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ゴゴゴゴゴゴゴゴ
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ルイの教育上、非常によろしくない「くそっ!」という言葉が聞こえた瞬間、エメリーンはルイの両耳を塞いでいた。アントスの下っ端たちに、完全に背を向ける形になったが、エメリーンに不安はなかった。
更にバアルとセイディが、執事長とエメリーンの間に入ったことで、アントスの下っ端たちとルイとの間はもう一つ遠のいた。
ーーあら?
汚い言葉を吐いたあと、男たちは執事長に殴り掛かるか、掴み掛かるかしていると思ったのだが、それにしては何も物音がしない。
エメリーンがルイを背にかばいながら立ち上がって、男たちの方を振り返ると、男たちはまるで金縛りにでもあったかのように直立して固まっている。
「どうかしましたか?」
執事長の問いに答える声はない。だが男たちは執事長の言葉にビクッと震えて、涙目になっている。
――まあ、執事長の殺気に当てられたってところかしら?
ドラゴン殺しの英雄の殺気は、殺しを生業とする組織の一員にも恐ろしいものらしい。
――そりゃ怖いわよね。下っ端だし。
エメリーンも執事長に正面から殺気を向けられたら、平静でいられる自信はない。
――ドラゴンを1人で倒せちゃうような人と、現実に出会う機会なんて、普通はないものね。
「さて、あなた方が不敬極まりない態度で接したこの方たちは、ダイナリア辺境伯夫人と辺境伯子息でいらっしゃいます」
「なっ!?」
「ひ、ひえっ!?」
「貴族への暴言は、この国の法律で不敬罪となります。あなた方はそれをご存知ですか? まあ知らなくても罪状は変わりませんが」
淡々と執事長が下っ端たちの罪について説明をしているが、下っ端たちは「うう」とか「ああ」とか言葉にならない声で呻いていて、その説明は耳に入っていないようだ。
どうやら「ダイナリア辺境伯夫人と子息」という言葉に、男たちは反応しているらしい。
――何かしら? 何か違和感があるのだけど……?
「じゃ、じゃあもしかして…………?」
「そ、そ、そんなまさか……?」
さっきまであんなにいきがっていた男たちが、ぶるぶると子犬のように震えている。
――ダイナリア辺境伯夫人と子息って、アントスの下っ端にそんな風に脅えられるような貴族では無いはずなんだけど……。
確かに執事長が言ったとおり、男たちを不敬罪で捕まえることができるのは嘘ではない。だがイルミナ国の刑罰では、罰金か数年の懲役が妥当だろう。
殺人を主な生業とするアントスのメンバーなら、たとえ下っ端でも、こんな風に脅えることはないはずだとエメリーンは思う。
エメリーンの疑問は、バアルやセイディにとっても同じだったらしい。首を捻っていたエメリーンたちの耳に、下っ端たちの叫びが聞こえてきた。
「ゴッ、ゴッ、ゴッ」
「ゴゴゴゴゴゴゴゴッ」
「「ゴーリアントだああああああああっ!!!!!」」
「えっ?」
ひっ、ひぃーっ、と腰を抜かしながらも後退りしている男たちに、エメリーンは目を見張った。
――えっ? どうして執事長がドラゴン殺しの英雄ゴーリアントだって知っているのかしら?
バアルとセイディは、エメリーンと同じく目を見開いていたが、当のゴーリアント――執事長は、「ふむ」と顎に手を置いただけだった。
更にバアルとセイディが、執事長とエメリーンの間に入ったことで、アントスの下っ端たちとルイとの間はもう一つ遠のいた。
ーーあら?
汚い言葉を吐いたあと、男たちは執事長に殴り掛かるか、掴み掛かるかしていると思ったのだが、それにしては何も物音がしない。
エメリーンがルイを背にかばいながら立ち上がって、男たちの方を振り返ると、男たちはまるで金縛りにでもあったかのように直立して固まっている。
「どうかしましたか?」
執事長の問いに答える声はない。だが男たちは執事長の言葉にビクッと震えて、涙目になっている。
――まあ、執事長の殺気に当てられたってところかしら?
ドラゴン殺しの英雄の殺気は、殺しを生業とする組織の一員にも恐ろしいものらしい。
――そりゃ怖いわよね。下っ端だし。
エメリーンも執事長に正面から殺気を向けられたら、平静でいられる自信はない。
――ドラゴンを1人で倒せちゃうような人と、現実に出会う機会なんて、普通はないものね。
「さて、あなた方が不敬極まりない態度で接したこの方たちは、ダイナリア辺境伯夫人と辺境伯子息でいらっしゃいます」
「なっ!?」
「ひ、ひえっ!?」
「貴族への暴言は、この国の法律で不敬罪となります。あなた方はそれをご存知ですか? まあ知らなくても罪状は変わりませんが」
淡々と執事長が下っ端たちの罪について説明をしているが、下っ端たちは「うう」とか「ああ」とか言葉にならない声で呻いていて、その説明は耳に入っていないようだ。
どうやら「ダイナリア辺境伯夫人と子息」という言葉に、男たちは反応しているらしい。
――何かしら? 何か違和感があるのだけど……?
「じゃ、じゃあもしかして…………?」
「そ、そ、そんなまさか……?」
さっきまであんなにいきがっていた男たちが、ぶるぶると子犬のように震えている。
――ダイナリア辺境伯夫人と子息って、アントスの下っ端にそんな風に脅えられるような貴族では無いはずなんだけど……。
確かに執事長が言ったとおり、男たちを不敬罪で捕まえることができるのは嘘ではない。だがイルミナ国の刑罰では、罰金か数年の懲役が妥当だろう。
殺人を主な生業とするアントスのメンバーなら、たとえ下っ端でも、こんな風に脅えることはないはずだとエメリーンは思う。
エメリーンの疑問は、バアルやセイディにとっても同じだったらしい。首を捻っていたエメリーンたちの耳に、下っ端たちの叫びが聞こえてきた。
「ゴッ、ゴッ、ゴッ」
「ゴゴゴゴゴゴゴゴッ」
「「ゴーリアントだああああああああっ!!!!!」」
「えっ?」
ひっ、ひぃーっ、と腰を抜かしながらも後退りしている男たちに、エメリーンは目を見張った。
――えっ? どうして執事長がドラゴン殺しの英雄ゴーリアントだって知っているのかしら?
バアルとセイディは、エメリーンと同じく目を見開いていたが、当のゴーリアント――執事長は、「ふむ」と顎に手を置いただけだった。
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