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ほんの少しの体質改善を目指して
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「ちょっと、今日は何をちょい足しすれば良いの?」
「私も、私にもちょい足ししてっ!」
いつのまにか兵士専用食堂の常連になっている経理担当の女と、その女の同僚らしき女が、期待に満ちた眼差しでナギを見つめている。
「……え?」
「朝もスッキリ起きられるようになったし、肌荒れもすぐに治ったの。あなたのちょい足しのせいでしょ?」
「は? いや、ちょい足しはほんの少しの体質改善を目指すもので、薬でもないし、そんなにすぐに効果とかは……」
「だって実際に効果があったものっ!」
女二人が鼻息も荒く、カウンターに身を乗り出してナギに詰め寄る。その後ろから、二人に加勢する声が続いた。
「あ、俺もっ、クラクラするの治った」
「ぼ、ぼくも、お、お尻の調子が良くなりました」
「ほらっ、ほらやっぱりーっ!」
「ねーっ!」
他の兵士の援護を受けて女二人の勢いが増したが、ナギは困惑するしかない。
「そんなこと言われても……」
ナギは医者ではない。食事のちょい足しにそんな即効性があるはずがないのだが、同意者を得た女が勢い良く右手を上に挙げた。
「あっ! はいっ! 良いこと思い付いたっ!」
「は?」
「食堂のメニュー、あなたが作ってみない?」
「え?」
「美容に良い定食とか、ダイエット定食とか」
「おお、それは良いな。筋力アップ定食にスタミナアップ定食」
「痔回復定食もお願いします」
——ええええっ!?
カウンターに頭を突っ込む勢いで次々に挙げられた希望に、ナギは困り果てた。
「そんな、思い付きでそんなこと言われても……」
——そもそも私にそんな権限ないし。っていうか、痔回復定食ってナニ……。
「オモシロイ」
「ナナさん?」
「メニューツクレ、ナギ」
「え? パムさん?」
調理の手を止め、スタタタッと二人揃ってナギの隣に立ったパムとナナの言葉に、兵士や事務員たちから歓声が上がった。
「うおーっ、やったーっ!」
「楽しみにしてるわっ!」
「期待してるからなっ!」
——うわ、何これ、激しくプレッシャーなんですけど。あー、でも……面白そう。
「あ、あくまでも、緩やかな体質改善を目指すメニューでよければ、作ります」
「それで良いわ」
「ええ良いわ」
「おお、そういうことで」
ナギの言葉に女たちが食い気味で答え、兵士たちがそれに続いた。
「そういうこと、じゃなくて、そうなんです! 即効性とか効果とか、確実なものを求められても責任取れませんからね?」
「分かってるってー」
うんうんと満足そうに頷きながら食堂の席へと散っていく一同に、本当の理解が得られたかどうかは甚だ疑問だ。
だがパムとナナからやれと言われたからには、ナギにはやるしかない。
「ナギがメニューツクル、料理はパムとナナツクル。イイカ」
「は、はい。あ、でもなんだかすみません。お二人の仕事がなるべく増えないようにしますね」
「オー、ナギ。ソンナコト気にスルナ。料理、タノシイ」
「あはは、本当にお二人は料理が好きなんですね」
前にも聞いたセリフに思わず笑ってしまったナギにつられたのか、パムとナナも笑う。
「フハハハハハ」
「ウフフフフフ」
——うわ、笑い声までロボみたいなのはなんで。……目が笑ってないからかな。
頬の肉は上がり、口も確かに開いているのに二人のロボ感は消えない。気に入ったのか、笑いながら定位置まで戻った二人は、包丁を手にした途端に笑い止んで調理を再開した。
——だから、ロボかっ、ロボかっ、ロボかーっ!!
すでに光速で包丁を振るっている二人に話しかけることも出来ないナギは、自身の心の中で激しく突っ込んだ。
「私も、私にもちょい足ししてっ!」
いつのまにか兵士専用食堂の常連になっている経理担当の女と、その女の同僚らしき女が、期待に満ちた眼差しでナギを見つめている。
「……え?」
「朝もスッキリ起きられるようになったし、肌荒れもすぐに治ったの。あなたのちょい足しのせいでしょ?」
「は? いや、ちょい足しはほんの少しの体質改善を目指すもので、薬でもないし、そんなにすぐに効果とかは……」
「だって実際に効果があったものっ!」
女二人が鼻息も荒く、カウンターに身を乗り出してナギに詰め寄る。その後ろから、二人に加勢する声が続いた。
「あ、俺もっ、クラクラするの治った」
「ぼ、ぼくも、お、お尻の調子が良くなりました」
「ほらっ、ほらやっぱりーっ!」
「ねーっ!」
他の兵士の援護を受けて女二人の勢いが増したが、ナギは困惑するしかない。
「そんなこと言われても……」
ナギは医者ではない。食事のちょい足しにそんな即効性があるはずがないのだが、同意者を得た女が勢い良く右手を上に挙げた。
「あっ! はいっ! 良いこと思い付いたっ!」
「は?」
「食堂のメニュー、あなたが作ってみない?」
「え?」
「美容に良い定食とか、ダイエット定食とか」
「おお、それは良いな。筋力アップ定食にスタミナアップ定食」
「痔回復定食もお願いします」
——ええええっ!?
カウンターに頭を突っ込む勢いで次々に挙げられた希望に、ナギは困り果てた。
「そんな、思い付きでそんなこと言われても……」
——そもそも私にそんな権限ないし。っていうか、痔回復定食ってナニ……。
「オモシロイ」
「ナナさん?」
「メニューツクレ、ナギ」
「え? パムさん?」
調理の手を止め、スタタタッと二人揃ってナギの隣に立ったパムとナナの言葉に、兵士や事務員たちから歓声が上がった。
「うおーっ、やったーっ!」
「楽しみにしてるわっ!」
「期待してるからなっ!」
——うわ、何これ、激しくプレッシャーなんですけど。あー、でも……面白そう。
「あ、あくまでも、緩やかな体質改善を目指すメニューでよければ、作ります」
「それで良いわ」
「ええ良いわ」
「おお、そういうことで」
ナギの言葉に女たちが食い気味で答え、兵士たちがそれに続いた。
「そういうこと、じゃなくて、そうなんです! 即効性とか効果とか、確実なものを求められても責任取れませんからね?」
「分かってるってー」
うんうんと満足そうに頷きながら食堂の席へと散っていく一同に、本当の理解が得られたかどうかは甚だ疑問だ。
だがパムとナナからやれと言われたからには、ナギにはやるしかない。
「ナギがメニューツクル、料理はパムとナナツクル。イイカ」
「は、はい。あ、でもなんだかすみません。お二人の仕事がなるべく増えないようにしますね」
「オー、ナギ。ソンナコト気にスルナ。料理、タノシイ」
「あはは、本当にお二人は料理が好きなんですね」
前にも聞いたセリフに思わず笑ってしまったナギにつられたのか、パムとナナも笑う。
「フハハハハハ」
「ウフフフフフ」
——うわ、笑い声までロボみたいなのはなんで。……目が笑ってないからかな。
頬の肉は上がり、口も確かに開いているのに二人のロボ感は消えない。気に入ったのか、笑いながら定位置まで戻った二人は、包丁を手にした途端に笑い止んで調理を再開した。
——だから、ロボかっ、ロボかっ、ロボかーっ!!
すでに光速で包丁を振るっている二人に話しかけることも出来ないナギは、自身の心の中で激しく突っ込んだ。
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