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ラオン国民ではない
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「もし、もしもだ。メランガキャッスルがなくなるようなことになったら、お前はどうする?」
——あー。
とっとと逃げようとしたのに、背中に声を掛けられて、ナギは仕方なく立ち止まった。
「……アー、リンコクにイキマスね」
「何? ラオン国からも出るということか?」
「エエ、マア」
メランガがなくなるときは、ラオン国もなくなるときだ。ナギはそれを知っているが、レドの言う「メランガキャッスルがなくなる」は、きっと違う意味を持っているのだろう。
「お前とて、ラオン国民ではないのか……」
「え、エート……」
——いや、日本国民ですけど、なんて。この人に説明するの、シュテルンよりもヤバい気がするのはなんでだろう。
ナギがちらりと振り返ると、先ほどよりさらに悲しそうな顔をしているレドがいた。
そのまま立ち去ることは簡単だったが、レドがあまりにも切なそうな顔をしているので、ナギはつい相手が王子様であることを忘れてしまった。
「……しっかりしなよ。落ち込んでる場合なの?」
「え?」
「本当にどうにもならないほど気落ちすることって、人生には必ずあると思うよ。だけど、今がそのとき? ……仮にそうだったとしても、誰もが、今自分にやれることをするしかないよね」
「お前……?」
——まあ、どのみちこの国は爆発しちゃうんだけども。
だがそこまで目の前の男に伝えるほど、ナギは親切ではない。
「あなたには、やるべきことも、やりたいこともあるんじゃない?」
——私に出来ることは、とりあえずメランガからの出口を探すことだけなんだけどね。
「あ……?」
ナギが重大なことに気が付いて間抜けな声を上げるのと同時に、レドがナギの両肩を正面からガシッと掴んだ。
「わっ?」
「お前っ! 幼いのにしっかりしているな。我と一緒に来ないか?」
「は?」
レドの年齢は確か20歳くらいだったと思い出して、ナギは複雑な気持ちになる。27歳は決して幼くない。シュテルンもレドも、この世界の人は、身長や顔で人を判断しすぎだとナギは思う。
だがそれよりも、正義の組織に勧誘されていることの方が問題だ。サザミナに入っても、ラオン国から出るのは難しくなるだろう。
——メランガから出られても、ラオン国から出られないと意味ないんですけど。
どう交渉しようか悩んでいるうちに、レドが静かにナギの肩から手を離した。
「そんなわけにはいかないか。迷わせて悪かったな。お前の言う通り、我は我のなすべきことをしよう」
「あっ」
ナギの返答を聞かず、レドはナギの横を通り過ぎ、ナギが振り返ったときにはもう影も形もなかった。
耳に残ったレドの最後の声は、迷いが断ち切れたのか、実に爽やかなものだった。
——あ、ああっ、しまったーっ!
「ま、待ってよ。消えるの、早すぎっ。ああ……」
——もう、悪でも正義でも構わない。誰か、私にここからの出口を教えてーっ!
——あー。
とっとと逃げようとしたのに、背中に声を掛けられて、ナギは仕方なく立ち止まった。
「……アー、リンコクにイキマスね」
「何? ラオン国からも出るということか?」
「エエ、マア」
メランガがなくなるときは、ラオン国もなくなるときだ。ナギはそれを知っているが、レドの言う「メランガキャッスルがなくなる」は、きっと違う意味を持っているのだろう。
「お前とて、ラオン国民ではないのか……」
「え、エート……」
——いや、日本国民ですけど、なんて。この人に説明するの、シュテルンよりもヤバい気がするのはなんでだろう。
ナギがちらりと振り返ると、先ほどよりさらに悲しそうな顔をしているレドがいた。
そのまま立ち去ることは簡単だったが、レドがあまりにも切なそうな顔をしているので、ナギはつい相手が王子様であることを忘れてしまった。
「……しっかりしなよ。落ち込んでる場合なの?」
「え?」
「本当にどうにもならないほど気落ちすることって、人生には必ずあると思うよ。だけど、今がそのとき? ……仮にそうだったとしても、誰もが、今自分にやれることをするしかないよね」
「お前……?」
——まあ、どのみちこの国は爆発しちゃうんだけども。
だがそこまで目の前の男に伝えるほど、ナギは親切ではない。
「あなたには、やるべきことも、やりたいこともあるんじゃない?」
——私に出来ることは、とりあえずメランガからの出口を探すことだけなんだけどね。
「あ……?」
ナギが重大なことに気が付いて間抜けな声を上げるのと同時に、レドがナギの両肩を正面からガシッと掴んだ。
「わっ?」
「お前っ! 幼いのにしっかりしているな。我と一緒に来ないか?」
「は?」
レドの年齢は確か20歳くらいだったと思い出して、ナギは複雑な気持ちになる。27歳は決して幼くない。シュテルンもレドも、この世界の人は、身長や顔で人を判断しすぎだとナギは思う。
だがそれよりも、正義の組織に勧誘されていることの方が問題だ。サザミナに入っても、ラオン国から出るのは難しくなるだろう。
——メランガから出られても、ラオン国から出られないと意味ないんですけど。
どう交渉しようか悩んでいるうちに、レドが静かにナギの肩から手を離した。
「そんなわけにはいかないか。迷わせて悪かったな。お前の言う通り、我は我のなすべきことをしよう」
「あっ」
ナギの返答を聞かず、レドはナギの横を通り過ぎ、ナギが振り返ったときにはもう影も形もなかった。
耳に残ったレドの最後の声は、迷いが断ち切れたのか、実に爽やかなものだった。
——あ、ああっ、しまったーっ!
「ま、待ってよ。消えるの、早すぎっ。ああ……」
——もう、悪でも正義でも構わない。誰か、私にここからの出口を教えてーっ!
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