何かを探ろうとしていることに気が付いたのは、ヒューバートだけだった。だがヒューバートに怪訝そうな視線を向けられた王太子ファビアンは、悪びれずに肩を竦めた。
「そうだ、ルイ殿」
ファビアンは、わざとらしくヒューバートからルイに視線を移すと、笑顔を崩すことなくルイに提案した。
「ルイ殿、今日はもう一人、バトー公爵家のデボラ嬢が来ているんだ。フェリスと共に、デボラ嬢の待つ部屋に移動してもらえるかい?」
「はい。わかりました」
ヒューバートに予め聞いていた話だ。焼き菓子を食べ終わっていたルイは素直に頷くと、椅子から降りてフェリスの側まで歩いて行った。
「ルイさま?」
「フェリスひめ、わたしがエスコートします」
「はい」
ルイがスマートにフェリスを連れて退出していくのを、大人たちが呆然と見送った後、最初に言葉を発したのはファビアンだった。
「え? 4歳だよな?」
「そうだが?」
「いやいや、僕たちが4歳のときって、あんなこと出来なかったよね? ヒューバートは今のフェリスより人見知りだったよ?」
「ファビアン様は、女性のスカートめくりに夢中でしたね」
どうやら本当のことらしい。「うっ」というファビアンの呻き声を、エメリーンは聞かなかったフリをした。
ヒューバートとファビアンは、幼い時から交流があったようだ。お互いに忘れたい過去も、知り過ぎているのだろうと思っていると、王太子妃オリヴィアが頬に手を当てた。
「ええ、いつも捲られて困っておりましたのよ」
「ちょ、ちょっと、オリヴィア」
ファビアンが慌てているのが何だか面白いが、エメリーンは笑って良いものかどうか困って、微妙な微笑みを浮かべたまま、ケーキに集中することにした。
ヒューバートに加勢をしたオリヴィアも、どうやら幼い頃から知る仲のようだ。ルイとフェリスが別室に移動したことで、三人はより砕けた空気感になっているらしい。
「それで、先ほどから二人はエメリーンの何がそんなに気になっているんだ?」
「え?」
急に自身に話が飛躍したことに、エメリーンが顔を上げて目を丸くしていると、ファビアンは再び肩を竦め、オリヴィアは軽く舌を出した。
「相変わらず鋭いね。いや、それだけ辺境伯夫人のことを気に掛けているということかな?」
「そういうことじゃない。相変わらずファビアン様が、分かりやすいということだ」
ファビアンが軽く両手を上にあげた。降参のポーズだ。
「試すようなことをしたのは悪かったよ。……ただ、ちょうどオルクス子爵領については、調査中なんだ」
「調査中?」
「オルクス子爵領、と言うか、正しくはダイナリア辺境伯領を、だね」
「なっ、何だと?」
険しい声を上げたヒューバートを、オリヴィアが慌てて制止する。
「いえ、ヒューバートさんを疑ったことは一度もありません」
「ああ、だから私、なのですね?」
納得した声でそう言ったエメリーンを、オリヴィアが申し訳なさそうに見つめた。その眼差しが、エメリーンの質問に対する答えだった。
「そうだ、ルイ殿」
ファビアンは、わざとらしくヒューバートからルイに視線を移すと、笑顔を崩すことなくルイに提案した。
「ルイ殿、今日はもう一人、バトー公爵家のデボラ嬢が来ているんだ。フェリスと共に、デボラ嬢の待つ部屋に移動してもらえるかい?」
「はい。わかりました」
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「ルイさま?」
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「そうだが?」
「いやいや、僕たちが4歳のときって、あんなこと出来なかったよね? ヒューバートは今のフェリスより人見知りだったよ?」
「ファビアン様は、女性のスカートめくりに夢中でしたね」
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「ええ、いつも捲られて困っておりましたのよ」
「ちょ、ちょっと、オリヴィア」
ファビアンが慌てているのが何だか面白いが、エメリーンは笑って良いものかどうか困って、微妙な微笑みを浮かべたまま、ケーキに集中することにした。
ヒューバートに加勢をしたオリヴィアも、どうやら幼い頃から知る仲のようだ。ルイとフェリスが別室に移動したことで、三人はより砕けた空気感になっているらしい。
「それで、先ほどから二人はエメリーンの何がそんなに気になっているんだ?」
「え?」
急に自身に話が飛躍したことに、エメリーンが顔を上げて目を丸くしていると、ファビアンは再び肩を竦め、オリヴィアは軽く舌を出した。
「相変わらず鋭いね。いや、それだけ辺境伯夫人のことを気に掛けているということかな?」
「そういうことじゃない。相変わらずファビアン様が、分かりやすいということだ」
ファビアンが軽く両手を上にあげた。降参のポーズだ。
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「なっ、何だと?」
険しい声を上げたヒューバートを、オリヴィアが慌てて制止する。
「いえ、ヒューバートさんを疑ったことは一度もありません」
「ああ、だから私、なのですね?」
納得した声でそう言ったエメリーンを、オリヴィアが申し訳なさそうに見つめた。その眼差しが、エメリーンの質問に対する答えだった。
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